くらし情報『青山七恵の新作、人生をもがく30代女性が見た絶望と希望』

2015年11月17日 20:00

青山七恵の新作、人生をもがく30代女性が見た絶望と希望

妻の暴力を無抵抗に受け入れることで、精神的に彼女を支配しているのだ。

「二人の間にも愛はあるとは思いますが、極端に歪んでいる関係ですよね。でも、暴力は嫌悪すべきものですが、小さい頃は私も妹と取っ組み合いをしましたし(笑)、人間のあり方において排除することのできない何かなのかな、と考えました。ミスミのように、弱者の立場を演じることで相手を支配しようとする人は現実にもいるように思います」

また、舞と希子の関係については、「彼女たちはそれぞれ、ちょうど人生の転換点にいる時に出会った2人。特別な友情とか好意はないけれど、その人が関与しなければ人生が前に進まない、ということもあるのではないでしょうか。この2人はお互いがそういう相手だったんです」

タイトルの「繭」は、彼女たちの住む白いマンションを想起させるし、彼女たちが自分で作った精神的な膜のイメージもある。

「繭は幼虫を保護するものですが、成長したら自分で破らないと、窒息してしまう。人間も生物として、今の状況を破らなければ、と直感を得る時がある。
2人が解放されるようにと思って書き進めましたが、少なくとも、2人とも繭に針の穴をあけることはできたと思います」

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