チームメイトに「いらない」と言われる発達障害の息子。いじめだと思うが親が口を挟んじゃいけないのか問題
一番良いのは、このことをチーム全体の話にしてもらうことです。
コーチたちが「誰が暴力をふるったのか」という犯人捜しを始めたり、暴力暴言を浴びせた子どもと個別に話し合うのではなく、あくまでも全体の問題にしてもらうこと。そうすることで全員がこのことに対し当事者として考えられるはずです。
無論、そういったことを含めて指導者に対してお母さんがどこまで意見を述べられるかはわかりませんが、みんなが楽しくサッカーができる環境作りをお願いしたいのだということを強調してください。
■息子さんには「あなたは絶対に悪くない」と言ってあげよう
次に、息子さんと話をしましょう。
まず「あなたは絶対に悪くない」のひとことを最初に言ってあげてください。息子さんは何も悪くないのに、チームを去るのはおかしいこと。
いじめている子どもたちが、これをいじめだと理解しなくては次にまた誰かがいじめられること。
その子たちは中学生になったときも同じことをするかも知れないこと。それらを伝えたうえで「暴力や暴言をやめてほしい」と自分から言う勇気をもってもらえたらと思います。
■状況によっては「逃げる」という選択肢もあることを知っておいて
(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
子どものいじめや差別の問題と出逢ったとき、私は、いつでも被害者がやめなくてはいけなくなることに強い違和感を抱きます。実際に、いけないことをしたのは加害者なのに、結果的に被害を受けた側が居場所を失うことが往々にしてあります。
状況によっては逃げるという行動が必要なときもあります。そうなったときは他チームでやることを視野に入れられないでしょうか。
技術が遅れていたり、他の子どもよりも下手だとサッカーをする環境を奪われる。このことが肯定されてしまえば、息子さんはもちろんほかの子どもの未来にも悪い影響を及ぼします。
ここはぜひ闘ってほしいです。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)