2021年2月27日 18:10
桜木紫乃、大竹まことの言葉をまんまタイトルに! 女装歌手、ストリッパーの物語
彼らはホテルでなく寮に滞在すると言いだし、奇妙な同居生活が始まる。
「4人の空間を書くのははじめて。いつ誰がどんな台詞を言いだすか分からなくて楽しかった」
と言うように、彼らのテンポのよいやりとりが非常に愉快。しかも演者の3人は場数を踏んだプロ中のプロ。その意外な演出たっぷりのステージも、作中で楽しめる。
「もともとキャバレーは大人の夜の社交場。演者だけでなく、接客のプロ、舞台づくりのプロたちがいる。誇りを持って人を楽しませる人たちがいる場所だから好きです」
人気若手女優がゲストに来た際は、その素人歌唱っぷりに章介が「気の毒」と感じることも。
そこで師匠が舞台に立つ人間の「華」と「欲」について語る言葉が印象的だ。
「私には珍しく長台詞です。ずっと、実力があるのに大舞台に上がれない人と、実力がなくても上がれる人の違いはなんだろうと思っていたんです。そのひとつの答えが出ました」
次第に4人は、家族のように互いと馴染んでいく――。「以前『家族じまい』でリアルな家族を描きましたが、今回疑似家族を書いたことで、パズルのピースが揃った気がします。両方がないと私の考える“家族”は伝えられない。