2019年3月26日 19:30
熱血だけが青春じゃない! “不器用だらけ”の小説『ウチらは悪くないのです。』
阿川せんりさんの『厭世マニュアル』は、殻に閉じこもっていたヒロインが周囲の人と関わることで“ありのままの自分”を肯定できるようになる物語だ。安易な成長を描かない作風でデビュー時から注目を集めたが、最新刊『ウチらは悪くないのです。』もまた、何者かにならなきゃいけない、恋愛くらいしなくちゃいけない、とがんじがらめになっている人にエールを贈るような一冊だ。
熱血じゃない青春だって楽しいんだ。元気になれるアンチ青春ストーリー。
「小説やマンガでは、自分には何もないと悩む主人公が夢中になれる何かに出合って成長する物語が王道。でも、私の中には『もし何にも出合えなかったらどうするんだい?』という素朴な疑問があります」
主人公は、これといった趣味や特技がない〈あさくら〉。美人なのにおしゃれや恋愛には興味なし。
彼女の楽しみといえば、昔からの友人である〈うえぴ〉と、スタバでおしゃべりすることくらい。大学2年の選択必修科目のクラスで〈あさくら〉に話しかけてきた〈さわみー〉のお節介で、一度会っただけの〈にさか君〉とつきあうことになるのだが…。
一見そつがなく思える〈さわみー〉や〈にさか君〉も、実は不器用な人。