2021年2月9日 20:30
「是枝裕和監督は素晴らしい」中国の若き才能が称賛する日本映画の底力
理由を聞いたら、あるスタッフが撮影をするおばさんの家に菊の花を置いていたことがわかりました。菊は中国でお葬式のときに使う花ということもあり、「中秋節にはとても縁起が悪い」と気分を害していたのです。ただ、中国のどこかの地方では中秋節に菊の花のお酒を飲む伝統があるらしく、それを聞いたスタッフが飾ろうとしたみたいですが、おばさんはものすごく怒っていましたね。急いで謝りに行き、機嫌を直してもらってなんとか次の日に撮影をしました。
そのほかにも、漁師のおじさんの船のライトをスタッフの誰かが壊してしまったときには、僕に電話がかかってきて、また怒られて、謝りに行って、ご機嫌を取るみたいなことを繰り返しましたが、撮影中はそんなことばかりでした(笑)。
―大変でしたね。今回は、ご自身の故郷の変化を目の当たりにしたことがきっかけでこの作品が生まれたそうですが、実際に大きな開発が人々にどのような変化を与えているとお感じですか?
監督僕がこの映画で目指そうとしていた大きなテーマというのは、「伝統的なものをいかに現代に残すか」ということ。でも、今回の再開発に関して、地元の人や僕は好意的に受けとめています。