5.子どものいない人や子どもを持つ予定のない人にとっては不公平さを感じざるをえない部分がある。
では“こども保険”ではなく私たちはどんな方法で少子化と子育て支援に向き合うべきか?
いかがでしたでしょうか。“こども保険”というものについて、少しイメージしていただけたでしょうか?
こうして考えてみますと、“こども保険”という政策案にはまだまだ熟議を要する点が多く、少子化対策・子育て支援政策の対案としてもっと筋の良いものを政府与党に対して示す必要を筆者は感じます。
ちなみに筆者が考える対案はおおむね次のようなものです。
一少子化対策・子育て支援政策の軸足を幼児教育の無償化ではなく待機児童の完全解消と高等教育の無償化に置く。
二そのための財源は“こども保険”ではなく税金の徴収方針の転換で賄う。具体的にはやはり相続税の強化が急務かと思います。わが国の現行の相続税制は控除額が多く、そこそこのお金や資産がある家に生まれた人がそうでない人に比べて恵まれすぎています。
「社会全体で子育てを」というのであれば、相続税の控除額を削減して、先ずは生まれながらにして経済的に恵まれている人たちに協力をお願いするべきです。
三二と同じ意味で、高額所得者の所得税の強化に理解を得る努力をすべきだと思います。「そんなに税金を取られるなら日本から出て行ってやる」といった言葉をあえて怖れず、そういった方々の内面にある公共心の高さに訴えてみるべきです。
“こども保険”は現時点では少子化対策・子育て支援政策の一つのアイデアにすぎません。
大切なことは、“もっと一般庶民が必要としている子育て支援政策”のアイデアを私たちの方からどんどん出していって政府与党に迫ることだと思います。子どもたちのより良い未来は上から与えられるものではありません。
●参考リンク「“こども保険”子育て財源 誰が負担するのか?」(時論公論)|NHK
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/269968.html
●ライター/鈴木かつよし
●モデル/福永桃子