子ども英会話教室の先生は「日本人」と「ネイティブ」どちらが良い?
だから、特定の母語話者の発音の習得にこだわる必然性はなくなってきている のです。
定義できないネイティブの発音の習得に時間やお金、エネルギーを使うよりも、コミュニケーションがスムーズに進み、相手の人に誤解されないような聞き取りやすい発音の習得こそをめざすべきなのではないでしょうか。
むしろ発音がネイティブスピーカーと同じではないということは、モノリンガル(一言語しか話せない人)ではなく、複数言語を使いこなす能力を持つ有能な人材であるという証明でもあるのです。
●ネイティブスピーカー英語教師の長所
教室にネイティブスピーカー英語教師がいることは、子どもに英語に対する興味を持たせる、やる気を高める という点では、とても有効だと思います。
ネイティブスピーカーと英語でお話ができたという体験は、子どもたちにとってとても新鮮でインパクトのある思い出になることでしょう。
ネイティブスピーカー英語教師は、子どもたちの異文化体験や国際理解にも大きな貢献をしている と言えましょう。
●全てのネイティブスピーカーが優秀な英語教師であるとは限らない
しかし、英語教育の実証研究によれば、ネイティブスピーカー英語教師による英語習得上の効果は一般に期待されているほど大きくはないようです。なぜでしょうか?
日本に駐在するネイティブスピーカー英語教師は、指導経験の少ない(またはまったくない)人たちが多いのが現状 です。
言語を母語として話すことと、その言語の指導ができることとはまた別の問題なのです。
日本に長期に渡って滞在し、日本の英語教育に従事しようという熱意がある優秀なネイティブスピーカー英語教師の人数は、そう多くはありません。
また、良い先生に巡り合えたと喜んでいたら、帰国してしまい、新しい先生を探さなくてはならなくなった、などということが少なくないと聞きます。
●ネイティブスピーカーであるかどうかよりも、教師としての資質が大事
ネイティブスピーカーの教師からは、より多くのインプットが得られそうな気がしますよね。しかし、本当にそうでしょうか。
ネイティブスピーカーと非ネイティブスピーカーの英語教師が行った授業中の英語のインプット量を比較したある研究によると、それぞれのグループ内での個人差は大きいが、グループ間での差はなかったといいます。つまり、英語教師がネイティブスピーカーかどうかが問題なのではなく、個々の教師の資質、能力のあるなしが問題 なのだと言えましょう。