「ママの言うことって、ほんとうに全部聞かないといけないの?」
ママ:なるほどねぇ。ママは子どもの気持ちを聞かないで、自分の考えを押し付けていたかもしれないわね。
K:あとさ、この前はママとおばあちゃんの言うことが違ったでしょ?ボクが車のオモチャで遊ぼうとしたら、弟が横取りしようとしたとき。
ママはボクに向かって「お兄ちゃんなんだから貸してあげなさい」って言って、おばあちゃんは弟に向かって「お兄ちゃんはまだ遊んでないから、お兄ちゃんが遊んでから借りようね。順番だよ」って教えてた。
ボクはおばあちゃんの言葉を聞いてモヤモヤが消えたんだ。いつもママの言うことを聞いてすぐに弟にオモチャを貸してたから、モヤモヤしてたんだよね。
ママ:ごめんね、あれはママも勉強になったわ。結局おばあちゃんの意見を優先したわよね。
K:でも、ちょっと不安にもなった。ボクにとってはいつでもママが1番だったけど、あのときはおばあちゃんの言うことが正しかったでしょ。ママの言うことは何でも正しいわけじゃない、って不安になった。
ママ:そうね…。ママはね、いつも「子どものため」を思って、話しているつもりなのよ。でもね、100%そうかって言ったら違うわ。
「ママが大変だから」「ママの体裁が悪いから」って「ママのため」を考えて自己都合を押し付けているときもあるし、「疲れて頭が回らなくて言ってしまったこと」もあるし、おばあちゃんのときみたいに「ママの考え自体が間違っていた」こともある。
そう考えるとママの正しさは80、70、60%…って下がる。
もちろん命やケガの危険については正しいことを言ってるって自信があるんだけどね。ママはこのことを知らなかったんだわ。「無知の知」って大切ね。
反抗は自分で考えるはじめの一歩
ママ:実は間違えるのってママだけじゃないのよ。パパも、おばあちゃんも、お友達も、学校の先生も、偉いって言われる人でも、誰でも間違えるの。それにね、「正しさ」って人によって変わるのよ。
K:じゃあボクは誰の言うことを聞けばいいの?まだ知識や経験の少ない子どものボクは困るよ~。
ママ:それはあなたが決めていかないといけないのね。「いま自分は誰の言うことを聞くべきかな?」「いまの自分には何が正しいのか?」ってね。そう考えると、Kが言うことを聞かなくなったのは、ある意味自立の一歩ね。
K:自分で決めて間違えたら?
ママ:間違えるのが当たり前なの。