2016年5月10日 20:00
仕事を続けるべき? 子育てと介護に追われる「ダブルケア」の問題点
と考えるだけでパニックに陥ってしまうのではないでしょうか?
●ダブルケアに直面している人の8割は働き盛りの30代・40代
推計によると、ダブルケアに直面している人を年齢別でみると、40~44歳が27.1%で最多。35~39歳が25.8%、30~34歳が16.4%と続き、30代・40代の働き盛りの世代に最も重い負担がのしかかっていることが分かります(数字は2012年の総務省『就業構造基本調査』を基に集計)。
また、2016年に入ってから実施したインターネット調査では、小学6年生までの子どもの子育てと親や祖父母の介護を同時にする1,004人に『ダブルケアの状態になった後の就業実態』についての質問を実施。その結果として、ダブルケアになって仕事を減らした人が17.9%、仕事を辞めた人が7.9%いたことが判明。
つまり、ダブルケアになったことで4人に1人 が仕事を減らすか辞めるかの決断 を余儀なくされたことを、数字が物語っているのです。
●介護・看護のプロの力を借りるためにも仕事は続けて。子どもは親がいるだけで大丈夫
介護・看護を要する度合いにもよりますが、世界で一番最初に“超高齢化社会”を迎えたわが国では、高齢者の介護や看護に職業として携わるプロフェッショナルの方々がいらっしゃいます。
ダブルケアの過酷さに悩む30代・40代のみなさんに筆者が僭越ながら先輩として申し上げられることは、「プロの力を借りるためにも、自分自身の精神的な健康を保つためにも、仕事は完全に辞めてしまわず、続けてください」 ということです。
筆者の父親は最期、トイレの使い方も筆者の顔すらも忘れてしまい大変でしたが、それでも体は丈夫でこれといった病気もなく自宅で看取ることができました。
それに対し、医療療養病床に入院中の母親は、認知症はないものの複数の医療行為が手放せない状態であるため、自宅で過ごすことも介護の施設に受け入れていただくこともできません。
それでも、筆者、筆者の家族や親戚がみな仕事を持っていて収入があるので、療養病床でプロの方々のお世話になることができています。
また、子どもが「親は、おじいさんやおばあさんの介護・看護にかかり切りで、自分のことを振り向いてもくれない。悩みも聴いてくれない」といった“疎外感”を持っているかというと、そういうことはあまり考えなくてもいいようです。