【メリットはある?】出産するあなたへ 高齢出産への正しい理解
厚生労働省が2017年末に発表した「人口動態統計」によると、2017年の出生数は約94万人となり、昨年同様100万人を割り込む見通しに。昨年よりも状況はさらに悪化し、少子化が加速していることが明らかとなりました。
出生数を年齢階級別(5歳階級)に見てみると、50歳以上の出生数は減少しているものの、35歳以上、また、40~49歳の各階級では増加傾向がみられ、高齢出産はだんだんと増加しているようです。
社会で長く活躍する女性も増え晩婚化が進むなか、高齢出産はもはや珍しいものではなくなりました。だからこそ、正しく理解しておきたいのが、高齢出産にまつわる知識です。
高齢出産のデメリット その理由は加齢による卵子の老化
インターネットで「高齢出産」に関して検索してみると、様々な「メリット」「デメリット」を謳う情報が散見されます。「高齢出産をすると子宮体がんの発生率が低下する 」「高齢出産で生まれた子どもはIQが高い 」「高齢出産を体験した女性の方が長寿 」など、様々な発表がありますが…。
「妊娠・出産経験のある女性は、ない女性に比較して子宮体癌のリスクは低減します。
しかし、高齢出産か否かは関係ありません。また、高齢出産とその子どものIQの関係性に関しては、高齢妊娠をする女性は高学歴であることが多く、また、教育熱心である場合が多いので、それらの社会的交絡因子によってそのようなことが生じる可能性があります。高齢出産だから子の頭が良くなるわけではまったくありません」
そう話すのは、東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師。
片桐医師は「医学的に見れば高齢出産にはメリットがあると言えません。経済面や立場的 に仕事をマネジメントしやすくなるなど、社会的なメリットはあります」 といいます。
「私たちのからだを構成している一つひとつの細胞のなかには、22対44本の男性・女性に共通な常染色体 と、2本の性染色体(女性の場合はX染色体が2本、男性の場合はX染色体が1本、Y染色体が1本)、合計46本の染色体があります。卵子や精子の染色体数はその半分の23本で、本来ならばこれらは細胞分裂する際に46本が均等に23本づつに分割されますが、本来対(2本)である染色体が不均一に分割されるなどの理由により、1本少ないモノソミーや、3本になるトリソミーが生じ、これが先天性疾患のうち、染色体数的異常症になるのです。