2021年5月30日 21:10
甲斐翔真が「絶対ミュージカルをやりたい」と思ったきっかけは?
その彼が感情を爆発させる場面での、やるせなさや哀しみ、行き場のない怒りや虚しさを抱えた心の叫びは強く胸を打った。
「ずっと溜め込んできた感情を抑えて抑えて一気にはじける。そこの起伏はすごく意識していました。歌ってはいるんだけれど、歌っていると思っちゃいけなくて、脳と気持ちをリンクさせながら発した言葉に、メロディがついていく感じというか。歌詞は言葉で、メロディはしゃべる時のイントネーションみたいなものだと思うんです」
その甲斐さんが、「甲斐翔真という人は“ミュージカルの人”なんだと印象づけてくれた作品」だと話すのが、今年頭のミュージカル『マリー・アントワネット』だ。数々の大作ミュージカルの第一線で活躍するキャストの中で堂々たる舞台姿で注目を集めた。
「フルオーケストラで歌うグランドミュージカルは初めてで、同じ歌でも、これまでとはすべてが違いました。歌唱指導の方につきっきりで反復練習を重ねて、基本から歌を改革しました。
発声もですし、声の響かせ方から息の流れも全然違う。こういう“ザ・ミュージカル”という作品では、まずは美しい旋律を声で作り上げていくことが求められるんです。そしてさらに、そのなかに心情をきちんと入れていく必要があります。