レンガをひとつづつ敷き詰めて
鎌倉の森の中を抜ける不揃いの階段を108段昇ると、庭を囲むように4軒の古民家が建つ一角が現れる。その中の1軒が山下りかさんの住まいだ。
「子どもの独立を機に鎌倉や葉山への移住を考えていた時に友人が紹介してくれた家です。雨漏りしている家を自分で直して住みたいと、家族にこの家の写真を見せたら心配されました。でもチャレンジしたい気持ちのほうが大きかったです」
その決断には、DIYの腕に覚えのある頼もしい友人の存在が大きかったのだとか。
雨漏りしていた場所の床ははがして、古い耐火レンガを敷いた土間にした。
ひとつ3.5kgのレンガ630個と25kgのセメント袋を、108段の階段の先に自力で運びあげる力仕事からセルフリノベーションが始まった。
そして丁寧に水平にした床にセメントを粉のまま床に撒き、その上にレンガを並べて目地にセメントをつめ、最後に水を撒く。
「セメントを水で練って左官で仕上げる方法が一般的ですが、そのスピード勝負のやり方は私の手には負えないと判断した友人が見つけてくれた手順です」
愛情込めて敷かれたレンガの土間は、こうして3ヶ月かけて完成した。
「アメリカに住んでいた頃旅したマルティニークの宿で、カーテンをこんなふうにサイドのフックにまとめていました。