2020年3月28日 20:40
話題の小説『デッドライン』作者が考える“色気のある文章の特徴”
それは芸術や文章にも同じことが言えて、説明が十分にあって、納得して安心できる、あるいは不安な思いをしないで済むところにいる限り、当然色っぽさを味わうことはできない、ということになる。読むことによって、自分の理性が危険にさらされる、そんな文章と出合うことができたら、新たな色気を知ることができるんじゃないでしょうか。恐れを快楽に転換できる回路を持つ、ということ。それを見つけるためには、自ら飛び込んで、試してみるしか方法はないと思いますよ」
千葉さんおすすめの、色気を感じられる2冊。
『クレーの日記』パウル・クレー 著ヴォルフガング・ケルステン 編高橋文子 訳¥7,200/みすず書房画家・クレーが生前、自己省察のためにつけていた日記を、第一線の研究者が再編集したもの。「日常の断片があちこちにあるだけ、偶然性しかないところが気持ちいい。
どこを開いて読んでもいい、その関連性のなさが色っぽい」
『時の瘡蓋』北大路 翼 著¥2,000/ふらんす堂自らが営む歌舞伎町の店『砂の城』を拠点に、“屍派”という俳句一家を束ねる俳人・北大路翼の句集。「俳句はとても短いですし、その説明の少なさが好きです。