くらし情報『原爆、天皇制、憲法9条も…新“芥川賞作家”の新作はSF?』

2019年5月31日 19:00

原爆、天皇制、憲法9条も…新“芥川賞作家”の新作はSF?

「デビューする前から、このタイトルと、9章からなる長編という構想はありました」

今年、芥川賞を受賞した上田岳弘さんの注目の最新作、『キュー』。ニムロッド、塔、飛行機、“私の恋人”など過去作にも出てきたモチーフが盛り込まれた集大成的な長編だが、逆に言えば、本作に向かって過去の作品を執筆してきたともいえそうだ。
原爆、天皇制、憲法9条も…新“芥川賞作家”の新作はSF?


遠い未来でCold Sleepから目覚めた人間。突然拉致された、現代の心療内科医の青年。軍人だった祖父、前世では広島の原爆で死んだという女性、世界で秘密裏に敵対する2つの勢力、謎めいたAll Thingという物体――バラバラなモチーフが少しずつ繋がる展開がなんともスリリング。

「今回はこれだけの長さの小説ですから、イメージを膨らますために、詩や戯曲を思いのままに書いてみたんですね。そこから合致するものを小説にはめこんでいきました。今回、前段階として書いてみた戯曲は、All Thingというすべてを叶える板を守る軍勢と攻める軍勢が戦うという、SFでシェイクスピアをやったような内容でした」

未来を幻視する本作は、All Thingをめぐる物語ともいえる。


「人類の行き着く先を象徴するそれが、タイムスリップして現代にあるという設定です。

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