イケてる根性なし? “RADWIMPS”が思春期の感性に響くワケ4つ
バンド名の由来は、「すごい、強い、イケてる」という意味の「RAD」と、「弱虫、根性なし、役立たず」という意味の「WIMPS」という2つのスラングを合わせたもの。
つまり、「イケてる根性なし 」「見事な役立たず 」というような、つかみどころのない造語です。
ご相談者様は、歌詞に対して「理屈っぽい」という印象を持たれたようですが、RADの歌詞はよく哲学的 とか文学的 と形容されます。
バンド名が示すように、さまざまな矛盾に無理やり蓋をするのではなく、ありのままに共存させているという感じでしょうか。
一流の演奏技術で、脆く弱くヘタレな人物像を描き、脆弱そうなルックスで怖いくらい骨太な反骨心も歌い上げています。
相反する2つの要素を見事に融合させている点、それを聴く者が無理なく理解できるよう翻訳するテクニックは見事のひと言です。
「大人になりたい、でもなりたくない」
「現実を見なければいけない、でも見たくない」
「努力したい、でも頑張っても意味が無いような気がする」
思春期とは、こんな相反する感情に苛まれることの連続。RADの音楽が、あっというまに若者たちの共感を得、伝播していったのも無理はないといえるでしょう。
ともすれば、“わかりやすいキャラクター”“ステレオタイプな表現”を求めがちな私たちですが、そもそも人間とは複雑怪奇な構成体。
自分の中の矛盾から目を背け始めたら、心が年老いているサインかもしれませんよ?
●理由その2:カッコつけないカッコ良さ。常に未開拓の地を行く野田洋次郎さんのキャラクター
ボーカル、ギター、ほとんど全ての曲の作詞作曲も担当する野田洋次郎さんは、1985年7月15日生まれの31歳。
180cmの長身で、幼児期から小学4年生までをアメリカで過ごし、慶應義塾大学中退という経歴の持ち主です。
野田さんは一見ヒョロッとして、ちょっとボサボサの髪の毛と長身を生かした独特のファッションが印象的。細身の草食系男子に見えないこともありません。
しかし、彼が作るメロディ、歌詞、映画に触れるほどに、今にも壊れそうな繊細さを、屈強な技術と精神でガッチリ支えている 正体に気が付くでしょう。二十歳そこそこで作り上げたデビューシングル『25コ目の染色体』の難解かつ人間愛に満ちた世界で早くも示した、早熟の天才ぶり。
その後実力派バンドとしての地位を手堅く確立していくわけですが、1つの成功に安住したり執着したりするほどナヨいタイプでもありません。