何歳からOK? 子どもにテレビを見せることのメリット&デメリット
こんにちは。子育て支援を専門にしている臨床心理士の今井千鶴子です。
子育てをしていると、“子どもとTVの問題”について悩んでしまうママはたくさんいます。
そこで今回は、子育てにおけるTVのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
●子育てにおけるTVのデメリット
●(1)長時間のTV視聴による発達の遅れ
乳幼児のころにTVを見せ続けることは、脳の発達を考えるとあまりオススメできません。
乳幼児の能力開発をする人の中には、「たくさんの刺激にふれることで脳が発達するためTVを見せるのは良い」と言う人もいますが、十分な科学的根拠があるのか疑問を感じます。
発達認知科学の観点から考えると、たくさんの刺激にふれることは悪くはないのかもしれませんが、「子どもの発達段階にあった刺激なのか」「脳の疲労について考えなくていいのか」という点は慎重に議論すべきです。
たとえば、“子どもがゲームに夢中になりやめられない”という状態をイメージしてください。
脳が疲労しているにも関わらず、時にイライラしながらゲームを続ける子もいます。これは刺激が強いために生じている現象 だといえます。
また、子どもは自分で自分の行動をコントロールしにくいため、刺激に触れ続けていることで“心地よい集中力”とは別の状態に陥ってしまうことがあります。
一般的に子どもの集中力はとても短いので、一定時間を超えると、何も考えずにボーっとTVを見てしまいがちです。
したがって、TVを見せる際にはあらかじめ視聴時間を設定し、長時間見せないこと が大切です。
『日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会』は、乳幼児期からのメディア(例:TV・ビデオ・TVゲームなど)漬けの生活によって、結果的に心身の発達の遅れや歪みが生じた事例があることを指摘しています。
そして、“2歳までのテレビ・ビデオ視聴を控えること”をはじめとする5つの具体的提言を発表しています。
●(2)ネガティブな「気持ち」「行動」「ことば」
TVとひと口に言っても、さまざまなタイプの番組があります。
TV番組の中には、暴力的な映像や残虐な映像も含まれています。
これまでの心理学の研究では、暴力映像を見た後には、子どもたちに不快な気持ちが生じやすく、乱暴な行動をマネしやすいことが報告されています。また、最近よく言われているのは、テレビを通じた“言葉の獲得”です。