転んだらダメ!? 親が80歳に近づくときに持っておくべき心構え3つ
筆者の父親も80歳を過ぎて長年自分で切り盛りしてきた雑貨卸の商店を判断力の低下を理由に廃業してから、あっという間に認知症が進行して、それが誘因となって多臓器不全に陥りこの世を去りました。
親の年齢が80歳に近づいてきたら、親にとっての“生きるモチベーション”は何なのか ということも、少しだけ考えるように心がけていただきたいと思います。
●心構え2:家の中にも外にも“転ぶリスク”は常にある「転んだらおしまい」と心がける
次にご紹介する40代パパ・ママ世代へのアドバイスは、中学校で養護教諭をなさっている50代前半の女性からのものです。
『私の母は80歳を目前にして近所のスーパーへ行く途中で転び、大腿骨の頸部を骨折して入院しました。手術はいったんは成功したかのようにみえましたが、患部周辺の母の筋肉は普通の人よりも衰えが進んでいて、人工骨が何度も外れ、何日もかけて作った装具は母に拘束感を与え、せん妄を起こして幻覚を見るようになりました。
長引く入院生活は全身に内科的な諸問題も引き起こすようになり、その後の経過はあまりにも悲しく思い出したくもありません。結局母は転んでから一度も退院することなく半年後に帰らぬ人となりました。40代のパパ・ママ世代のみなさんに申し上げたいことは、後期の高齢者ともなれば転ぶリスクは家の中にも外にもどこにでもあって、しかも母のように転倒イコール致命傷というケースもあるということです。
親が80歳近くになってきたなら油断をせず、とにかく“転ばないこと”を心がけて生活するように注意してください』(50代女性/都内C市在住/中学校養護教諭)
養護の先生のこのお話を聞いたとき、同じように転倒、骨折、手術の見込み違い、入院生活の長期化、全身の衰弱といった経過をたどって転んでからわずか4か月で81歳の生涯を閉じた母を見送った経験を持つ筆者は、涙が止まりませんでした。
養護の先生や筆者のように親が転倒をきっかけに亡くなってしまう例もありますが、そこまでではなくても寝たきりになってしまうケースは数多くみられます。
まだ小・中・高校生の子育て真っ最中の40代パパ・ママ世代にとってはいわゆる“ダブルケア”的な状態に陥るおそれ も十分に考えられます。高齢の親は「まだまだ元気」と安心せず、「転ぶことだけはさせない」くらいの気持ちで注意して見守ってさしあげてください。