2018年9月28日 19:30
ある誤報が家族の運命を変えた…物議を醸した注目作『運命は踊る』
―そのような体験をされていたとは驚きです。では、このストーリーを語るうえで、本作を三部構成にしたのはどのような理由からでしょうか?
監督
今回は、ギリシャ悲劇の三部構成のようになっていますが、それは私のアイデアを伝えるのに最適な形式だと思えたからです。それと同時に、観客に感情の旅を提供することもできました。まず第一部でショックを与え、第二部で幻惑させ、そして第三部で感動を与えるというものです。
―なかでも、第一部と第二部では描き方が大きく違いますが、どのようなことを意識しましたか?
監督
まず、第一部ではイスラエルの国防軍を非難しているような内容になっていますが、実はこれはとてもセンシティブで触れてはならない領域。というのも、イスラエルの人々にとって、国防軍というのはトラウマから民を解放した軍であるといわれているからなのです。そういったこともあり、それを非難するためには、第二部で比喩的な表現が必要だと思いました。
そのために第二部のヨナタンがいる検問所はただの検問所ではなく、イスラエル社会の縮図として描いています。
つまり、外から見ると不穏な空気に包まれていて怖いと思われていますが、実際は何もないということ。