2019年8月26日 20:10
ナチスを逃れた91歳「性セラピスト」。壮絶体験から得た生きる意味
なかでも私を幸せにしてくれたのは、「一番大事なのは教育であり、誰も君から教育を取り上げることはできないんだよ」と言ってくれた父の言葉。私は91歳半になりましたが、そのときの父の声はいまでも聴こえてくるほどです。
それから、私が感じていたのは「私が生きているのには何かしらの理由がある」ということ。そのためには、人生において何かよいことをしなくてはいけないと考えていました。なぜなら、1500万人のユダヤ人の子どもたちがナチスに殺されたにもかかわらず、私は生かされているのだから。
―そういった辛い経験から得た思いも、ドクター・ルースの人生を支えていたものだったんですね。
ドクター・ルースそうですね。私の人生と魂は、私の生い立ちとユダヤ人であるということによって救われていたところもあったと思います。
あとは、一緒に過ごせたのはわずか10年半ではありましたが、素晴らしい父と母、そして私を育てることに一生懸命だった祖母に恵まれていたというのも大きかったですね。
特に、当時は村に私しか子どもがいなかったこともあり、村にいたみなが私を愛してくれましたが、のちに孤児になってしまうという最悪の事態で生き抜いていくなかで、そのときの幸せな思い出はかけがえのないものでした。