2021年6月2日 18:30
娼婦、駆け落ち、心中する女性…昭和のキャバレー王が愛したクセのある女性たち
また、福富は絵を集めるだけでなく、美術に関する文章を雑誌に連載したり、美術史家と対談をしたりと美術評論家のような活動も展開。
さらに、昭和期のワイドショーや深夜番組などにもたびたび出演し、テレビやラジオなどのマスメディアでも活躍。さまざまな顔をもつ多才な人物でした。
駆け落ちに失敗…
では、福富太郎はどんな絵が好きだったのでしょう?美人画を多く集めたことで知られていますが、単に見た目が美しい女性の絵にはあまり興味がなかったようです。娼婦や駆け落ち、心中をはかろうとする女性の姿など、妖艶で少し陰のある女性を描いた作品を好んだようで、展示会場は一種独特のあやしげな雰囲気が漂っています。
そのなかから、本記事では3点ご紹介。(所蔵はすべて福富太郎コレクション資料室)
まずは駆け落ちに失敗した女性を描いた池田輝方の《お夏狂乱》。但馬屋の娘、お夏と使用人の清十郎は駆け落ちしようとしたところ捕まり、清十郎は死刑、お夏は恋しさのあまり狂乱した、という実話をもとにした物語を題材にした作品です。
狂乱して座り込み、放心したようなお夏の表情が、悲しくも美しく描かれています。
娼婦、心中する女…
続いてご紹介するのは、娼婦を描いた秦テルヲの《妊(はら)