劇場で公開されると聞いたときは、安家のみなさまへのプレゼントがまたひとつ増えたなと思いました。
ーー役作りで苦労したところを教えてください。
柄本さん ピアノですね。僕はまったく弾けなかったので、撮影に入る3か月前から練習をはじめました。おたまじゃくしを習っていると絶対に間に合わないので、指の位置の景色だけで覚えました。とっても大変でしたが、少し弾けるようになると楽しさを感じるようになりました。そのほかで大変だったのは、安先生が実践されていた、患者さんに寄り添うということ。患者さんに圧力を与えても強制してもいけない。
患者さんの隣にいて、しゃべりだすのを待つ。その待ち方を考えながら演じました。
ーー安先生の妻・終子を演じた尾野真千子さんとは、ほかの作品でも共演されていますね。
柄本さん 尾野さんと初めて共演したのは、2007年のテレビドラマ『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』なんです。それ以降、何度も共演させていただいているので、いまさら夫婦役を演じるのかという恥ずかしさも少し感じました。尾野さんは繊細かつ大胆、それでいて絶対に間違えないんです。セリフの出し方、声量など、あらためてすごいなと思いました。