2020年12月9日 19:40
ノーベル賞受賞に込められたメッセージとは? 「国連世界食糧計画」を考える
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「国連世界食糧計画」です。
ノーベル賞受賞を機に、飢餓問題に注目が集まれば。
今年のノーベル平和賞は、国連世界食糧計画(WFP)が選ばれました。WFPは、飢餓と貧困をなくすことを使命とする、国連唯一の食糧支援機関です。世界では6億9000万人の人が十分な食料を得られず、空腹に苦しんでいるといわれています。WFPは難民キャンプに食料を届けたり、学校給食を配布したり、紛争や飢餓で栄養不良に陥っている母子に援助を行うなどしており、2019年には88か国、約1億人への支援を行いました。空港が閉鎖された紛争地や辺境の地までも届けなければならないので、WFPはトラックのほかに、30隻の船や100機の専用飛行機も持っています。
日本円に換算すると、例えば3000円寄付をすると赤ちゃんに75個の栄養強化ペーストを届けることができ、5000円ならば子ども1人に1年間給食を、1万円では5人世帯の家族を1か月、食糧支援できるのだそうです。
貧困地域にも開発の手が入り、2000年代に入り、少しずつ改善されてきていたのですが、紛争やテロ、気候変動が原因で、2014年以降、飢餓人口は再び増加に転じてしまいました。