くらし情報『実際の拉致監禁事件をモチーフに…今読みたい、秀逸ホラー小説とは?』

2020年7月20日 20:40

実際の拉致監禁事件をモチーフに…今読みたい、秀逸ホラー小説とは?

「今回、捜査官だけではなく素人探偵役の洛を据えたのは、事件捜査だけでなく、少年という弱い存在に焦点を当てて見てくれる人が必要だったからです。洛がいまは妹と暮らす専業主夫にして、刑事の和井田と高校時代からのノリのままじゃれ合う会話を繰り広げる場面を入れたのは、そうしないとあまりにも陰惨な話だけになってしまうかなと。重い物語の緩衝材的な役割もあります」

物語は、司法では裁けない罪や悪意にどう向き合うかも問いかける。

「他者への寛容性がないというのが始まりだと思うんです。怒りの矛先が間違った方向に向かうという問題があって、より弱い存在が被害者になるのは社会の縮図のようです」

櫛木作品では、犯罪をめぐるリアリティにも瞠目させられる。

「もともと犯罪心理などには興味があって、作家になる前、シリアルキラーについてのコンテンツの管理人を10年くらいやっていたことがあるんです。本もいろいろ読みました。そのころの知識がいろいろ補填してくれているのかもしれません」
実際の拉致監禁事件をモチーフに…今読みたい、秀逸ホラー小説とは?


くしき・りう作家。
1972年、新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で日本ホラー小説大賞・読者賞を、同年、『赤と白』で小説すばる新人賞を受賞。

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