くらし情報『実際の拉致監禁事件をモチーフに…今読みたい、秀逸ホラー小説とは?』

2020年7月20日 20:40

実際の拉致監禁事件をモチーフに…今読みたい、秀逸ホラー小説とは?

プロローグはおどろおどろしい。ペット以下の環境で監禁、虐待されている女性。そのみじめな姿をあざける犯人。それは、茨城県水戸市内の安ホテルで発見された男の刺殺体と、さらに彼が起こした先の女性監禁事件へと結びつく。犯罪の背景に何があったのか。櫛木理宇さんの『虜囚の犬』は、ゆがんだ家族関係や、閉鎖的な地方都市の陰湿さを浮かび上がらせる問題作だ。

弱者の痛みが幾重にも絡む事件を、若き元家裁調査官と県警刑事が追う。
実際の拉致監禁事件をモチーフに…今読みたい、秀逸ホラー小説とは?


「同時にこれは劣等感の物語でもあるんです。
極端に感情が欠如しているサイコパス的な人間はおらず、加害者も被害者も自己評価が低い人物ばかり登場します。メッタ刺しにされた薩摩治郎(さつまじろう)は、女性たちを監禁して服従させ、女性に対して一見『強者』のようですが、過去を遡れば、決してそうではない人物だったことが見えてくる。最終的に絶対的な強者というのは存在するのかというのもテーマです」

事件につながる要因を解き明かそうとするのが、白石洛(らく)という30代の元家裁調査官。かつて少年事件で治郎や関係者家族と関わったことがあり、治郎の過去について知る数少ない人物。洛の友人で、茨城県警捜査一課の巡査部長・和井田瑛一郎は、引きこもりだったという事件前の治郎について調べるよう洛に依頼する。

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