2019年7月2日 20:00
「1作ではなく、次も売れる」が条件 若き“ブレイク作家”3人とは?
ショート・ショート(特に短い小説のこと)って、オチだけが大事にされがちですが、大前さんの物語はおもしろいままあっさり終わる。その、いい意味のサクッとした存在感がとてもおしゃれだなあと思います。
大前粟生1992年生まれ、兵庫県出身。‘16年、短編小説「彼女をバスタブにいれて燃やす」が、「GRANTA JAPAN with 早稲田文学公募プロジェクト」で最優秀作に選出され、小説家デビュー。
『私と鰐と妹の部屋』短いものは見開きで完結する、そんなショートストーリーを53作収録。おかしさと悲しみが溢れる一冊。¥1,300(書肆侃侃房)
芥川賞受賞で注目度アップ。独特の文体を楽しんで。
町屋良平
芥川賞ノミネート2回目で受賞し、今まさに時流に乗っている作家さん。‘18年の『しき』ではダンスをする高校生を描き、芥川賞受賞作の『1R1分34秒』ではボクシングをテーマにしていて、身体的運動と言葉の関係に強いこだわりを感じます。オリジナリティの強い文体で、中学生でも読めるような漢字を、あえてひらがなにしたりもするんです。でも読んでいると、とても気持ちがいい。おすすめの『青が破れる』は、主人公のボクサー的思考が新鮮な青春小説。