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東京・港区にある大垣書店麻布台ヒルズ店で、イラストレーター・ざしきわらしさんの個展が開かれています。女の子の表情がクールでキュートなざしきわらしさんのイラストは、世代性別を問わず大人気。本展で見られる展示や注目のグッズについて、ご紹介します!「ざしきわらし展」、麻布台ヒルズで開催中!展示風景【女子的アートナビ】vol. 344イラストレーターのざしきわらしさんは、1987年福岡生まれ。地元を拠点に創作活動をされ、企業やメディア、音楽関係などさまざまなクライアントにイラストを提供。2024年本屋大賞受賞作品『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈著・新潮社)のカバーに主人公「成瀬あかり」を描いたことでも知られています。“成瀬”のキャラクターイラストは人気を博し、京阪電車のラッピング電車やびわ湖マラソンのポスターにも起用。成瀬シリーズの第2作『成瀬は信じた道をいく』(宮島未奈著・新潮社)でもざしきわらしさんが装画を担当されています。2024年9月現在、X(旧Twitter:warashi @WarashiZ)のフォロワーは4万人以上。カラフルなイラストが数多くアップされているインスタグラム(@warashiz0614)も人気があります。今年4月には第2弾となるイラスト作品集『DANDELION』(芸術新聞社)が発売され、全国各地で出版記念展「ざしきわらし展」を開催。今回の会場となっている大垣書店麻布台ヒルズ店が、書店で開かれる最後の出版記念展です。できたてほやほやの作品も!本展の見どころは、この展覧会のために制作された新作のキャンバスパネルです。ふだん、書籍カバーやインスタなどで見るイラストも魅力的ですが、原画はまた格別。線の力強さや色の鮮明さがダイレクトに伝わります。ざしきわらしさんが描く女の子は、とにかくキュート。かわいいだけでなく、芯の強さも感じられるクールビューティーな表情が魅力的です。また、ファッションも独創的で、鮮やかな色も多く使われ、見ていると元気が出てきます。本展の会場では会期前半にライブペインティングが行われ、そのときに描かれた大型作品2点も会場内に展示。まさにできたてほやほやの作品に出合えます。ライブペインティング作品も含め、出品されている全12点はすべて新作。抽選制で展示・販売もされています。新作グッズもかわいい!本展のもうひとつの楽しみは、アクリルスタンドやポストカードなど人気グッズの数々。カラフルなグッズは、見ているだけでワクワクします。特に今回、リソグラフをはじめ新しいグッズがたくさん登場しています。本展での人気グッズは、Tシャツとトートバック。すぐに品切れとなるため、作家さんが随時作成して追加補充されているそうです。また、ざしきわらしさんが3年前に発売した作品集『COLORPALETTE』と、今年発売した『DANDELION』の2冊についてはサイン入り本も販売。作家在廊の日にはグッズ・書籍問わず随時サイン会が開かれています。(在廊日については、会場の大垣書店麻布台ヒルズ店にご確認ください)本展は9月29日まで開催。ぜひ現地で魅力的な原画やかわいいグッズをご覧になってください。Information会期:2024年8月31日(土)~9月29日(日)開催場所:大垣書店麻布台ヒルズ店(営業時間:11:00 ~ 20:00)TEL: 03-5570-1700
2024年09月14日インスタで毎日アート作品を発表している大人気のミニチュア写真家・田中達也さんの展覧会が日本橋高島屋ではじまりました。プレス内覧会を取材しましたので、見どころなど会場写真とともにご紹介します!韓国で大ヒットした展覧会が日本初上陸!展示室内© Tatsuya Tanaka※本記事の写真は主催者の許可を得て撮影しています【女子的アートナビ】vol. 341田中達也さんは、1981年熊本生まれ。身近なものや日常的に見慣れたものを別のものに見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を2011年から毎日インスタグラムで発表し続けているミニチュア写真家・見立て作家です。2024年5月現在でインスタのフォロワーは380万人超。国内外で展覧会を開催し、2024年に韓国・ソウルで開かれた展覧会では19万人を動員しました。2017年NHK連続テレビ小説「ひよっこ」ではタイトルバックを担当し、近年は絵本作家としても活躍されています。内覧会で田中さんは、「作品は人間の普遍的なものを表現しているので、世代や国境を超えて楽しんでいただけます」とコメント。見立ての着想については「コンビニやスーパー、一般的な日用品がそろっている場所やモノからアイデアを得ています」と語りました。「田中達也展みたてのくみたて」では、「見立て」の発想の起点を7つのゾーンに分けて約160点の作品を展示。どのようにアイデアが生み出されるのか、その原点を解き明かす展覧会です。パンがソファーに!?田中達也「甘い生活」2021年「HOME暮らしから考える」の展示室では、身近にあるものから着想を得た作品を展示。家の中にある見慣れたものが、意外なものに変換されています。例えば、「甘い生活」という作品では、パンをソファーに、クリームを観葉植物に、ワッフルを棚に見立てた室内で、ミニチュア人形のファミリーが団らんしています。田中さんの作品には、ブロッコリーや海苔巻きなどさまざまな食べ物が登場しますが、本物もあれば食品サンプルもあるとのこと。本物の場合は撮影の後に食べているそうで、インスタでも「#このあとおいしくいただきました」などと出ています。メガネが自転車に変身!田中達也「メガネでかけ回る」2022年続いて、「FORM形から考える」の展示室では、物体の形に着想を得た作品を見ることができます。田中さんは、アイデアを出すとき形を簡略化して考えを発展させていくそうです。例えば、丸メガネの丸が2つ並んだ形から自転車を連想。ただ、メガネのツル部分がバッチリ見える角度だと自転車には見えないので、視点と写真のアングルを工夫し、「メガネでかけ回る」という作品がつくられています。フォトスポット「メガネでかけ回る」ちなみに、本展ではすべての作品が撮影OK。さらに、大型作品が置かれたフォトスポットも随所に設けられているので、見立ての世界を楽しみながら体感できます。スイカが赤富士に!田中達也「スイカ山盛り」2023年色に着想を得た作品を展示する「COLOR色から考える」の部屋で目を引いた作品は、「スイカ山盛り」。なんとスイカが赤富士に見立てられています。明らかにスイカなのですが、菅笠を被った二人の人物を含めた作品全体で見ると、葛飾北斎が「冨嶽三十六景」で描いた赤富士のように見えてくるから不思議です。田中達也「クリーンな環境?」2022年また、会場では写真作品だけでなく、実際に使われたミニチュアも展示。精巧につくられたミニチュア作品も見ごたえがありますので、ぜひじっくりとご覧になってみてください。グッズもかわいい!会場を出たあとは本展の特設ショップへ。ミニチュア作品がプリントされたTシャツや絵ハガキ、カレンダー、マスキングテープのほか、田中さんの人気絵本も販売されています。本展は8月28日まで開催。夏休みにぜひお出かけください。© Tatsuya TanakaInformation会期:2024年8月1日(木)~28日(水)※8月21日(水)は休業日会場:日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール時間:午前10時30分〜午後7時(午後7時30分閉場)※ 最終日8月28日(水)は午後5時30分まで(午後6時閉場)観覧料:一般 ¥ 1,200/大学・高校生 ¥ 1,000中学生以下無料
2024年08月11日インスタでおしゃれなアートを披露されている俳優の牧島輝さんが初個展を開催!東京・恵比寿の弘重ギャラリーで、初のアートワーク作品展「PALEDA -Melt-」が9月18日からスタートします。今回、牧島さんに個展への想いやアート制作について、お話をうかがいました。個展開催は「素直にうれしい」牧島輝さん【女子的アートナビ】vol. 343――初個展を控えて、今どんなお気持ちですか?牧島さん素直にうれしいです。ずっと絵を描き続けてきたので、それらの作品を空間として表現してみたいという気持ちが前からありました。自分の作品を並べた状態で見たことがないので、その空間がどんな雰囲気になるのかなとワクワクしています。――60点以上も展示されるとのことですが、どんな作品があるのですか。牧島さん動物などを描いた絵画とタフティング作品があります。タフティングというのは、ラグのような織物を作る技法のことで、まず下絵を描き、そのあとタフティングガンという専用の機械を使って毛糸をひとつひとつ自分で打ち込んで制作します。壁に飾れるタイプのタフティング作品もつくりました。――イヌの顔がデザインされた作品も多いですね。主演映画「海岸通りのネコミミ探偵」やネコ撮影の番組などにも出られていたので、なんとなくネコ派のイメージがありました。牧島さん実はイヌ派です(笑)。動物好きなのでネコも好きですけど、昔から家族がイヌを飼っていたこともあり、作品は圧倒的にイヌが多めです。今回の個展でも、イヌの顔をタフティングした作品を30点ほど展示し販売もする予定です。作品の売上の一部は、保護犬活動などを行う団体に寄付することにしています。――タフティング作品が買えるのはうれしいですね。ずばり、個展の見どころは?牧島さんどの作品も色にこだわって描いているので、カラフルでポップな印象を感じていただけると思います。僕自身、アートとか芸術とかにあまり詳しくなくて、ただ好きで描いているので、僕と同じように絵に詳しくないかたでも色で楽しんでいただけるのではないかなと思います。昔の自分が羨ましい(笑)――絵はいつごろから描いていたのですか?牧島さん幼稚園の頃から好きでした。絵が好きだったので、親が絵画教室に連れて行ってくれたこともありましたが、それよりも自分で好きなものを自由に描くほうが好きでした。机とか教科書の端とか、どこにでも絵を描いてしまうような子どもでした。――小学一年生のとき絵が受賞されたそうですね。ネットで作品を拝見しましたが、子どもの絵とは思えないステキなアートでした。牧島さんありがとうございます!自分でも昔の自分が羨ましくなります(笑)。当時から、自由に楽しく描いていた気がします。とにかく絵を描くのが好きだったのです。芝居とアートの相乗効果は「かなりある」――お芝居とアート制作の相乗効果はありますか?牧島さんかなりあると感じています。お芝居に入り込むと、気持ちがごちゃまぜになることもあるのですが、描くことでモヤモヤしたものをアウトプットできるのです。アートで発散することで、抱え込みすぎずにすむので、心の健康にとってもいいなと思います。また、舞台も空間芸術で、色味とか立ち位置とかいろいろなバランスが考えられて作品になっているのですが、これも絵と共通している部分だと思います。絵を描いているとき、次の芝居はこんな色味のイメージでやってみたいと感じることもあります。――色でお芝居のイメージをされるのはユニークですね。牧島さんそうかもしれませんね。色味の感じとか音の色とか、自分のなかにしかないイメージなので、なかなか言語化するのが難しいのですが、お芝居とアートの相乗効果はすごくあると思います。――アートはゼロから生み出す作業ですが、創作のストレスを感じることはありませんか?牧島さん好きなときにしか描かないので、ストレスにはなりません。何かひらめいたとき、感じたとき、僕は脚本家さんのように文章にはできませんが、絵と色でなら表現できます。ゼロから一にするアート制作はすごく楽しいです。――最後に、個展を楽しみにしているファンのかたにメッセージをお願いします。牧島さん念願の個展を開催できるということで、自分が一番楽しみにしているのですけど、みんなも同じぐらい楽しみにしてもらえたらいいなと思います。いつも役者として表現する姿は見てもらっていますが、「牧島」として自分自身の表現をするのは新しい試みなので、僕の頭の中をのぞいたような気持ちになれると思います。ぜひ会場に足を運んでいただけたらうれしいです。――ありがとうございました!9月18日から開催!とにかく絵を描くのが大好きと語ってくれた牧島さん。実際に作品を見せていただきましたが、どれも本当にカラフルでかわいくておしゃれ。色の組み合わせもステキで、楽しい気分になれるアートばかりでした。本展では、新たに制作した作品など60点以上も展示されます。また、牧島さんのオリジナルアパレルブランド「PALEDA」のウェアや、作品をモチーフにしたオリジナルグッズも販売。会期中にはトークイベントも開かれますので、ぜひ会場に足を運んでくださいね。Information牧島 輝アートワーク展「PALEDA -Melt-」会期2024年9月18日(水)~9月29日(日)会場弘重ギャラリー(東京都渋谷区恵比寿2丁目10-4 ART CUBE EBIS B1F)入場料1,500円(税込)※日時指定予約制※日時はHPをご覧ください※開催情報については変更になる場合がございます。最新情報は公式HPをご覧ください
2024年08月09日東京・上野の国立西洋美術館で企画展「内藤コレクション 写本 ― いとも優雅なる中世の小宇宙」が開催中です。中世ヨーロッパで普及した美しい写本が集まる展覧会の見どころをご紹介します!美しい写本が勢ぞろい!展示室内※本記事の写真は主催者の許可を得て撮影しています【女子的アートナビ】vol. 340本展では、国立西洋美術館が所蔵する国内最大級の写本コレクション「内藤コレクション」を中心に約150点の作品をまとめて紹介。同館では初となる大規模な写本の展覧会です。写本とは、手で書き写された本のこと。印刷技術がなかった時代、中世ヨーロッパでは写本で知識が人々の間に広がっていきました。当時、羊や子牛などの皮を加工してつくられた紙に一文字ずつ筆写された写本は贅沢品のひとつ。美しく装飾された写本には、その時代の美意識が詰まっていました。本展では、聖書や詩編集、聖歌集などの華やかな写本を堪能できます。見どころは、美しいミニアチュール!展示風景展示は9章構成。最初の章では「聖書」の写本が並んでいます。写本といっても、展示されているのは「本」の形ではなく、1枚の紙。写本では、この紙のことをリーフまたは零葉(れいよう)といいます。筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史先生は、もともとの写本から切り離されたリーフを1枚1枚ヨーロッパなどで集め、コレクションを築き上げていきました。そしてそれらを一括で2015年度に国立西洋美術館へ寄贈。「内藤コレクション」は国内美術館最大級の写本コレクションです。写本の楽しみ方について、国立西洋美術館学芸課長の渡辺晋輔さんは次のように教えてくれました。「書かれている文字は小さいですが、文頭の飾り文字であるイニシャルには手の込んだ装飾がなされています。イニシャルのなかでも一番きれいに書かれている部分は、重要な段落という目印にもなっています。また、余白部分に大変美しいミニアチュール(挿絵)が描かれているものもありますので、ぜひその部分もご覧ください」最先端のアートが盛り込まれている!展示風景続いては、4章「ミサのための写本」へ。聖書の写本は、持ち運びするため小さなサイズで作られていましたが、「聖歌集」の写本は比較的大きなタイプになっています。歌を歌うときは何人かで一緒に見るため、大判で作られたそうです。また、写本には当時の最先端のアートが盛り込まれています。例えば、イタリアのフェラーラで作られた写本には、ルネサンス時代に生まれた新しい技法で人体が描かれています。写本は小さいながらも第一級品の美術品として人気が高く、昔から多くの人がコレクションしていました。男女トラブルを扱った写本!?展示風景後半では、教会法令集の写本も見られます。信仰や生活に関して定めた法律も写本によって広められ、継承されていきました。写本に書かれている文章は理解できなくても、絵で内容がわかるものもあります。例えば、裁判官のような人の前に男性がいて、その後ろで男女が仲良くしている挿絵は、夫が敵の捕虜となり長年家を離れている間に奥さんが別の男と再婚したことを訴えている場面。当時の人たちの暮らしぶりなどが伝わり楽しいです。電子書籍が当たり前の今、800~500年前に人の手で時間をかけて書かれた写本はとても尊い存在だと思います。中世の美の世界をぜひ一度ご覧になってください。Information会期:2024年6月11日(火)〜8月25日(日)休館日:月曜日、(ただし、8月12日(月・休)、8月13日(火) は開館)開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は9:30~20:00)※入館は閉館の30分前まで会場:国立西洋美術館企画展示室観覧料:一般 ¥1,700、大学生 ¥1,300、高校生¥1,000
2024年08月04日京都・嵐山にある福田美術館で、7月13日から企画展「福田どうぶつえん」がはじまります。円山応挙や速水御舟などが描いた“もふもふ”わんにゃんをはじめ、猛獣や爬虫類などさまざまな動物画が勢ぞろい。見どころや作品をご紹介します!嵐山にある人気の美術館!福田美術館外観【女子的アートナビ】vol. 339福田美術館は、京都の人気観光スポット嵐山にある美術館。館内のカフェからは渡月橋が一望できるという絶好のロケーションにあります。この夏、同館では所蔵コレクションのなかからセレクトした動物画を展示する企画展「福田どうぶつえん」が開かれます。日本では古くから、崇拝の対象や子孫繫栄などのおめでたいモチーフとして動物の絵が描かれてきました。例えば、雨を呼ぶ龍や風を起こすトラ、神の使いといわれるシカやサル、子だくさんのウサギなどが人気の画題で、著名な絵師たちの作品も多く残されています。本展では、円山応挙や木島櫻谷、速水御舟、加山又造など、江戸から平成までの日本画家たちが描いた動物画を78点も楽しむことができます。必見!大迫力のトラ大橋翠石《乳虎渡渓図》(部分)20世紀 前期展示福田美術館所蔵本展は3章構成。第1章「猛獣とはたらく動物」では、迫力あるトラの絵や、ウシやウマなど古くから人間の生活に欠かせない動物たちを描いた作品が展示されます。トラの絵が得意な⼤橋翠⽯の作品《乳虎渡渓図》は、毛並みや筋肉の付き方がリアルに描かれ迫力満点。江戸時代、与謝蕪村などが描いていたトラの絵は、ネコの瞳孔を参考に描いていたため瞳孔部分が三日月形になっているそうですが、⼤橋翠⽯が描く瞳孔は正確な丸い形に描かれ、生きたトラを観察していたことがわかります。動物園では本物のトラに近寄ることができないので、なかなか瞳孔まで観察できませんが、絵画作品ならじっくり近くで鑑賞できます。ぜひ、目の部分など細かいところもご覧になってみてください。森狙仙《親⼦猿図》18-19世紀(部分)前期展示福田美術館所蔵第2章「ツルツル、ニョロニョロ、ふわふわっ!」では、コウモリやヘビ、サルなどの動物画が登場。質感にこだわって描かれた爬虫類や甲殻類の作品を楽しめます。江戸時代後期の絵師、森狙仙(もりそせん)は円山応挙の影響を受けて写生的な画風を確立し、多くの動物画を残しています。特に、「猿書(さるがき)の名手」と呼ばれていたほどサルが得意。本展に出される《親⼦猿図》はふわふわとした毛の質感がとても魅力的で、必見作のひとつです。胸キュンわんにゃんが集結!速水御舟《洋犬》1919年 通期展示福田美術館所蔵第3章「もふもふ可愛いわんにゃんたち」では、多くの画家たちが描いたイヌとネコが集結。古くから愛玩動物として人気のあったイヌとネコは絵のモチーフとしても好まれ、本展でも円山応挙や長沢芦雪、川合玉堂、速水御舟など名だたる絵師たちの作品を見ることができます。円⼭応挙《⽵に狗⼦図》1779年(左幅部分)前期展示福田美術館所所蔵特に人気が高いのは、円山応挙《竹に狗子図》の子犬たち。とにかく愛らしく、つぶらな瞳にキュンキュンします。江戸時代中期の画家である応挙は、狩野派で学んだあと洋風画の遠近法や陰影法なども取り入れながら画風を確立。写生を重んじて写実的な作品を多く手がけ、子犬の毛も質感がリアルです。本展は、7月13日からスタート。夏の嵐山で、ぜひ楽しい動物画をご覧になってみてください。Information企画展名:福田どうぶつえん会 期:2024年7月13日(土)~10月1日(火)<前期>7月13日(土)~8月26日(月)<後期>8月28日(水)~10月1日(火)休館日:8月27日(火)展示替え、9月10日(火)設備点検開館時間:10:00~17:00(最終入館 16:30)会場:福田美術館観覧料:一般・大学生 ¥1,500、高校生 ¥900、小・中学生¥400
2024年07月07日この秋、東京・上野の国立西洋美術館で「モネ 睡蓮のとき」が開催されます。本展のアンバサダーと音声ガイドを務めるのは、俳優の石田ゆり子さん。展覧会の記者発表会に登壇された石田さんが、展覧会への想いを語りました。石田ゆり子さんがアンバサダー!石田ゆり子さん【女子的アートナビ】vol. 337「モネ 睡蓮のとき」では、印象派の巨匠クロード・モネ(1840-1926)が晩年に描いた作品にスポットをあてて紹介。世界最大級のモネ・コレクションを所蔵するパリのマルモッタン・モネ美術館から選ばれた作品約50点が来日し、日本国内にあるモネの名作も加わります。モネといえば睡蓮が有名ですが、本展では特に晩年の睡蓮作品を20点以上も紹介。しかも、2メートルを超える大画面の睡蓮作品が展示される予定で、リアルな絵画でモネの世界に没入することができそうです。そんな注目の本展でアンバサダーと音声ガイドを務めるのは、俳優の石田ゆり子さん。展覧会のテーマソング作詞と歌唱も担当された石田さんが、本展への想いを語りました。モネとの出合いは19歳の秋!――まず、アンバサダー就任を聞いてどのように感じられましたか。石田さん夢のようにうれしかったです。美術展のアンバサダーという役割にあこがれをもっていて、しかもそれがモネ。本当に私は心からモネが大好きで、こんなすばらしいご褒美のようなお仕事はほかにはないなと思いました。――石田さんとモネとの出合いはいつごろですか。石田さん19歳の秋です。はじめてパリに行き、とある美術スペシャル番組の撮影でオランジュリー美術館を訪れました。そこでふと見た空間がモネの「睡蓮の間」でした。そのときはモネのための撮影ではなかったのですが、思いがけずその空間を見ることができました。クロード・モネ《睡蓮》1916-1919年頃油彩/カンヴァスマルモッタン・モネ美術館、パリ© musée Marmottan Monet――当時、モネをご覧になりどう感じましたか?石田さん絵画というものに、こんなに心を奪われるという経験を当時したことがなくて、その空間にいるだけで本当に幸せな気持ちになり、あのときのことは忘れることができません。私にとって、モネはとても特別な存在です。テーマソングも制作!――石田さんは「lily」名でアーティスト活動もされています。本展テーマソングも石田さんが歌って作詞もされたのですよね。石田さん私は、本当にひっそりと歌をやっていまして、ほとんどの人が知らないと思いますし、知られていないままでいたかったというか、「誰なんだろう?」という程度でいいと思っていました(笑)。今回、テーマソングを歌ってほしいといわれて、どうしましょうと思ったのですが、大好きなモネですし、こんなチャンスは生きているうちに一回ぐらいしかないと思ったので、お受けいたしました。――曲のタイトルは『私のモネ』ですが、作詞やレコーディングで苦労された点はありますか。石田さん作曲とプロデュースを大橋トリオさんがやってくださり、詞は私が書きました。クロード・モネという偉大な画家に対して失礼があってはいけないと思い、たくさん文献を読み、映像も見ました。最初から曲がありましたので、すばらしいモネの世界を詞に落とし込んで、言葉を当てはめていきましたが、思ったよりも難しかったです。――ご自身のなかで、俳優と歌手との切り替えはありますか。石田さん表現をするという意味では歌うことも演じることも一緒なのですが、音楽は絶対的にリズムと音階があります。そこに自分の気持ちを乗せてオリジナルな表現をする、というのが全然新人なので……やはり、なるべくみなさんに知られたくなかったです(笑)絵画は感覚だけで見たいクロード・モネ《睡蓮の池》1918-1919年油彩/カンヴァスマルモッタン・モネ美術館、パリ© musée Marmottan Monet――石田さんは絵画を見るとき、何かこだわりはありますか。石田さんあまり前もって知識は入れずに、感覚だけで見たいという感じはあります。モネに関しても、いろいろな予備知識がないといけないと思っていらっしゃるかたがいるかもしれませんが、芸術はそれぞれの見方があっていいと思います。ひとりひとり心の中の受け入れ方も本当に千差万別なので、本展もまっさらな気持ちでただ浸っていただければいいのかなと思います。――本展は、どんな展覧会になると期待されていますか。石田さんたぶん日本に住むみなさんは、ほぼモネが好きだと思います。みなさんになじみがあるモネの展覧会のなかでも、晩年のモネに焦点をあてて、はじめて来日する作品もいくつかあるということで、私もとても楽しみです。きっとたくさんのかたが来てくださると思います。東京では10月5日から開催!石田さんは、コラボグッズのプロデュースもされていて、本展オリジナルのシルクスカーフが販売される予定です。デザインは、石田さんとも親交のあるShogo Sekineさんが担当。ほかにも、本展では多くのグッズが登場する予定です。本展は10月5日からスタート。東京のあと、京都と愛知に巡回予定です。Information会期:2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火・祝)会場:国立西洋美術館時間:9:30-17:30(金・土曜日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日、10月15日[火]、11月5日[火]、 12月28日[土]-2025年1月1日[水・祝]、1月14日[火](ただし 、10月14日[月・祝]、11月4日[月・休]、2025年1月13日[月・祝]、 2月10日[月]、2月11日[火・祝]は開館)観覧料:一般当日券 ¥2,300/ 前売券 ¥2,100大学生当日券 ¥1,400/ 前売券 ¥1,300高校生当日券 ¥1,000/ 前売券 ¥900
2024年06月23日東京・竹橋の東京国立近代美術館で「TRIOパリ・東京・大阪モダンアート・コレクション」が開催中です。国内外110名の作家によるモダンアート作品と、芸術レベルのユニークなオリジナルグッズをご紹介!見て、比べて楽しむ展覧会!展示室出口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 336本展では、パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館3館のコレクションから、絵画や彫刻、写真、デザインなど約150点のモダンアートが紹介されています。展示方法はとてもユニーク。共通のテーマをもつ作品でトリオを組み、絵画や彫刻などジャンルを越えた3点の作品が並んで展示されています。(複数作品でワンセットになっている場合もあります)。トリオは全部で34組。各トリオのテーマは、主題やモチーフ、色、形、素材などさまざまです。例えば、「空想の庭」、「モデルたちのパワー」、「まどろむ頭部」などのテーマでトリオが組まれ、20世紀から現代にかけての西洋美術や日本の作品などが並んでいます。本展のコンセプトは、「見て、比べて、話したくなる。」。同じテーマを別のアーティストたちがどう描くのか、トリオの作品を見比べて考えたり、誰かと感想を語ったりしながら楽しめる展覧会です。挑発的で美しい…!女性像のトリオトリオ、テーマ〈モデルたちのパワー〉左:アンリ・マティス《椅子にもたれるオダリスク》1928年パリ市立近代美術館、中央:萬鉄五郎《裸体美人》1912年 重要文化財東京国立近代美術館※展示期間:5月21日(火)~7月22日(月)・8月9日(金)~8月25日(日)、右:アメデオ・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》1917年大阪中之島美術館では、いくつか気になるトリオをご紹介。まずは、本展のメインビジュアルにもなっている女性像のトリオです。テーマは「モデルたちのパワー」。モデルになっている女性たちは、大胆なポーズで横たわっています。視線も挑発的で、特にモディリアーニの裸婦は目が合うとドキドキするような作品です。伝統的な西洋絵画で題材にされてきた女性像は、美しく官能的に描かれ、男性に見られる対象となっていたのですが、20世紀前半に生み出されたこの3作品は、女性たちの力強さや自由な雰囲気も感じられます。神秘的な空気が漂う…頭部のトリオトリオ、テーマ〈まどろむ頭部〉左:ジョルジョ・デ・キリコ《慰めのアンティゴネ》1973年パリ市立近代美術館、中央:コンスタンティン・ブランクーシ《眠れるミューズ》1910-11年頃 大阪中之島美術館、右:イケムラレイコ《樹の愛》2007年東京国立近代美術館※展示期間前期:5月21日(火)~7月7日(日)続いては、「まどろむ頭部」のトリオ。絵画2点と彫刻1点の組み合わせです。デ・キリコの作品に描かれている頭部は、顔の表情がないマネキン。異世界のような、夢の中のような、独特の雰囲気が感じられます。頭部だけのブランクーシ作品もミステリアス。表情からは神々しさも感じられます。イケムラレイコのパステル画もまた神秘的な雰囲気。《樹の愛》という概念を表現しているそうです。クールなデフォルメにしびれる!彫刻トリオトリオ、テーマ〈デフォルメされた体〉左:柳原義達《犬の唄》1961年東京国立近代美術館、中央:ジェルメーヌ・リシエ《ランド地方の羊飼い》1951年大阪中之島美術館、右:イヴ・クライン《青いヴィーナス》1962年パリ市立近代美術館最後は、彫刻のトリオ。すべて人物の彫刻ですが、どれも均整の取れた美しい姿ではありません。テーマは「デフォルメされた体」。リシエの彫刻は足の部分が異常に細長くなっていますが、これは羊飼いたちが竹馬に乗る姿を表したもの。このリシエに影響を受けた日本の彫刻家、柳原の裸婦像は肉付きがよいですが、戦争へのレジスタンスがこめられています。クラインの作品は、女性のトルソ(胴体部分)が青く塗られたブロンズ像。鮮やかでインパクトの強い青色と、ゆがんだフォルムのアンバランスさがクールです。芸術レベルのグッズも!「TRIO展」はオリジナルグッズも充実。定番の絵ハガキやクリアファイルのほか、個性的なグッズもいろいろあります。特に驚いたのは、ブランクーシの《眠れるミューズ》をそのままクッションにしてしまったグッズです。頭部だけのクッション、どうやって使うのでしょう?商品説明には「忘れられない強烈な存在感をもつぬいぐるみ。抱いて眠れば、いい夢が見られるかも?」とあります。本当に、一度見たら忘れられない、芸術レベルのインパクトの強さです。サンプル品に触れてみると、意外に柔らかく、頭をなでると妙に癒されました。見た目の強烈さと手触りの心地よさのギャップにも惹かれるグッズです。( ¥3,850税込)「TRIO展」は8月25日まで開催。ぜひ、お気に入りのトリオを見つけてみてください。Information会場:東京国立近代美術館※一部作品は展示替えがあります。会期:2024年5月21日(火)~8月25日(日)休館日:月曜日(ただし7月15日、8月12日は開館)、7月16日、8月13日開館時間:午前10時~午後5時(金曜日と土曜日は午後8時まで、入館は閉館の30分前まで)観覧料:一般 ¥ 2,200、大学生 ¥ 1,200、高校生 ¥ 700巡回:大阪中之島美術館9月14日(土)~12月8日(日)
2024年06月02日20世紀を代表するアーティストのひとり、ジョルジョ・デ・キリコ(1888~1978)の作品が上野の東京都美術館に集結。日本では10年ぶりとなるデ・キリコの大回顧展をご紹介します!「デ・キリコ展」開催中!展示室内© Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子【女子的アートナビ】vol. 335本展では、イタリアやドイツなど世界各地から集められたデ・キリコの絵画を中心に、彫刻、挿絵、さらに舞台衣装のデザイン画など多彩な作品100点以上を展示。初期から晩年までの作品をとおして、デ・キリコ芸術の全体像に触れられる展覧会です。デ・キリコって?展示室内© Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子デ・キリコはギリシャ生まれ。両親はイタリア人で、父親はシチリア貴族の家系でした。アテネの美術学校やドイツのミュンヘン・アカデミー絵画コースで学んだデ・キリコは、幻想的な作品を描いたベックリンやクリンガーなどの画家たちに影響を受けます。その後、1910年ごろから「形而上絵画」の制作を開始。形而上絵画とは、幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画のことで、ゆがんだ遠近法を用いたり、脈絡のないモチーフを並べたりしてシュールな雰囲気を出しています。彼が生み出した「形而上絵画」は、ダリやマグリットなど多くの前衛画家たちに影響を与えましたが、デ・キリコ本人はいったん形而上絵画から離れ、1919年以降、ティツィアーノのような古典的絵画を描きはじめます。展示室内© Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子その後、再び「形而上絵画」の画風に戻り、過去に描いた作品を再制作したり引用したりして、新たな作品を生み出していきます。同じモチーフを繰り返し描くデ・キリコの制作方法は、アメリカで活躍していたアンディ・ウォーホルが高く評価。デ・キリコをポップアートの先駆けと見なしていました。第一次世界大戦と第二次世界大戦を生きのびたデ・キリコは、トリノやフィレンツェ、パリなどヨーロッパ各地に移り住みながら暮らし、晩年はローマのスペイン広場近くにある住居を終の棲家として90歳で亡くなりました。デ・キリコの絵は難しい?(左)《孤独のハーモニー》 1976年ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団 © Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma © Giorgio de Chirico, by SIAE 2024 (右)《球体とビスケットのある形而上的室内》1971年 ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団© Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma © Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子デ・キリコの作品は、文字で解説すると「形而上」などのなじみにくい単語が出てくるので難しく感じてしまうのですが、実物を見ると意外に親しみやすくおもしろいです。例えば、彼の室内画《球体とビスケットのある形而上的室内》では、三角定規のような物体や球体、ビスケットなど何のつながりもなさそうな物体が並び、不思議な雰囲気が漂っています。展示室内© Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子彫刻の展示室もおもしろいです。デ・キリコの絵画をそのまま立体化したような彫刻は、ブロンズなのに柔らかな雰囲気。彼が繰り返し描いた「考古学者」や「馬と騎士」などのモチーフが、そのまま彫刻になっています。展示室内© Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子また、舞台関係のデザインも、デ・キリコの個性があふれています。彼は1930年代から1960年代にかけて、ヨーロッパの有名な劇場でオペラやバレエなどの舞台美術や衣装を制作しました。デ・キリコはニーチェやショーペンハウアーなどのドイツ哲学にも影響を受けて作品を制作しているので、作品解説を読むと、少し難しく感じることもあります。なので、とにかく美術館で実物を見るのが一番です。本来、あるべきでない場所にビスケットが描いてあったり、ありえない組み合わせのモチーフが並んでいたりするので、見ていると奇妙な感覚に陥ります。その違和感をぜひ楽しんでください。グッズもシュール!ミュージアムショップ© Giorgio de Chirico, by SIAE 2024撮影:山本倫子最後の特設ミュージアムショップでは、デ・キリコの作品がグラスやステーショナリー、トートバッグなどさまざまなグッズになっています。特にかっこいいのは、Tシャツ。絵画の中に描かれている三角定規のモチーフがデザインされ、クールでシュールです。色も、作品に出てくるカラーが使われているので、デ・キリコの世界観をそのまま身につけることができます。神秘的で謎めいていて、夢の世界のようなデ・キリコ作品が楽しめる本展は8月29日まで開催。Information会期:2024年4月27日(土)~8月29日(木)場所:東京都美術館企画展示室開室時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)休室日:月曜日、7月9日(火)〜16日(火)※ただし、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室観覧料:一般 ¥ 2,200、大学生・専門学校生 ¥ 1,300、65歳以上 ¥ 1,500※土曜・日曜・祝日及び8月20日(火)以降は日時指定予約制
2024年05月26日東京・六本木のサントリー美術館で「サントリー美術館コレクション展名品ときたま迷品」が開かれています。すでにタイトルから楽しい雰囲気が伝わる本展では、国宝などの名品だけでなく、ユニークな“迷品”も登場。展示風景や見どころをご紹介します!マニアックな“ささやき”がおもしろい!展示室入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 334本展では、サントリー美術館が所蔵するコレクションのなかから、国宝・重要文化財クラスの名品や、これまであまり展示される機会のなかった“迷品”など、さまざまなメイヒンを展示。さらに、展示作品の近くには、通常の作品解説だけでなく、「学芸員のささやき」と題したマニアックな情報も提示されています。担当学芸員の柴橋大典(しばはしだいすけ)さんは、本展について次のように述べています。柴橋さん名品と聞いて思い浮かべるのは、国宝など誰もが認める作品だと思います。しかし、展覧会にあまり出品されてこなかった“迷品”も、少し視点を変えるだけで魅力的な作品に見えてくる可能性を秘めています。本展では、国宝・重要文化財16件を含むサントリー美術館のメイヒンを集めました。ご自身にとってのメイヒンを探してみてください。いきなりユニーク…「サントリー美術館コレクション展名品ときたま迷品」展示風景《鞠・鞠挟》一組江戸時代18~19世紀サントリー美術館【通期展示】では、展示作品からいくつか気になるものをピックアップしていきます。最初の展示作品は、いきなりユニーク。正面から見ると、太鼓のようにも見える不思議なフォルムで、とても惹きつけられます。この白い物体は鞠(まり)で、その周囲にあるのは鞠挟(まりばさみ)。古代から伝えられてきた蹴鞠(けまり)用の道具です。蹴鞠とは、鹿皮製の鞠を蹴り上げて落とさないように受け渡しする貴族の遊び。さすが貴族の道具だけあって、鞠挟もゴージャス。蒔絵もあしらわれて美しいです。国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》一合鎌倉時代13世紀サントリー美術館【通期展示】ユニークな“迷品”のすぐ近くには、サントリー美術館が誇る国宝《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》が展示されています。金粉や螺鈿などで装飾され、華やかで美しい手箱です。「学芸員のささやき」には、北条政子が愛蔵していた手箱だという言い伝えや、新たな伝説なども記載。ぜひ会場で読んでみてください。素朴でかわいい絵入り本《かるかや》二帖室町時代 16世紀サントリー美術館【通期展示・場面替あり】また、サントリー美術館の大人気“迷品”《かるかや》も展示されています。本作品は、仏教の教えを説く説経節(せっきょうぶし)「苅萱(かるかや)」の絵入り本です。素朴でかわいい絵ですが、本の内容はホッコリするものではありません。主人公は、無常を感じ、妻子を残して出家した苅萱道心(かるかやどうしん)。彼は、息子が父を探しに高野山を訪れても自分が父だと名乗らず突き放し、信濃に移って善光寺で亡くなります。さらに、高野山で出家した息子も父と同じ日の同じ時刻に亡くなったというストーリーです。プロの絵師が描いたものではありませんが、素朴で心を打つ“迷品”です。《かるかや》がグッズに…!ミュージアムショップでは、なんと《かるかや》がマトリョーシカになっていました!なぜマトリョーシカになったのか、非常に気になるところですが、素朴な絵画がそのままの雰囲気で人形化されていて、めちゃくちゃ和みます。それぞれのお顔も愛らしく、部屋に置いてずっと眺めていたくなるグッズです。ほかにも、多くの作品が美しいアクセサリーやステーショナリーグッズになっています。どれにしようか迷うほどの良いグッズも“メイヒン”のひとつですね。本展は6月16日まで開催。ぜひ、メイヒンを探しに足を運んでくださいね。Information会期:2024年4月17日(水)〜6月16日(日)※作品保護のため、会期中展示替を行います場所:サントリー美術館(東京ミッドタウンガレリア3階)開館時間:10時~18時※金曜および6月15日(土)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで休館日:火曜日(6月11日は18時まで開館)入館料:一般 ¥ 1,500、大高生 ¥ 1,000、中学生以下無料
2024年05月19日嫌いな男性はいない?「癒し系女子」になるために必要なこと癒し系女子に対して特別な魅力を感じる男性は多いでしょう。では具体的に、男性は癒し系女子のどの部分に魅力を感じているのでしょうか?今回は、その秘密を紐解いてみます。感謝の気持ちをまっすぐに表現男性共通の意見として、感謝の気持ちを素直に表現できる癒し系女子が好印象だという声が多いようです。特に、ささいな気配りに対する感謝や心遣いが、男性の心をぐっと惹きつけるようです。彼らは、そんな癒し系女子の行動は裏表がなく、自然体であると感じるでしょう。純粋さと自然体がキーポイント!また、男性は癒し系女子の自然体な純粋さに魅力を感じる傾向があります。彼女たちの純粋さは男性を和ませ、安心感を与えるのでしょう。そして男性は、その姿を見て計算高さや余計な装いを感じないため、彼女たちに好意を抱くのではないでしょうか。天然な癒し系女子の行動何気ない行動が男性を喜ばせる、そんな一面も癒し系女子の魅力。彼女たちの思わぬ行動や、ぼんやりとした態度に男性は笑顔になります。その姿を見て男性は、彼女たちを守りたいと感じるのかもしれませんね。落ち着いたファッション彼女たちの親しみやすい服装も男性にとっては心地よさを感じています。適度に主張しながらも、落ち着いたスタイルにすることがポイントです。彼と一緒にいて馴染むようなファッションで、自身の個性を表現してみましょう。無理せず自分らしく癒し系女子に憧れる女性は多いでしょう。しかし、男性を意識しすぎて無理に癒し系に振る舞うと、自分らしさが失われてしまう可能性があります。男性は、あなたが自然体でリラックスした態度を魅力と感じているのかもしれません。ここは気張らず、癒し系のよさを自分なりに取り入れ、自分らしさを大切にしましょう。(愛カツ編集部)
2024年05月19日現在、東京駅エリアで開催中の展覧会を2つピックアップします。静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)の特別展「画鬼河鍋暁斎×鬼才松浦武四郎」と、アーティゾン美術館の「ブランクーシ本質を象る」です。それぞれのミュージアムショップで買えるユニークなグッズもご紹介!特別展「画鬼河鍋暁斎×鬼才松浦武四郎」展示室入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 332静嘉堂@丸の内で開かれている本展では、幕末明治期を生きた天才絵師・河鍋暁斎(1831~89)と、探検家や著述家など多彩な才能を持つ松浦武四郎(1818~88)の二人にフォーカス。暁斎の絵画を中心に、武四郎が集めた古物などの文化財や資料も展示しています。河鍋暁斎は、7歳のとき絵師の歌川国芳に入門。さらに10歳で狩野派の絵師に師事し、40歳前後で絵師としての地位を確立。「画鬼」と呼ばれた絵師で、あらゆるものを描くことができ、出版物の挿絵から写実的な作品まで幅広く手がけ活躍しました。松浦武四郎は、蝦夷地(北海道)の調査を6回行った探検家で、北海道の名付け親としても知られています。明治新政府から開拓判官に任命されていましたが、政府の政策に反対して職を辞したあと、いっそう古物蒐集に情熱を注ぎました。武四郎は暁斎の画力を気に入り、自分の出版物に挿絵を依頼。さらに、本展の必見作で今では重要文化財になっている《武四郎涅槃図》も、武四郎が暁斎に注文して描いてもらったものです。中央:重要文化財 河鍋暁斎《武四郎涅槃図》明治19年(1886) 松浦武四郎記念館蔵プレス内覧会では、本展の企画を担当した静嘉堂文庫美術館学芸員の吉田恵理さんが、《武四郎涅槃図》について次のように解説しています。吉田さん本作品は、武四郎が存命中に自分自身をお釈迦様に見立てて河鍋暁斎に描かせた大胆不敵でユニークな絵画です。作品のなかでは、トレードマークの大首飾りをかけ、幸せそうな顔をして寝ている武四郎の姿が描かれています。武四郎の周りには、彼が集めた観音様のお像やさまざまな彫刻、人形なども描かれています。さらに、本作品のなかに登場する大首飾りや古物の一部も、今回一緒に展示しています。武四郎の理想の世界を存分にお楽しみください。欲しい…!《地獄極楽めぐり図》ステッカー河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》 明治2~5年(1869~72) 静嘉堂蔵 ※会期中場面替えあり本展では、河鍋暁斎の《地獄極楽めぐり図》も展示されています。本作は、日本橋の小間物問屋・勝田五兵衛の愛娘である田鶴(たつ)の追善供養のために描かれたもの。14歳で亡くなった少女が、地獄を見物したり、閻魔大王と宴会したりしながら極楽にたどり着く奇抜な物語です。現世と同じようにあの世でも楽しく過ごす少女の姿が生き生きと描かれた本作品は、暁斎の代表作のひとつです。《地獄極楽めぐり図》ステッカー 2種 各¥700静嘉堂のミュージアムショップでは、この《地獄極楽めぐり図》をモチーフにしたステッカーも販売中。「旅立ち~再会編」と「冥界見物~極楽往生編」の二種類あり、仏様に見守られながら極楽に向かう田鶴のさまざまな姿がステッカーになっています。小さなグッズですが、暁斎の鮮やかな色も再現され、画力の高さが感じ取れます。「ブランクーシ本質を象る」コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》1907-10年、石膏、石橋財団アーティゾン美術館蔵JR東京駅の八重洲中央口から徒歩5分で行けるアーティゾン美術館では、現在「ブランクーシ本質を象る」が開かれています。本展では、ルーマニア出身の彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ(1876~1957)の彫刻作品を中心に、絵画や写真作品も展示。ブランクーシ・エステートをはじめ、国内外から集められた作品約90点が紹介されています。20世紀彫刻を代表する作家のひとりであるブランクーシは、ブカレスト国立美術学校に学んだあとフランスに渡り、ロダンのアトリエで助手を務めます。しかし約一か月でロダンのもとを離れ、独自の造形を追求して前衛的な作品を生み出し、アメリカなどで高く評価されました。アーティゾン美術館学芸員の島本英明さんは、本展について次のように解説。島本さんブランクーシは、まとまった数の作品を集めるのが簡単ではないアーティストです。今回は国内外の美術館や機関、個人コレクターなどからお借りし、彫刻作品を23点揃えることができました。特に、早い時期の作品が充実しています。また、ブランクーシにとっては写真も大切な要素のひとつでした。彼は自分の作品を写真に撮り、創作を再解釈していました。会場では、彫刻を中心に、関連する写真や絵画をあわせて展示しています。かわいい…!モフモフ系ワンコのぬいぐるみアーティゾン美術館ミュージアムショップ美術館のミュージアムショップでは、本展のオリジナルグッズが充実。アーティゾン美術館が所蔵するブランクーシの傑作《接吻》のグラスやTシャツ、キーホルダーなどもあります。ぬいぐるみ¥1,650ちょっと変わり種のグッズは、モフモフ系ワンコのぬいぐるみです。これはブランクーシの愛犬をモチーフに製作されたもので、お顔もキュート。ブランクーシは「白」にこだわりがあったそうで、アトリエの床も壁も白く、自分の服装も愛犬も白でした。本展の会場では、彼のアトリエをイメージした展示室もあるので、ぜひそちらで「白」へのこだわりも体感してみてください。Information特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎『地獄極楽めぐり図』からリアル武四郎涅槃図まで」会期:2024年4月13日(土)~6月9日(日)場所:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)開館時間:10:00~17:00※土曜日は 18:00、第4水曜日は20:00 閉館※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日、5月7日(火)※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館入館料:一般 ¥ 1,500、大高生 ¥ 1,000、中学生以下無料「ブランクーシ本質を象る」会期:2024年3月30日(土)~7月7日(日)場所:アーティゾン美術館(6階展示室)開館時間:10:00~18:00(5月3日を除く金曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日入館料:ウェブ予約チケット¥1,800円、窓口販売チケット¥2,000(予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットをご購入いただけます)学生無料(高校生以上要ウェブ予約)同時開催:石橋財団コレクション選(5・4階 展示室)特集コーナー展示清水多嘉示(4階 展示室)
2024年05月05日東京・丸の内の行幸地下ギャラリーで、若手アーティストの作品が集まる展覧会「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI(アートアワードトーキョーマルノウチ) 2024」が開催。入場無料で最新アートを見られる注目の展覧会をご紹介!最新アート20点が集結!アートアワードトーキョー丸の内 2023グランプリ受賞作品浅野克海「この世界、魂を震わすモノ」【女子的アートナビ】vol. 333「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI(アートアワードトーキョーマルノウチ) 2024」(以下、AATM)とは、若手アーティストの発掘・育成を目的とした現代美術の展覧会です。今年で18回目の開催となるAATMでは、日本全国にある主要な美術大学・芸術大学・大学院18校からノミネートされた147点の作品から選ばれた20点を展示。初日となる4月25日(木)には、グランプリなど各賞が発表され、丸ビル1Fマルキューブで表彰式が行われます。この表彰式は、オープンスペースで開かれるので、誰でも観覧可能です。(詳しい日時は、最後のInformation欄でご確認ください)AATMの会場となる「行幸地下ギャラリー」は、JR東京駅の地下道と直結。地下鉄丸ノ内線の改札を出てすぐの地下通路にあります。まさに駅チカで、しかも入場無料。東京に遊びに来たついでに、気軽に立ち寄れる場所です。アート界のプロが厳選!会場イメージ(昨年の様子)本展で審査員を務めるのは、美術館の学芸員や芸術大学の教授、ギャラリー代表など7名の専門家の方々です。審査員のひとり、東京都現代美術館 学芸員の藪前 知子さんは、一次審査を終えたあと次のように述べています。「今回の審査では、コロナ禍の特殊な環境の中で制作の第一歩を踏み出さなくてはならなかった世代が、どのように独自の表現に到達しているのかにおのずと注目することになりました。空間の欠落や身体の痛み、外界との違和感が一層研ぎ澄まされているのを感じ、とても刺激を受けました」ラーメンのアートも…!磯崎海友《ラーメン依存症》Photo: Takafumi Katoでは、今回展示される20作品のなかから、いくつかピックアップしてご紹介していきます。まずは、依存をテーマにしたユニークな版画作品《ラーメン依存症》。色彩や線のタッチなど、一見するとおしゃれなイラスト風なのですが、ラーメンをわしづかみにして口に含む女性の姿はけっこうグロテスク。シャワーからも水の代わりにラーメンが流れていて、異様な光景です。作者の磯崎海友さん(多摩美術大学 大学院)は、ご自身の制作について次のよう述べています。「依存を描くことを通して、人の生き様を垣間見る。生きることを見つめる。私にとってはその行為自体がとてもポジティブなことだ。」本展では依存に関する他の作品も展示予定です。原ナビィ《ぶっちぎり》続いては、力強い作品《ぶっちぎり》。げんこつの描写にすごいパワーを感じます。作者の原ナビィさん(東京藝術大学)は、本作について「ぶっちぎりの絵。楽しんで描いた。」とコメントを発表。作品もコメントもインパクトがあります。山口遼太郎《そらひかり》また、本展では、絵画だけでなく立体作品も展示されます。《そらひかり》は、静謐な雰囲気が漂ってくる不思議な陶芸作品です。制作した山口遼太郎さん(京都市立芸術大学 大学院)のコメントは、次のとおり。「日常に溢れる小さなひかりをモチーフに、陶土で小さく繊細な造形を行った。静かな場所にキラッと何かが光る場面や風景を表現した。」鈴木晴絵《〈あなたのための森〉積み木のチェック》Photo: 古賀 慧道次の作品《〈あなたのための森〉積み木のチェック》も立体作品。積み重ねた小さな木材の上に、かわいい木のオブジェがちょこんと乗っていて、素朴なフォルムですが何か惹き付けられます。本展では、版画と立体を組み合わせたインスタレーションによって、素朴さの奥に潜む作家の世界を表現します。作者の鈴木晴絵さん(女子美術大学 大学院)は、次のような詩的なコメントを寄せています。「事物に意味を付け縛るのは私。それを刻み、複製し、重ね合わせる。いつのまにか私から解放され森になる。あなたのための森」※2024年3月卒業・修了時点の大学名を明記しています。アーティストに質問&感想もシェアできる!また、開催中のアートイベントを見つけられるスマートフォンアプリ「PINTOR(ピントル)」を使えば、本展で展示されている作品の解説を読むことができます。さらに、作品について質問を投稿すると、アーティストから回答をもらうことも可能(※一部参加作家を除く)。ほかの来場者と感想をシェアすることもでき、より深く楽しいアート体験ができます。ぜひ会場で!本展では、全20作品が会場でどのように展示されるのかも見どころのひとつです。ネットの画像だけで作品の迫力や魅力は伝えきれないので、ぜひ現地でアートが放つエネルギーを体感していただきたいです。また、本展会場からすぐ近くにある「丸の内仲通り」付近には、草間彌生、ヘンリー・ムーア、舟越桂など世界的アーティストたちの彫刻やオブジェ全19点があちこちに展示されています。もちろん、これらの作品も無料で鑑賞できますので、ぜひ今回の若手アーティストたちの作品と一緒にご覧ください。Information会期:2024年4月25日(木)~5月12日(日)11:00~20:00※最終日のみ18:00まで※観覧可能時間は変更になる場合がございます※4月25日(木)丸ビル1F マルキューブにて表彰式を行います。(16:00~17:00)展示会場:行幸地下ギャラリー※入場無料【審査員】(五十音順)今村有策氏(東京藝術大学大学院美術研究科 教授)木村絵理子氏(弘前れんが倉庫美術館 館長)後藤繁雄氏(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学 教授)小山登美夫氏(小山登美夫ギャラリー 代表、日本現代美術商協会 副代表理事)建畠晢氏(埼玉県立近代美術館 館長)藪前知子氏(東京都現代美術館 学芸員)野口玲一氏(三菱一号館美術館 学芸員)
2024年04月24日東京・六本木の国立新美術館で「マティス自由なフォルム」が開催されています。20世紀最大の巨匠のひとりとして知られるフランスの芸術家、アンリ・マティス(1869-1954)。本展では、特に彼が後半生で取り組んだ「切り紙絵」に着目し、日本初公開となる大作も登場しています。展示風景や学芸員さんのお話、おしゃれな限定グッズ&スイーツもご紹介!南仏ニースから約100点以上も来日!「マティス自由なフォルム」展示風景※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。© Succession H. Matisse【女子的アートナビ】vol. 331本展では、マティスが後半生を過ごした南仏のニース市マティス美術館が所蔵するコレクションを中心に展示。ニースでマティスが手がけた「切り紙絵」にフォーカスしながら、絵画や彫刻、版画、舞台衣装など約150点の作品が紹介されています。国立新美術館主任研究員の米田尚輝さんは、本展の概要について次のように解説されています。米田さん今回の展示作品のうち、90パーセント以上がニース市マティス美術館のコレクションから構成されています。同美術館のコレクションはマティスがニース時代に制作したものが多いのですが、初期の重要作品もあります。今回は時系列的に構成され、パリ時代に描いた初期作品からフォーヴィスム時代、南仏時代の作品、さらに重要な彫刻の作品群も展示されています。南仏で明るい光と出合う左:アンリ・マティス《マティス夫人の肖像》1905年、右:《日傘を持つ夫人》1905年ニース市マティス美術館蔵© Succession H. Matisseでは、いくつか見どころをご紹介。まず、「Section1 色彩の道」では初期からフォーヴィスム時代の作品が並んでいます。マティスは21歳のときに画家になると決意。パリの国立美術学校でギュスターヴ・モローに学び、ルーヴル美術館で巨匠たちの作品を模写したりしながら技法を身につけていきました。その後、南仏に滞在し明るい光と出合ったことがきっかけとなり、鮮やかな色彩を使うフォーヴィスム絵画が生まれました。ちなみに、「フォーヴィスム」は日本語にすると「野獣派」となります。マティスなど一部の画家たちは荒々しい強烈な色彩を使うため、フォーヴ(野獣)にたとえられてこの名称がつきました。絵に描かれているオブジェも登場!右:アンリ・マティス《小さなピアニスト、青い服》1924年ニース市マティス美術館蔵 © Succession H. Matisse 、左:《赤い“ムシャラビエ(アラブ風格子出窓)”》北インド? 19世紀末〜20世紀初頭 個人蔵(寄託:ニース市マティス美術館)続く「Section2 アトリエ」では、アトリエで描かれた作品や、アトリエ自体をテーマにした作品を展示。マティスは南仏ニースに滞在し、骨董品などのオブジェを集め始めました。会場では、マティスが所有していたオブジェと、そのオブジェが描かれた絵画作品もあわせて展示。東洋風の火鉢や大きな織物などと一緒にマティスの絵が並べられ、ユニークな光景を見ることができます。展示風景より、マティスがデザインした衣装(制作したのは、モンテ・カルロ・バレエ団のアトリエ)© Succession H. Matisse続く「Section3 舞台装置から大型装飾へ」では、マティスが手がけたデザインに関する仕事などを紹介。マティスは、1920年にパリのオペラ座で開かれたバレエ・リュスの舞台「ナイチンゲールの歌」の舞台装置と衣装デザインを担当。この衣装のためにマティスは何枚も習作を描いたそうです。会場では、色鮮やかな衣装がズラリと並び、見ごたえがあります。色も形もポップでかわいい!アンリ・マティス《花と果実》1952-53年ニース市マティス美術館蔵 © Succession H. Matisse「Section4 自由なフォルム」では、本展のメインビジュアルにも使われている切り紙絵の大作《花と果実》が登場!色も形もポップでかわいい雰囲気の花の絵は、見ているだけで明るい気分になってきます。本作品について、米田さんは次のように述べています。米田さんマティスは1952年ごろ、アメリカ人コレクターから大型装飾作品を注文されました。本作品は、その装飾作品のためにマティスが提案した四つの案のうちのひとつです。5枚のカンヴァスが繋げられ、大きな切り紙絵になっています。本作品は、今後ニース市から外に出る可能性は限りなく低いと思いますので、日本で見られる最後の機会かもしれません。昭和のマティスブーム!展示風景© Succession H. Matisseまた、本展では、マティスと日本の関係を紹介した展示もあります。日本ではじめてマティスの展覧会が開かれたのは1951年、昭和26年でした。当時80歳を超えていたマティス本人が、展示作品の選定やポスター制作などにも指示を出したそうです。会場では、そのときの展覧会に関する資料なども展示され、昭和に巻き起こったマティスブームの様子を知ることができます。ヴァンスのロザリオ礼拝堂内部のレプリカ最後の「Section5 ヴァンスのロザリオ礼拝堂」では、マティスが晩年に室内装飾から祭服デザインまで手がけたロザリオ礼拝堂についての作品や資料などを展示。さらに、ヴァンスのロザリオ礼拝堂内部のレプリカをほぼ原寸大で再現した部屋に入ることもできます。グッズもスイーツも超おしゃれ!本展の特設ショップでは、オリジナルグッズが充実。かわいいマグカップやトートバッグ、ステーショナリーなどが揃っています。特にステキなのは、《花と果実》をあしらったTシャツ。グレーの生地と作品の相性がぴったりです。上:[デザート] アンリ・マティス《花と果実》「昔ながらのゴーフルと色々な果実バタフライピーのクリームとフランボワーズのクーリー」、下:アンリ・マティス《花と果実》 1952-1953年切り紙絵、410 × 870 cm、ニース市マティス美術館蔵 © Succession H. MatissePhoto: François Fernandezマティスの《花と果実》は、スイーツとしても登場。名画はどんなものにアレンジしてもおしゃれになりますね。色彩鮮やかなマティスの展覧会は、春のお出かけにもぴったりです。連休中も開館しているので、ぜひ足を運んでみてください。Information会期:2024年2月14日(水) ~ 2024年5月27日(月)開館時間:10:00~18:00※毎週金・土曜日、4月28日(日)、5月5日(日)は20:00まで※入場は閉館の30分前まで休館日:毎週火曜日休館※ただし4月30日(火)は開館会場:国立新美術館企画展示室2E観覧料:一般 ¥2,200、大学生 ¥1,400、高校生 ¥1,000※中学生以下無料
2024年04月21日東京・上野にある東京藝術大学大学美術館で「大吉原展」が開かれています。江戸時代のファッションや芸術の発信地だった遊廓地、吉原。華やかな日本文化が集まる場であるとともに、負の歴史も背負う吉原をテーマにした異色の展覧会について、専門家のお話や展示風景などをレポートします。文化発信と売買春の場所…展示室入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 330本展では、江戸時代に約250年も続いた幕府公認の遊廓・吉原で発達した江戸文化や芸術などについて、国内外からの名品で紹介。大英博物館や千葉市美術館、細見美術館などが所蔵する浮世絵や美人画などの絵画をはじめ、工芸品や着物なども展示されています。そもそも吉原とは、どんな場所だったのでしょう?江戸幕府が1617年に遊廓として許可した吉原は、最初は現在の東京都中央区・人形町にありました。1657年、明暦の大火を機に吉原は台東区・千束に移転。日本の代表的な遊廓として繁栄しましたが、明治以降は衰退し、1958年の売春防止法により消滅しました。プレス内覧会では、本展学術顧問で法政大学名誉教授の田中優子先生から、展覧会の趣旨などについて詳しい説明がありました。以下、要約してお伝えします。田中先生吉原は、文学や絵画、工芸などさまざまなものが生まれた場所です。遊女たちはすばらしい着物を身につけ、絵師たちは深い関心と尊敬の念をもって彼女たちを描いています。吉原は遊廓ですが、文化が凝縮し、新しい文化が生まれる拠点にもなっていたという側面は、日本の文化史において見過ごしてはならない点です。しかし、吉原の経済基盤は売買春であり、膨大な借金を抱えた遊女たちが働かされていました。これは明らかに人権侵害です。遊廓という組織は二度と出現してはならない場所であり、その存在が現在に至るまで日本社会で「女性」についての固定観念をつくってしまったのは間違いのないことです。日本文化の発信地であり、売買春の場でもあった吉原ですが、その片方を見ることによりもう片方を隠してしまうことに問題があると私は思います。両方があることを知ってください。なぜその両方が両立できたのか、それを考えつつ、吉原文化を見ていただきたいと思います。夜桜見物を描いた大作!歌川豊春《新吉原春景図屏風》天明(1781〜89)後期〜寛政(1789〜1801)前期、個人蔵【通期展示】では、展示の見どころをいくつかご紹介していきます。地下二階にある最初の展示室では「吉原入門」というテーマで、吉原の町を描いた作品や、喜多川歌麿の大判錦絵などが並んでいます。この部屋で特に注目したいのは、浮世絵界の有名な流派「歌川派」の祖、歌川豊春の《新吉原春景図屏風》。夜桜見物でにぎわう町の景色をテーマにした肉筆画の大作です。吉原ではさまざまな年中行事が行われ、例えば桜の季節になると、本物の桜の木を植木屋が運び込み、客が遊女たちと一緒に花見を楽しめるように演出されました。この作品には、遊女や客など町を行きかう人々が桜を楽しんでいる様子が生き生きと描かれています。花魁が泣いて怒った作品とは…展示風景より、中央に見えるのが高橋由一《花魁》[重要文化財]明治5年(1872)東京藝術大学所蔵地下二階の第二会場では、錦絵美人画や蔦屋重三郎の出版物、明治期の絵画などが展示されています。ここでの見どころは、日本初の洋画家として知られる高橋由一の作品《花魁》。本展を企画した東京藝術大学大学美術館教授の古田亮先生は、この作品について次のように解説しています。古田先生本作品は、実際にいた遊女を油絵で描いたものです。それまで遊女は、浮世絵の美人画として描かれていました。本作のように写実的に描かれたのは初めてだったため、花魁は驚いて「私はこんな顔ではありません」と泣いて怒ったという逸話が残されています。この作品は数年前から修復しており、今回の展覧会で修復後はじめて公開となりました。顔のツヤや目の輝きなど、描かれた当時の微妙な質感を見ることができるようになり、高橋由一の技量がわかると思います。吉原にタイムスリップ!展示風景より三階の第三会場に入ると、雰囲気がガラリと変化。吉原の町並みが現れ、三味線の音色も流れて、江戸時代にタイムスリップした気分を味わえる展示空間になっています。例えば「京町一丁目大文字屋サロン」のようにテーマごとに区切って、浮世絵や工芸品などを展示。本展のキービジュアルにも使われている喜多川歌麿の華やかな肉筆画《吉原の花》をはじめ、溪斎英泉や歌川広重、歌川国貞などの作品も楽しめます。展示風景より特に目を引いたのは、三味線の展示。古田先生は、次のように述べています。古田先生これは、18世紀前半に実在した「玉菊」という花魁が使っていたと伝わる三味線です。才色兼備で諸芸に通じ、吉原の人々から愛された玉菊は25歳で亡くなりました。その死をいたみ、吉原では玉菊供養の燈籠(とうろう)を飾るようになり、それが年中行事のひとつになりました。遊廓の美しい模型も!辻村寿三郎、三浦宏、服部一郎《江戸風俗人形》昭和56年(1981)台東区立下町風俗資料館所蔵【通期展示】最後の展示室では、《江戸風俗人形》を展示。台東区立下町風俗資料館のコレクションで、3メートル近い台の上に文化文政期時代の美しい遊廓の世界が再現されています。檜細工師の三浦宏氏による建物は、国産の木材を使用。部屋のつくりなど細かな部分まで再現されています。江戸小物細工師・服部一郎氏が各部屋の調度品を手がけ、人形師・辻村寿三郎氏が制作した人形は、刺繍された美しい衣装を身につけています。女性たちの化粧も当時流行したものになっていて、見ていて飽きません。本展では、遊廓の華やかで美しい一面だけでなく、遊女たちが置かれた境遇についての説明もあり、吉原の歴史についても考えさせられました。吉原文化の光と影を感じられる展覧会、ぜひ一度訪れてみてください。Information会期:2024年3月26日(火)~5月19日(日)開館時間:午前10時 ~午後5時(入館は午後4時30分まで)※会期中、作品の展示替えがあります前期展示:3月26日(火)~ 4月21日(日)後期展示:4月23日(火)~5月19日(日)会場:東京藝術大学大学美術館休館日:月曜日、5月7日(火)(ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・振休)は開館)観覧料:一般 ¥2,000、高校・大学生 ¥1,200、中学生以下無料
2024年04月14日東京・上野にある国立西洋美術館で「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」が開催されています。かなり長いタイトルがつけられたユニークな本展について、研究員さんのお話や展示風景などをレポートします!“死者の作品しかない美術館”に現代アートが集結!国立西洋美術館入り口付近※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 328本展では、国立西洋美術館で史上初となる「現代アーティストたちが制作した作品」を展示。同美術館が所蔵するコレクションにインスパイアされて新たに制作された作品など、20組以上のさまざまな世代のアーティストたちによる多彩なジャンルのアート作品が紹介されています。本展を担当された国立西洋美術館主任研究員の新藤淳さんは、開催の経緯について次のように述べています。新藤さんこの展覧会は、ひとつの問いからはじまりました。国立西洋美術館は、生きている作家の作品は収められていない状態が続いている、つまり“死者の作品しか存在しない美術館”なのですが、生きているアーティストたちも招いたほうがいいのではないか、という問いです。なぜなら、この美術館には生きたアーティストたちの糧となるために建てられた歴史があるからです。美術館の母体となった「松方コレクション」を築いた松方幸次郎は、当時日本にいた多くの絵描きたちに本物の油絵を見せてあげたいという思いから、コレクションを集めていきました。未来の芸術をつくるアーティストたちの刺激になってほしいという願いが込められていたと考えられるこの美術館に、今生きているアーティストたちの方々を招き、問いを投げかける形で展覧会を構成しました。章タイトルがユニーク!左:ポール・セザンヌ《葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々》(1885-86)、右:内藤礼《color beginning》(2022-23)では、展示作品のなかから、特に印象に残った作品をいくつかご紹介していきます。まず、全体を通してユニークだと思ったのは、各章のタイトル。問いかけるスタイルで、末尾にクエスチョンマークがついています。例えば最初の0章は、「アーティストのために建った美術館?」。この章では、「国立西洋美術館はアーティストのために建ったのではなかったか?」という問いかけを象徴する作品や資料が紹介され、コレクションを築いた松方幸次郎の肖像画や、美術館の基本設計を担当したフランスの建築家、ル・コルビュジエのスケッチなどが並んでいます。続く1章のタイトルは、「ここはいかなる記憶の磁場となってきたか?」。1章で目を引いたのは、内藤礼のアクリル絵画《color beginning》。本作品の隣には、国立西洋美術館の所蔵作品であるポール・セザンヌの油彩画《葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々》が並び、この二作品だけ、ほかのアーティストたちの作品とは離れ、大きな壁で仕切られた端っこにある静かな空間に展示されています。解説によると、セザンヌの『葉を落としたジャ・ド・ブッファンの木々』の隣に、自身の絵画を距離をあけて展示する、というプランを内藤が提案。この展示室を見た感想としては、シンプルに、居心地のいい空間だと思いました。イケアの家具が展示室に!?展示風景より、小田原のどかの作品など続く2章「日本に『西洋美術館』があることをどう考えるか?」では、靴を脱いだ空間で鑑賞する小田原のどかの作品群がユニークです。彫刻家の小田原は、国立西洋美術館の彫刻が免震用台座のうえに展示されていることに興味を示し、彫刻を「転倒」させたインスタレーションを制作。まっすぐ立っているのが当たり前、というイメージがある彫刻が倒れている光景は、なかなかインパクトがあります。彫刻の「転倒」と、人間が思想的に「転向」することを重ね合わせているそうで、深いテーマが含まれた作品です。展示風景より、鷹野隆大の写真など4章「ここは多種の生/性の場となりうるか?」では、ショールームのような、あるいは友人の部屋のような不思議な展示室が出現。写真家の鷹野隆大によるプロジェクトで、彼の写真とイケアの家具、国立西洋美術館の所蔵作品などが並び、かなり異質な光景を見ることができます。解説によると、鷹野は手ごろに買えるイケアの家具が並ぶ日常空間に、個人ではけっして買えない国立西洋美術館の芸術作品を飾ることで生まれる違和感がおもしろいと感じた、とのこと。実際、この部屋に入るとすごくミスマッチな感じがして、なんとも落ち着かない気分になりました。展示風景より、弓指寛治の作品など反─幕間劇─のセクションでは、弓指寛治によるカラフルで強烈な作品群を展示。美術館とは思えない空間で、どこかの学園祭やイベントに迷い込んだ気分になります。国立西洋美術館のある上野公園は、文化エリアといわれていますが、路上生活者の方々も暮らしていました。弓指は、それらの人々にフォーカスし、路上生活者の多い近隣エリアに約1年通った経験をもとに絵画などを制作しました。手前:竹村京《修復されたC.M.の1916年の睡蓮》(2023-24)釡糸、絹オーガンジー作家蔵、奥:クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》(1916)5章「ここは作品たちが生きる場か?」では、竹村京の《修復されたC.M.の1916年の睡蓮》と、クロード・モネの《睡蓮、柳の反映》の組み合わせに目を引かれます。国立西洋美術館が所蔵するモネの本作品は、一部が破損した状態のままで保存されていますが、絹糸などを使った竹村の作品と重ねて見ると、まったく新しいタイプの非常に美しいアートに見えます。照明の効果もあると思いますが、布を通して見るとモネの絵が光を放ち、睡蓮の浮かぶ水面が揺れているように感じました。桜と一緒に…!本展ではほかにも映像作品や陶芸、詩なども含めたバラエティー豊かな展示作品が揃っています。性的な表現を含む映像などもあり、テーマやメッセージが含まれているものも多く、見ごたえ抜群です。国立西洋美術館で、これほど多くの現代アーティストたちによる刺激的な作品を見られる機会は、今後あるかどうかわかりません。ちょうど上野ではお花見シーズンに入っていますので、ぜひ桜と一緒に、このユニークな展覧会をご覧になってみてください。Information会期:2024年3月12日(火)~5月12日(日)開館時間:9:30~17:30(金・土曜日、4月28日(日)、4月29日(月・祝)、5月5日(日・祝)、5月6日(月・休)は9:30~20:00)※入館は閉館の30分前まで会場:国立西洋美術館企画展示室休館日:月曜日、5月7日(火)(ただし、3月25日(月)、4月29日(月・祝) 、4月30日(火)、5月6日(月・休)は開館)観覧料:一般 ¥2,000、大学生 ¥1,300、高校生 ¥1,000、中学生以下無料
2024年04月07日4月16日より、東京・上野の東京国立博物館で特別展「法然と極楽浄土」がはじまります。本展の音声ガイドを務めるのは、歌舞伎俳優の松本幸四郎さんと市川染五郎さん。今回、ガイドの収録を終えたお二人に展覧会の見どころなどを語っていただきました。松本幸四郎さんと市川染五郎さんが音声ガイドを担当!左:市川染五郎さん、右:松本幸四郎さん【女子的アートナビ】vol. 329特別展「法然と極楽浄土」は、鎌倉初期時代に活躍した法然(法然房源空、ほうねんぼうげんくう、1133~1212)にスポットを当て、彼が開いた浄土宗が発展していく歴史を貴重な名宝でたどることができる展覧会です。戦乱や天災、疫病、貧困などに人々が苦しんだ平安末期に生まれた法然は、比叡山で修業を積み、1175年に浄土宗を開きました。「南無阿弥陀仏」ととなえれば救われる、という教えは貴族から庶民まで幅広く支持され、信者が増加。一時は既存の勢力から迫害を受け、讃岐国(香川県)に流されましたが、その後許されて帰京し、80歳で生涯を閉じました。本展は、2024年に浄土宗開宗850年を迎えることを機に開催。教科書で見たことがある有名な国宝《阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)(あみだにじゅうごぼさつらいごうずはやらいごう)》をはじめ、国宝や重要文化財に指定されている多くの文化財が集結します。今回、本展の音声ガイドを務める松本幸四郎さんと市川染五郎さんに、展覧会への期待や見どころなどについてお聞きしました。早く見たくてワクワクしています!――まず、本展では、どのようなところが見どころだと思われますか。幸四郎さんこの展覧会では、日本の歴史や過去の作品が発表されていますが、ただ過去のものを見るというより、今でも生き続けている「存在感」を感じられるのではないかと思います。歴史があるからこそ素敵だということもありますが、それ以上に現代にも生きていることが感じられそうです。染五郎さん見どころ、というお話ではないかもしれませんが、自分が早く見たいです(笑)。とにかく早く見たくて、ワクワクしています。五百羅漢図(ごひゃくらかんず)より、左:第24幅 六道 地獄 【4/16(火)~5/12(日)展示】 、右:第57幅 神通 【5/14(火)~6/9(日)展示】狩野一信筆江戸時代・19世紀東京・増上寺蔵――では、特に楽しみにしている作品を教えていだたけますか?幸四郎さん《五百羅漢図》(狩野一信筆)は、時間をかけて隅から隅まで見たいと思っています。自分は何かを表現するという商売をしているので、どうしても作品の表情や色合いなどが気になります。この作品は、現世の人々にお見せしてお伝えするものという思いで描かれていると思うので、そこに表現されている素敵さや、今にも生きている部分をじっくり見てみたいです。染五郎さん気になる作品は、《仏涅槃群像(ぶつねはんぐんぞう)》です。特に、2メートルを超える寝釈迦(ねしゃか)を見てみたいです。また、《阿弥陀如来立像(あみだにょらいりゅうぞう)》も気になります。この作者は、特定はされていないけど慶派の仏師がつくったと考えられる、と解説にありました。自分は運慶や快慶が好きなので、生でその独特な空気をまとっている仏像を体感してみたいです。仏涅槃群像(ぶつねはんぐんぞう)江戸時代・17世紀香川・法然寺蔵――染五郎さんは大の仏像好きと伺っています。どんなところに魅力を感じられますか?染五郎さんそもそも仏像が好きな理由は、動きやポーズが好きだからです。そしてそれら一個一個に意味があるということなので、その部分に魅力を感じています。――若い世代や子どもたちは、日本美術など縁遠く感じる傾向にありますが、ご家庭でどのように促されると、染五郎さんのように仏像好きの若者に成長されるのでしょうか。幸四郎さん彼の生まれ年の守り神が不動明王なのですが、とある場所でその仏像が飾ってあるのを見たとき、そのことを彼に伝えると、「自分の守り神だ」と感じた出来事があったかと思います。本当に、ちょっとしたきっかけでした。ただ、子どもが興味を持つものは見落とさず、それを膨らませてあげたいという思いはずっとありました。優しいけれど強い意思を持たれた方――今回の音声ガイドの収録で、特に意識されたことなどはありますか?染五郎さん展示の魅力をお客様に伝えないといけないものだと考えて臨みました。ふだん舞台や映像でお芝居するときも同じですが、どれだけ気持ちが入っていようがセリフを理解していようが、お客様に伝わらないと意味がないと思っております。基本的なことですけど、一言一句伝わるように意識して収録させていただきました。――音声ガイドで、幸四郎さんは法然上人のセリフを話される場面もありました。法然上人について、どのように感じられましたか。幸四郎さんしっかりと修業をされてきて、それまでなかったものをつくられた方でもあります。反発も相当あったと解説にも書かれていました。でも、けっして反抗するという意識はなかったと思います。素直に思われたことをみなさんと共有しましょうという感じで行動された方で、優しいけれど強い意思を持たれた方という感じがしました。――法然は、分け隔てなく万人を救うことを目指しました。庶民のよりどころであったという点で、仏教と歌舞伎に共通点もあるように思いますが、その点について、どのように感じられていますか。染五郎さん普遍的な教えは、今を生きる人たちにも響くものだと思いました。歌舞伎も、今の方々には難しそうと思われがちですが、意外に柔軟性があります。その時代のはやりだったり、価値観だったりを柔軟に取り入れている演劇だと思うので、楽しんでほしいと思いますし、法然さんの「南無阿弥陀仏ととなえれば誰でも極楽浄土に行ける」という教えも柔軟性があり、歌舞伎とも共通してつながるところだと思いました。他には代えられないこと――日本美術と同じく、歌舞伎も若い人に伝えるという点で難しさを感じられることもあるかと思います。どのように伝えていきたいと思われますか。幸四郎さんまずは今の方に感動していただくこと、ですよね。自分は先人に憧れて歌舞伎を受け継いできましたが、先人がつくられたすごいものを紹介する役目ではないのです。役者なので、今の方々に感動していただくものとして存在し続けるのが大事だと思います。とはいえ、歌舞伎は現代語でもないし、時代も違うし、わかりにくいものではあると思います。今は家から出なくても、YouTubeや配信などの映像を自分の生活に合わせて楽しめます。でも、だから逆に歌舞伎は珍しいでしょ、ということにもなります。舞台を見に行くというのは、その日、その時間に合わせなければなりません。でも、舞台を見て、銀座を楽しんで、時間を贅沢に使う一日があってもいいんじゃないですか、という感じで、時代に逆行する珍しいものを武器としてメッセージを出していくのが大事かなと思います。――美術館や博物館も、同じようなことが言えそうですね。幸四郎さん確かに、鮮明に作品が印刷されたチラシなどがあれば、それを見ればいいということにもなり、わざわざお寺から博物館まで仏像や作品を運んでくる必要がなくなりそうです。でも、遠くから博物館まで運び込まれた作品をその場で見るということは、その作品をそれまで大事に保存し保管してきたお寺さんや多くの方々がいて、長い年数がかかっていて、どれだけ多くの人々の想いが加わっているのか、という部分も感じていただけるのです。だからこそ、実際に来て見ていただくというのは、他には代えられないことですよね。父とは通じ合うものが…――2024年は時代劇『鬼平犯科帳』での親子共演も話題になりました。今回、音声ガイドのご共演で何か感じられることはありましたか。染五郎さん父とは舞台でいろいろ共演させてもらい、舞台のことやセリフも父から教わってきましたので、セリフ回しは父と似ているなと思うことがあります。言葉で説明するのは難しいですけど、父とは親子だからこそ、言葉でなくても通じ合うものがあると思います。音声ガイドの声だけでも、そのつながりを感じていただけるのではないかと思います。――染五郎さんのお父様への想いについて、幸四郎さんはどのように感じられましたか。幸四郎さんそれはもう、ありがたいですね。ふだんは、こういう話はあまりしないですしね(笑)。芝居に出たり、稽古したり、それにまつわることを話すのが日常ですから。――お稽古場では師匠となり、家では父親となり、接し方など切り替えていらっしゃるのでしょうか。幸四郎さんよくそう言われますけど、僕は無理なんですよ。どこに行っても親子は親子。どうしようもないので、変えるのは無理なんです。教える立場ですから、セリフ回しなど似てくる部分もあるでしょうし、彼が自分で膨らませることもあるでしょう。でも今回のように、歌舞伎以外での共演はあまり機会がないですよね。――いろいろお話いただき、ありがとうございました。最後に、展覧会をご覧になる方にメッセージをお願いいたします。幸四郎さん展覧会では、歴史をキーワードに考えていただく時間があるといいなと思います。過去の情報を得られるだけでなく、脈々と今に生きているものも感じていただきたいです。音声ガイドなど、わかりやすい説明もたくさんあります。ナビされていない部分でも、何かご自分にしか感じられない唯一のものもあるかと思いますので、五分でも十分でも長く中にいて、感じる時間を過ごしていただきたいです。――ありがとうございました。お得な音声ガイドセット券も販売中!お二人のお話、いかがでしたか。ぜひ、幸四郎さんと染五郎さんが作品の魅力を紹介してくれる音声ガイドを聴きながら、展覧会を楽しんでみてくださいね。会場でのガイド機貸出料金は1台¥650(税込)、アプリ版は¥800(税込)。現在、お得な音声ガイドセット前売券¥2,400(税込)も販売中です!(前売券の販売は4月15日まで)Information会期:2024年4月16日(火)~6月9日(日)開館時間:9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)本展は事前予約不要です。休館日:休館日月曜日、5月7日(火)※ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)は開館会場:東京国立博物館平成館(上野公園)観覧料:一般 ¥2,100(一般前売¥1,900)、大学生 ¥1,300(大学生前売¥1,100)、高校生 ¥900(高校生前売¥700)
2024年04月07日東京・六本木にある森アーツセンターギャラリーで、テレビ朝日開局65周年記念「MUCA(ムカ)展 ICONS of Urban Art ~バンクシーからカウズまで~」がはじまりました。本展の東京会場公式アンバサダーを務めるのは、俳優の水上恒司さん。ご自身でもアート制作をされている水上さんに、展覧会の見どころやアートについて、お聞きしてきました!水上恒司さんが公式アンバサダー!水上恒司さん後ろの作品は、リチャード・ハンブルトン《突撃》(1985)【女子的アートナビ】vol. 327本展では、ドイツ・ミュンヘンにあるアーバン・アートと現代アートに特化した美術館、Museum of Urban and Contemporary Art(MUCA)が所蔵する作品60点以上を展示。世界で大人気のストリートアーティスト、バンクシーの日本初公開となる大型彫刻作品や、ファッションデザイナーとしても活躍するKAWS(カウズ)の代表作をはじめ、アーバン・アートの世界を切り拓いてきたアーティストたち10名の作品を楽しめる展覧会です。今回紹介されているアーバン・アートとは、現代都市社会から生まれたグラフィティ・アートやストリート・アート、ポスター・アートなどのこと。都市空間にある公共の壁や建物、橋などに描かれる作品も多く、政治的・社会的メッセージを伝えるときもあります。そんな刺激的な作品が並ぶ展覧会の東京会場公式アンバサダーを務めるのは、俳優の水上恒司さん。独学で勉強して創作活動もされている水上さんにインタビューを行い、展覧会やアートのことなどお聞きしてきました!展覧会全体が好き!――まず、本展をご覧になって、どんな感想をもたれましたか?水上さん今回展示されている作品のアーティストたちは、世の中に対する批判やメッセージを恐れることなく、臆することなく提示していると感じました。僕自身は、まだキャリアとか知識とかいろいろ拙いので、そんな自分からすると、彼らのような活動はビビッてしまってなかなかできないのですけど、この作家たちはアートでちゃんと表現していて、そんな姿勢に心を打たれました。――特に印象に残った作品、好きな作品はありますか?水上さんリチャード・ハンブルトンの《突撃》は、パッと見たときの印象が好きですね。僕は陰が好きなので、その描き方とか見てしまいます。でも、ほぼすべての作品が、そのつくった時代の世の中に対するメッセージみたいなものがちゃんとあるから、どの作品が好きかと問われると、ひとつひとつ挙げていくときりがないです。例えば、女性のストリートアーティストとして活動しているスウーンの作品もすごくいいと思いますし、もちろんバンクシーもいいし、展覧会全体が好きという感じです。――出品作家のなかで、以前から好きだったアーティストはいらっしゃいますか?水上さん好きとか嫌いとかはあまりなくて、ただ前から身近に感じていた作家はカウズかなと思います。彼の作品を見ていると、一番欲しくなりますね。フィギュアとかもありますし。――本展で初めて知った作家さんも多いですか?水上さんもちろんです。僕は創作活動をしていますけど、本当に素人なので、今回ほとんどのアーティストさんのことをはじめて知りました。多くの同世代の人たちと同じように、そんなにアートに詳しくない僕だからこそ、今回アンバサダーとして、こういう場で話すコメントのうちの何かがみなさんに伝わればいいなと思っています。人生をより豊かにしてくれる…――本展は、アーバン・アートの展覧会ですが、現代アートは少し難しいと思っているかたもいるようです。ゴッホやモネなどは親しみがあるけど、知らない作家だと難しく感じるのかもしれません。水上さんゴッホやモネは超有名だし、教科書に載っているのを見ているから知っていますけど、正直それで本当にゴッホのことを知っているのかはわからないですよね。ゴッホは知っていると言う人々も、じゃあゴッホはどういう技法で何が有名なのか、本当に知っている人は少ないと思う。それぐらい、アートの世界に対して、ちゃんと知ろうとしている人は少ないのではないかと思います。僕もそうです。でも、知らないことがいけないわけではないですよね。そんな人間だからこその楽しみ方もあります。ふらっと展覧会を見に来て、作品の背景とか気になる人はその先を調べればいいと思います。僕の場合は、調べるというより、いろいろな作品を見ながら、家にある画材を使って自分の作品をこんなふうに描けば近い雰囲気になるかな、と消化しています。人それぞれ、展覧会の感じ方、消化の仕方はあると思います。――まずは展覧会を見に来ていただかないと、その世界に触れられないですよね。水上さんそうですね。見ないと、その先はないので。アートは、生きていくうえでは絶対的に必要なものではないかもしれません。僕が携わっている映画やドラマの世界も、なくても生きていける。衣食住があれば、人間は生きていけますから。でも、無駄とかいわれる娯楽や余興みたいなものを取り入れたほうが、より豊かに生きていける。そのなかのひとつがアートだと思います。だから、別に見なくてもいいんです。でも、興味が少しでも芽生えたら、絶対に見に来た方がいいです。アートは、人生をより豊かにしてくれるもののひとつですから。アートは大きな刺激物――俳優業のかたわら創作活動もされていて、数年前には個展も開催されました。いつ、どんなきっかけで、創作をはじめられたのですか?水上さん未就学児というか、僕の記憶がない本当に小さいころから絵を描いていました。絵を描くと、ほめられることが多かったので、それが気持ちよくて今日まで描き続けているのかなと思います。――アート制作と演じることの相乗効果はありますか?水上さんあると思います。そもそも演じるという行為は、時間をかけて必要なスキルや技術を身につければ、誰しも到達できるものだと思っています。僕はまだ道半ばですけど、いずれ演じ方はしっかりと身につくはずです。でも、実はその先、演じる人間がどんなふうに生きていきたいのか、あるいは今までどんなふうに生きてきたのか、という部分が芝居のときに透けて見えてくるので、僕はむしろその部分が大事だと思っています。その大事な部分のなかに、アートが大きな刺激物として存在しているので、その相乗効果は間違いなくあります。――アートを見て、感じて、蓄積したものが、演じるときに内面からにじみ出てくるという感じでしょうか。水上さんそうですね。努力だけではどうしようもない部分だと思います。同じMUCA展を見たとしても、人によって感じ方や見方は全然違いますよね。また、単に芸術に触れればいい、という話でもないと思います。すごくいい時間を過ごせる――創作活動と俳優業の両立で、大変なことはありますか?水上さん絵を描くのは職業にしていないので、負担ではないし、大変とは思わないです。僕の中での軸は芝居ですから。時間があるとき、描きたいときに描くという感じです。――創作は、ゼロから生み出すので壁にぶつかるときとかありますか?水上さん芝居のほうでは、こうしたいけれどわからない、という感じで壁にぶつかることはあります。仕事の場合はそうなりますが、創作活動は趣味なので、壁にぶつかることもなくて、楽しんで描いています。――今後、創作で挑戦してみたいことはありますか?個展などの予定は?水上さん3Dの彫刻作品はやってみたいですね。彫刻刀を使って、手で彫り出していく創作物をつくってみたいと思っています。個展は、今のところは考えていません。――いつかまた個展を開いてくださるとうれしいです。最後に、読者のかたにメッセージをいただけますか?水上さんアートがわからない人でも、とりあえず水上がいろいろ言っていたから行ってみよう、という感じでもいいので、ぜひMUCA展に来ていただければ、すごくいい時間を過ごせるのではないかと思います。――ありがとうございました!取材を終えて…まっすぐな眼差しで、質問に答えてくださった水上さん。24歳という若さながら、ご自身の考えをしっかりと確立され、ぶれない強さが伝わってきました。そんな水上さんを魅了したMUCA展には、刺激的な作品が勢ぞろい。ぜひ、足を運んでみてくださいね!カウズのバラエティー豊かなブロンズ作品《カウズ・ブロンズ・エディション#1-12》(2023年)や、オークションで落札後すぐにシュレッダーで一部が細断されたバンクシーの有名な作品《Girl Without Balloon》(2018年)も展示されています。Information会期:2024年3月15日(金)~6月2日(日)開館時間:10:00~19:00金曜日・土曜日・祝日・祝前日・GW(4月27日~5月6日)は20:00まで※入場は閉館の30分前まで休館日:会期中無休会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)観覧料:【平日】一般 ¥2,400、大学・高校生 ¥1,700、小学・中学生 ¥1,000【土・日・祝】※5/6含む一般 ¥2,600、大学・高校生 ¥1,900、小学・中学生 ¥1,200
2024年03月24日ジョワ・ティーヴィー合同会社は、Amazon プライム・ビデオの人気サウナ旅番組「いつでも女子的サウナ旅」をシーズン2に更新しました。いつでも女子的サウナ旅本シーズンは女優・グラドル、ボクシング世界戦のリングガールなどさまざまな顔を持つ天野麻菜(あまの・まな)を旅人に迎え、さらに日本全国へ。個性的で唯一無二の温浴施設を体験・紹介して行きます。第一回は東京・赤坂の大都心に佇む生姜専門店が生み出した「生姜サウナ 金の亀」が登場。生姜の計り知れないパワーが身体を温め新陳代謝を高める効果があるといいます。生姜サウナさらに番組内では、10年間にわたりSNSへ毎日欠かさずビールを楽しむ動画をあげ続けるという「究極のビール女子」天野による「サウナあとの一杯」が恒例で、その爽快感・臨場感も特色です。サウナあとの一杯!番組はAmazon プライム・ビデオで配信中で、3月上旬からは「U-NEXT」でも配信がはじまります。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月05日スマホが離せません…♡モテ女子が使っている効果的なLINEテクニックLINEは、賢く利用すれば、あなたを気にかける、心を引き寄せるきっかけとなるのです。愛される女性が日常的に使っているLINEのテクニックを試してみると、あなたの恋の成就につながる可能性が高いでしょう。今回は、愛される女性が実践しているLINEのテクニックを紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。絵文字抜きで素早く返信するお風呂上がりなど、ゆっくりとリラックスできる時間帯には、すぐに返信するのがおすすめです。男性は返信が早いことを、絵文字があるよりも愛情の証と受け止めることがあります。デートの誘いに繋がる話題など、絵文字などをで簡単に返事するのではなく、丁寧な印象の文章ですぐに返事するようにしましょう。誘ってもらう自分から情報を多めに開示するのも、また一つのテクニックです。相手の予定を尋ねたいときでも、まずは、自分の予定を伝えます。自分から予定を伝えて、その後、相手がどのように反応するかを観察すれば、効率的に相手の意向や適性を見極めることができますね。ハートマークで相手の気持ちを確認喜びの気持ちや感謝の気持ちを伝えるときに、ハートマークを使ってみてください。これを実践すれば、相手の気持ちを確かめることが可能になるかもしれません。ハートマークを使用することで、相手の気持ちが理解できるかもしれませんね。恋愛は戦略的に取り組もう!愛される女性の一部は、戦略を駆使してLINEを利用しています。日常的な会話で関係を深めるのもいいのですが、これらのテクニックを取り入れることで、二人の関係に動きが出るかもしれません。今すぐ試してみてくださいね。(愛カツ編集部)
2024年02月26日春の雛祭りシーズンにぴったりの展覧会「岩﨑家のお雛さま」が東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で開かれています。本展では、三菱を創業した岩﨑家の雛人形をはじめ、御所人形や豪華な打掛、工芸品などが勢ぞろい。静嘉堂@丸の内オリジナルのかわいい“お雛様グッズ”もあわせてご紹介します!春の雰囲気を感じられる!静嘉堂@丸の内ホワイエ※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 326本展では、三菱第四代社長の岩﨑小彌太(こやた、1879-1945)が妻の孝子(1888-1975)のために注文した「岩﨑家雛人形」を中心に、岩﨑家ゆかりの名品を展示。また、春の雰囲気を感じられる工芸品の優品も紹介され、計45点の作品を楽しめます。プレス内覧会に登壇された静嘉堂文庫美術館館長の安村敏信さんは、お雛様の由来などについて次のように語っています。安村さんNHK大河ドラマでも注目されている『源氏物語』の「若紫」にも「雛(ひいな)遊び」が出てきます。お雛様は平安貴族の子どもたちの遊びでした。江戸時代には町人にも伝わり、今のようなお雛様がつくられます。おもしろいのは、お雛様の姿です。衣裳は平安期の十二単(じゅうにひとえ)ですが、道具類は武家のもので、「公武合体」しているのです。幕末よりも前に、文化の面ではすでに公家と武家が一緒になっているのが興味深いです。小さくてかわいい!五世大木平藏「貝桶・合貝」昭和時代初期20世紀丸平文庫蔵では、見どころをいくつかご紹介。第1章「雛の世界―小さきものは、みなうつくし」では、岩﨑家が京都の丸平大木人形店に注文した雛道具を展示。一つひとつ精巧につくられた美しくかわいい道具一式を見ることができます。今の雛道具は、江戸時代の上級武士の婚礼調度を参考につくられているそうです。室町時代に婚礼調度が整い、江戸時代に広がって雛道具セットがつくられるようになりました。この章で特にかわいい作品は、「貝桶(かいおけ)・合貝(あわせがい)」。ハマグリの貝殻を用いた「貝合わせ」という遊びに使われるもので、爪先ほどの小さなハマグリの稚貝の内側に華やかな吉祥図が描かれています。ハマグリは「貞節の象徴」ということで、貝桶が婚礼調度に使われるようになったそうです。ちなみに、岩﨑家が雛人形を注文した丸平大木人形店は、約250年も続く京都の人形司で、当主は「大木平藏」を襲名。優美な人形で知られ、宮家や華族などに愛されてきた老舗です。お顔がかわいい!五世大木平藏「岩﨑家雛人形内裏雛」昭和時代初期20世紀静嘉堂文庫美術館蔵第2章「岩﨑家のお雛さま」では、本展の目玉である岩﨑家のゴージャスな内裏雛が登場!華やかで愛らしいお雛様です。お顔が丸く、かわいらしい子どものように見えますが、これは「稚児(ちご)雛」と呼ばれるもの。装束の文様も美しく、岩﨑家の替紋「花菱紋」もあしらわれています。五世大木平藏「岩﨑家雛人形三人官女」昭和時代初期20世紀静嘉堂文庫美術館蔵三人官女もステキです。彼女たちは、盃にお酒を注ぐ道具の長柄銚子(ながえちょうし)、婚礼などのときの飾り物である嶋台(しまだい)、長柄銚子のお酒が減ったときに継ぎ足す加銚子(くわえちょうし)を持っています。ウサギがかわいい!五世大木平藏「木彫彩色御所人形」昭和14年(1939)静嘉堂文庫美術館蔵第3章「御所人形と春を愛でる」では、かわいい御所人形を展示。御所人形とは、京都で生まれた美術的な人形のこと。今回展示されているのは、小彌太の還暦を祝し、孝子夫人が丸平大木人形店に特注した人形セットです。小彌太が卯年生まれだったことから、ウサギが重要なモチーフとして使われています。この展示室では、ほかにも浮世絵の草創期を代表する絵師・菱川師宣(ひしかわもろのぶ、?-1694)が江戸時代の風俗を描いた絵巻や、野々村仁清(生没年不詳)の代表作のひとつである京焼の茶壺など、多彩な作品も楽しめます。また、最後の第4章「初公開岩﨑家ゆかりの打掛」では、明治時代末期につくられた豪華な打掛が見られるほか、大人気の国宝「曜変天目」(稲葉天目)も展示。心ゆくまで岩﨑家ゆかりの美の世界を堪能できます。お雛様グッズもかわいい!静嘉堂@丸の内ミュージアムショップでは、岩﨑家のお雛様をモチーフにした多彩なグッズが勢ぞろい。特に心を奪われたのは、三人官女さまのマグネット(¥1,200・税込)。優美さが際立っています!御所人形の手ぬぐい(¥1,500・税込)も、癒されるかわいさ。ウサギモチーフの御所人形セットは、マスクケースになっています。ほかにも、クリアファイルやミニポーチなど、ここでしか買えない静嘉堂オリジナルのレアなお雛様グッズがそろっています。雛祭り気分をたっぷり味わえる本展は、3月31日(日)まで開催。Information会期:2024年2月17日(土)~3月31日(日)開館時間:10:00 – 17:00 (毎週土曜日は午後6時まで、第4水曜日は午後8時まで)※入館は閉館の30前まで休館日:月曜日(ただし、3月4日(月)はトークフリーデーとして開館)会場:静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階)観覧料:一般 ¥1,500、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料
2024年02月25日東京・六本木のサントリー美術館で、「四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎」が開催されています。天下人・織田信長の13歳下の弟として生まれた織田有楽斎(うらくさい、1547-1621)。本展では、茶人としても活躍した有楽斎の人物像を名品などにより紹介。展示風景や学芸員さんのお話などレポートします!戦国を生き抜いた男!展覧会入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 325本展では、織田有楽斎とゆかりの深い寺である京都・建仁寺塔頭 正伝永源院(しょうでんえいげんいん)の寺宝を中心に、有楽斎にまつわる茶道具や手紙などの資料を展示。多彩な作品をとおして、彼の生き方に触れられる展覧会です。有楽斎は、もともと織田長益(ながます)として活躍していた武将でした。長益(有楽斎)は、信長の長男・信忠に仕えていましたが、1582年に起きた「本能寺の変」で信長は自害。さらに、信忠が二条御所で抗戦した末に自害したのにもかかわらず、長益(有楽斎)は脱出して生き延びました。これにより、人々から「逃げた男」と揶揄され、今でもそのイメージで戦国ドラマに登場することもしばしばあります。プレス内覧会に登壇された建仁寺塔頭正伝永源院第24世住職真神啓仁さんは、本展開催のきっかけについて、次のように語っています。真神さん当院は、鎌倉時代の文永年間に創建された寺でしたが、戦禍により荒廃していました。その寺の再興にあたったのが、織田有楽斎です。彼は「逃げの有楽」という不名誉なイメージがつけられていましたが、それを改めて問い直せないかと思い、本展の発案となりました。有楽斎は正伝院を再興し、晩年には現在国宝に指定されている茶室「如庵」を創設しました。茶の湯をとおして、大名や僧侶たちと交流をはかった人物でもあります。彼の想いや美意識を本展で感じていただきたいです。有楽斎がお出迎え…!《織田有楽斎座像》江戸時代17世紀正伝永源院蔵【通期展示】では、展示の見どころをピックアップしてご紹介。最初の展示室に入ると、まず目に入るのが有楽斎の生前のお姿を表した座像です。本作品について、サントリー美術館・主任学芸員の安河内幸絵さんは次のように解説。安河内さんこの像では、有楽斎が僧の姿をしていますが、実際には僧籍があったわけではありません。千利休のように、茶人の姿としてこのような格好をしていたという説もあります。この有楽斎の像は、遠くをまっすぐ見つめる視線で、人の心の中を見透かしてしまうような、本質を見極めるような目をされています。本能寺の変で焼けた…!《本能寺跡出土瓦》桃山時代16世紀京都市蔵【通期展示】第一章では、有楽斎が織田家の一員であることや、武将としての一面をうかがい知ることができる歴史資料などを見ることができます。例えば、織田信長の一代記として知られる「信長公記」では、主要な武将のひとりとして長益(有楽斎)がいたことが記されています。また、本能寺跡から出土した瓦の一部も展示されています。この出土品について、安河内さんは次のように解説。安河内さん明智光秀の謀反により、信長は49歳で亡くなります。本能寺の跡から出土した瓦は、鬼瓦や軒瓦のほか、表面が変色した瓦も含まれています。展示されている橙色の瓦は熱を受けて変色したもので、激烈な火災であったことがうかがえます。伊達政宗とも交流!展示風景より、写真手前:織田信長像江戸時代18世紀正伝永源院蔵【通期展示】第二章では、有楽斎宛ての手紙や彼自身の手紙などの資料をとおして、茶人として活躍した有楽斎の姿が紹介されています。例えば、伊達政宗から有楽斎に宛てた手紙なども展示。政宗と有楽斎は茶を通じて親交があり、如庵での茶会に招かれたという話も残されています。手紙には現代語が掲示されているものも多いので、内容を理解しながら鑑賞を楽しむことができます。有楽斎の交友について、安河内さんは次のように解説。安河内さん有楽斎は武将たちのみならず、堺や博多の有力茶人や高僧、公家などとも幅広く交友し、茶の湯をとおして親交を深めていました。茶の湯が政治のツールとして使われ、茶会が政治の中で必要不可欠なコミュニケーションとなっていた当時、茶の湯に巧みで広い交友関係をもつ有楽斎は、豊臣や徳川家をはじめ、多くの人々から頼りにされたことが想像されます。圧巻の襖絵は必見!《蓮鷺図襖》狩野山楽江戸時代17世紀正伝永源院蔵【通期展示】三階のギャラリー空間では、有楽斎が再興した正伝院の客殿を飾った《蓮鷺図襖》16面すべてを展示。圧巻の見ごたえです!つぼみのハスや咲き始めたハスの姿、咲き誇る姿、そして枯れかけた姿もあり、ハスの生命や季節のうつろいが大変美しく描かれています。第四章と第五章では、織田有楽斎が晩年に再興し終の棲家とした建仁寺正伝院ゆかりの寺宝を紹介。茶道具や織田家ゆかりの蒔絵作品などを見ることができます。有楽町の由来という説も…!ちなみに、東京の千代田区にある「有楽町」という地名は、織田有楽斎が由来という説もあります。千代田区の公式サイトによると、有楽斎は関ケ原の戦いのあと徳川方に属し、数寄屋橋御門の近くに屋敷を拝領。その屋敷跡が「有楽原」と呼ばれていたことから、明治時代に「有楽町」と名づけられたそうです。(※諸説あります)武将や茶人として戦国時代を生き抜いた織田有楽斎の展覧会は、3月24日(日)まで開催。会期中、展示替えもあります。※参考サイトInformation会期:2024年1月31日(水)~3月24日(日)※作品保護のため、会期中展示替を行います。開館時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)※2月22日(木)、3月19日(火)は20時まで開館※いずれも入館は閉館の30分前まで休館日:火曜日※3月19日は20時まで開館観覧料:一般 ¥1,600、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料
2024年02月18日東京・上野の東京国立博物館 平成館で、特別展「本阿弥光悦の大宇宙」が開催されています。桃山・江戸時代初期に活躍したマルチ芸術家、本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558~1637)。彼の「美」の世界を楽しめる展覧会を現地取材。担当研究員さんのお話や展示風景、注目オリジナルグッズの数々をご紹介します!マルチ芸術家の展覧会!展覧会入り口※本記事の写真は、主催者の許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 324本阿弥光悦は、京都生まれ。刀剣鑑定の名門家系出身で、美を見極める優れた力量をもち、自らも書や漆芸、陶芸などのジャンルで作品を残した人です。本展では、光悦が手がけた多彩な作品や、京都の町衆や職人たちとのつながりが伝わる品々をとおして、マルチ芸術家の「美」の世界を堪能できます。展覧会を担当した東京国立博物館学芸企画部長の松嶋雅人さんは、見どころについて次のように教えてくれました。松嶋さん本展では、光悦があつく信仰した日蓮法華宗について、最新研究を踏まえながら展示を構成しました。また、光悦や彼の父は加賀前田家の刀剣御用で、光悦とつながりのあった前田利常の生母・寿福院もあつい法華信徒でした。光悦の書や漆工品などにくわえて、ぜひ信仰に関わる品々にも注目してみてください。国宝がお出迎え…!国宝舟橋蒔絵硯箱本阿弥光悦作江戸時代・17世紀東京国立博物館蔵では、展示の見どころをピックアップしてご紹介。まず入り口を入ると、光悦のもっとも有名な国宝・舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)がお出迎え。この展示室は暗い宇宙のような雰囲気で、本展のタイトル「本阿弥光悦の大宇宙」にぴったり。光悦の無限の「美」の世界に引き込まれていく感じがします。本作品について、松嶋さんは次のように解説。松嶋さん光悦が手がけた蒔絵は「光悦蒔絵」とも呼ばれ、奇抜なフォルムと独特な造形が特徴的です。大きな鉛板を使い、華麗な螺鈿(らでん)を自在に用いるなど大胆な造形で、このスタイルは近世初頭に突如現れたものです。独特な表現やモチーフが生まれた背景には、光悦が深くたしなんだ謡曲の文化があったと考えています。蒔絵の展示室では、謡本も紹介しています。光悦筆による額も登場!特別展「本阿弥光悦の大宇宙」展示風景左から、扁額「学室」 原品:本阿弥光悦筆明治2年(1869)再刻京都・常照寺蔵、扁額「本門寺」 本阿弥光悦筆江戸時代寛永4年(1627) 東京・池上本門寺蔵、扁額「妙法花経寺」 本阿弥光悦筆江戸時代寛永4年(1627) 千葉・中山法華経寺蔵、扁額「正中山」 本阿弥光悦筆江戸時代17世紀千葉・中山法華経寺蔵第1章「本阿弥家の家職と法華信仰――光悦芸術の源泉」では、本阿弥家の家業である刀剣や信仰に関わる品々を紹介。光悦が所持していたと伝わる短刀や、本阿弥家の家系図、能書として知られる光悦筆による書状を見ることができます。光悦が書いたさまざまな寺の扁額も展示。例えば、東京・池上本門寺の扁額は1627年につくられたものですが、ふだん本門寺の入り口にかけられている扁額は複製のため、なかなか寺外で見ることはできません。ほかにも、千葉や京都のお寺から出品された扁額も並び、圧巻の見ごたえです。展示室のデザインも美しい…!特別展「本阿弥光悦の大宇宙」展示風景第3章「光悦の筆線と字姿――二次元空間の妙技」では、光悦書蹟の代表作、重要文化財《鶴下絵三十六歌仙和歌巻》が登場。展示室の天井部分にも本作品のイメージが飾られていて、とても美しいです!この作品について、松嶋さんは次のように解説されています。松嶋さん俵屋宗達が金銀を用いて鶴の群れを描いた料紙に、光悦が三十六歌仙の和歌を散らし書きした美しい作品です。鶴の上昇と下降、群れの密度にあわせて字形と字姿をたくみに変化させています。光悦がもっとも充実した作風を示した時期の代表作と評されています。オリジナルグッズも充実!展示を見終わったあとは、ぜひ展覧会特設ショップへ。魅力的なオリジナルグッズがたくさん並んでいます。一番の注目は、国宝・舟橋蒔絵硯箱のマスコットキーホルダー(税込¥1,540)。おにぎりのようなサイズ感で、ころんとした形がとってもキュート。硯箱の盛り上がった形も再現され、光悦作品へのリスペクトが感じられる逸品です。同じく、国宝・舟橋蒔絵硯箱のトートバッグも気になるグッズのひとつ。ゆるめのイラストがめちゃくちゃかわいいです。この絵は、近代建築画家・建築イラストレーターのコジマユイさん作。シンプルなモノトーン仕上がりで、使いやすそうです。今回は、アクセサリー類も充実。光悦作品をモチーフにしたペンダントやピアス、イヤリングなど、どれもかなりおしゃれ。これらは、アクセサリーブランド LISA&TAIGAさん作のもの。アート好きにはたまらない、いくつも買いたくなるグッズです。本展は、3月10日(日)まで開催。事前予約は不要です。Information会期:2024年1月16日(火)~3月10日(日)※会期中、一部作品の展示替えあり会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)開館時間:9時30分~17時00分※最終入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日、2月13日(火) (注)ただし、2月12日(月・休)は開館観覧料:一般 ¥2,100、大学生 ¥1,300、高校生 ¥900※本展は事前予約不要です。
2024年02月11日石川県金沢市の国立工芸館で、特別展「印刷/版画/グラフィックデザインの断層1957-1979」が開催されています。版画とグラフィックデザインの巨匠たちによる作品が一堂に集まる注目の展覧会について、担当学芸員さんに見どころなどをお聞きしました。巨匠たちの版画とグラフィックデザインが集結!展示風景より【女子的アートナビ】vol. 323この展覧会では、国立美術館のコレクションから、版画やグラフィックデザイン界などで活躍した作家たちの作品70点が集結。浜口陽三や池田満寿夫、横尾忠則など巨匠が手がけた貴重な作品などが展示されています。今回、本展を企画された国立工芸館 主任研究員の中尾優衣さんにインタビューを実施。見どころやおすすめ作品などを教えていただきました。開催のきっかけは…展示風景より――まず、この展覧会を企画されたきっかけについて、教えていただけますか。中尾さんもともと、1970年代前後のグラフィックデザインと版画の関係に興味をもっていたのがきっかけです。日本の戦後美術では、1960年代にウォーホルなどポップアートが流行してから、版画表現の可能性が注目されていました。また、印刷技術が進歩していくなかで、版画と印刷の関係性が変わっていくようになり、そこがおもしろいと思ったのです。――版画と印刷の関係性とは、具体的にどういうことですか。中尾さん版画は、版にインクをのせ紙に押し当ててつくります。江戸時代は、大量に出版物を刷るための最先端の印刷技術として木版が使われていましたが、時代が進むにつれ、代わりにもっと効率の良いオフセット印刷などの機械印刷が使われるようになります。そのため、従来の木版は⼤量印刷のための主要な技法ではなくなった代わりに、その味わいを生かして版画家が作品をつくるための手段のひとつとなったのです。このように、版画と印刷の関係性が、年代に応じて変わっていく現象に興味を持ちました。展示風景より――技術の進化により、版画の役割が変わったのですね。中尾さん戦後の版画の可能性を考えていくなかで、東京国立近代美術館などで開催していた「東京国際版画ビエンナーレ展」が大きな役割を果たしたのですが、 当館を含む国立美術館では、その受賞作などをたくさん所蔵しているので、当時話題になった作品を展示することで、印刷と版画の関係性が明らかになるのではないかと思い、この展覧会を企画しました。日本の版画が世界で高評価!杉浦康平《第8回東京国際版画ビエンナーレ展ポスター》――では、展覧会の見どころについて教えていだたけますか。中尾さん本展では、「東京国際版画ビエンナーレ展」の受賞作や出品作と、当時の展覧会ポスターを一堂に展示しています。当時の作品をここまでの規模で紹介するのは、今回がはじめての機会です。ポスターは一過性のもので、ふつうは展覧会が終われば捨てられてしまうものですが、当館では資料として保管していました。東京国際版画ビエンナーレ展の作品と、当時の著名なグラフィックデザイナーが担当した歴代のポスターをあわせて見ていただけるという点が大きな見どころです。展示風景より――「東京国際版画ビエンナーレ展」とは、どんな展覧会だったのですか?中尾さんこれは1957年から79年まで、全11回開かれた展覧会です。日本は、戦後復興のなかで欧米に並ぶような経済的発展を目指し、文化的にも優れている点を見せていこうとしていました。そこで、日本人の版画が当時海外で高く評価されていたことから、版画の国際展覧会を開催することにしたのです。展覧会というより国家的な文化事業で、外務省も後援になっていました。――海外で評価された日本の版画とは、浮世絵版画のことですか?中尾さん浮世絵版画のすごさは、明治時代に海外で知られるようになりました。浮世絵のような分業制の職人技が光る版画も今なお評価されていますが、戦後に新しく出てきたのは棟方志功です。彼の版画は、浮世絵とはまったく異なる方法で制作し、大胆でプリミティブな表現にアーティストとしての強烈な個性と東洋の文化が融合した作品です。浮世絵と違う版画の魅力を世界の人たちが知り、棟方の版画は戦後まもない時期からヴェネツィア・ビエンナーレなど世界的展覧会で高く評価されました。巨匠の“スゴ技”がさく裂!野田哲也《日記 1968年8月22日》1968年 東京国立近代美術館蔵――展示作品のなかから、特におすすめ作品をいくつかご紹介いただけますか。中尾さん野田哲也さんの《日記 1968年8月22日》は、非常におもしろい作品です。これは、第6回東京国際版画ビエンナーレ展で大賞をとったもので、作家自身の家族写真をもとにコラージュした作品です。野田さんはカメラが趣味で、故郷の熊本に帰ると両親とともに記念撮影をしていました。比較的古風な習慣のご家庭でしたので、紋付き袴の正装姿で撮られています。自分で撮影した写真をコラージュし、海外風の椅子に座らせて非現実な空間をつくりだし、とても不思議な図柄になっています。きわめてプライベートなことをテーマにしていますが、そこから日本の伝統的な文化風習や、家族とそれを構成する個人との関係性、社会の中で記号化される人間の存在など、作品を見る人が自由に想像をめぐらせることができます。――写真をベースに版画をつくられるのですか?中尾さん野田さんは、もともとは油彩からはじめて、木版画を専門に勉強されたかたです。この作品がつくられた当時の版画技法は、木版や銅版、リトグラフがメインでした。写真製版は出始めたばかりでしたので、それを版画に部分的に取り入れるというやり方が珍しい時代でした。この作品では、椅子の部分は墨や蛍光インクに木版画の技法を使い、ほかにも写真製版、もっと詳しく言えば昔はガリ版刷りとも言いましたが、版画にはほとんど使われなかった謄写版ファックスも使うという新しい試みをされたのです。――技法がすごすぎて、驚きました。版画では、いろいろなことができるのですね。中尾さんまさに当時の作家さんたちも同じ気持ちで、版画は自分たちが知っている技法だけでなく、まだまだ新しいやり方を取り入れることができると思ったのです。版画表現は、作家自身で開拓していける可能性のあるジャンルと認識されていた時代でした。これは版画?印刷?高松次郎《英語の単語》1970年 東京国立近代美術館蔵――ほかにも、おすすめ作品はありますか?中尾さん版画かどうか、議論を呼んだ作品をご紹介します。高松次郎の《英語の単語》です。英単語が3つ並び、読むと「この/3つの/単語」という意味になっています。本来、文字というのはある概念を人に伝えるための記号として機能しますが、この作品では紙に書かれた文字がその内容と一致してしまっています。それ以上でもそれ以下でもない、記号と意味の問題を端的に示している作品です。――ちょっと難しい作品のように思えます。どのように鑑賞するのですか?中尾さん描かれているものを味わうという鑑賞⽅法とは違い、鑑賞する余地を与えない代わりに、⾒る⼈に頭を使わせ、その⼈の固定概念に揺さぶりをかけます。この時代の高松の作品は、概念を見せています。本作品は、何か別のものを表すために存在するはずの文字が自己完結することで、私たちは居心地の悪いような奇妙な感覚をおぼえます。そして、記号ではなく物質として見てみると、大量印刷できる印刷機で文字を刷っただけのものです。これが版画なのか?と問われるとグレーです。そんな作品が、版画を銘打っている展覧会に出されて注目されました。本作品の存在自体が、「これを版画に含めていいのか、そもそも版画とは何か」という問いも投げかけています。――版画作品、奥が深いですね。中尾さん1972年には高松が出品した別の作品が国際大賞を受賞し、印刷機でつくったものが、なぜ東京国際版画ビエンナーレ展で賞をとるのか、当時議論になりました。東京国際版画ビエンナーレ展の存在が、ある意味では版画の概念を崩壊させたという妙な状況が生まれたのです。当時は、印刷技術自体が日進月歩の時代。紙に文字を写すものは版画なのか、印刷なのか。その時代性をも見せてくれる、おもしろい作品です。展覧会タイトルの意味は…木村秀樹《鉛筆》1974年 京都国立近代美術館蔵――版画というと、昔の浮世絵版画や銅版画のイメージしかなかったのですが、さまざまな作品があり、印象がガラリと変わりました。最後に、なぜ展覧会のタイトルに「断層」とつけられたのか、教えていただけますか。中尾さん版画とグラフィックデザインはどちらも紙にインクを刷ってつくるので、広い意味では印刷に含まれるとても近い関係にあります。1960年代から1970年代にかけて、版画と印刷とグラフィックデザインの概念そのものを更新したりジャンルの境目を越えていくような試みが繰り返されましたが、本質的な部分まで混ざり合うことはありませんでした。今回の展覧会を考えるとき、これらのジャンルの関係性が私の頭の中で「断層」という言葉と結びつきました。断層の切り口は層としてはすぐ隣で重なっていますが、そこにはズレがあり交わることがありません。それで展覧会のタイトルにしました。当時の時代性も含めて、鑑賞を楽しんでいただけたらと思います。――詳しく教えていただき、ありがとうございました。Information展示風景より写真提供国立工芸館特別展「印刷/版画/グラフィックデザインの断層1957-1979」会期:2023年12月19日(火)~ 2024年3月3日(日)会場:国立工芸館(石川県金沢市出羽町3-2)開館時間:午前9時30分~午後5時30分※入館時間は閉館30分前まで休館日:月曜日(ただし2月12日は開館)、2月13日観覧料:一般¥300大学生¥150高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料
2024年02月04日東京・南町田にあるスヌーピーミュージアムが2月1日にリニューアルオープン!展示室の新設にくわえて、大人気のミュージアムショップ「ブラウンズストア」の新作グッズも大幅に増えます。新しい展示の見どころやおすすめグッズなど、ミュージアムの担当者さんにお聞きしました!大人気ミュージアムがリニューアル!ブラウンズストア販売グッズ(一部)【女子的アートナビ】vol. 322みんな大好きなスヌーピーの世界にどっぷりと浸れる「スヌーピーミュージアム」が、2月1日からリニューアルオープン。スヌーピーファンの聖地がさらにパワーアップします。リニューアル後のミュージアムでは、エントランスも大幅に変わり、口を開けた巨大なスヌーピーが登場。また、ぬいぐるみやアパレルなど数えきれないスヌーピーのグッズで埋め尽くされた「スヌーピー・ワンダールーム」も新設されます。さらに、人気のミュージアムショップ「ブラウンズストア」では、新作グッズ160点以上が大量投入!世界でここでしか買えないオリジナルグッズが大幅に増えます。そんな注目のリニューアルについて、スヌーピーミュージアム広報ご担当の矢川千絵さんと、グッズご担当の吉留明子さんに詳しくお話をうかがいました。「はしゃげる」ミュージアムに変身!PEANUTS Cafe SNOOPY MUSEUM TOKYO 新メニュー――まずは、ミュージアムのリニューアルについて、教えていただけますか。矢川さんこれまでのミュージアムは原画を見ていただくことを中心としていましたが、南町田に移転オープンしてからは館内で楽しみながら写真を撮っているお客様が多く、もう少し楽しめるポイントがあるとうれしいという要望をいただいていましたので、今回のリニューアルでは「はしゃげて楽しめる」ミュージアムに生まれ変わります。例えば、SNSの人気映えスポットとして使われている全長約8メートルのスヌーピーがいる展示室は、今まで静かなお部屋でしたが、リニューアルでは音楽や動く影の演出を取り入れ、より楽しめるようになります。――スヌーピーミュージアムに隣接する『PEANUTS Cafe』もリニューアルされるのですか?矢川さんはい。今回のリニューアルでグランドメニューが総入れ替えとなり、より楽しめる内容になると思います。スヌーピーなど人気キャラクターを前面に出したメニューも増えて、ミュージアムの余韻にも浸ることができます。また、企画展と連動したメニューも出る予定です。一番人気は“ゆるくた”ぬいぐるみ!ゆるくたオラフぬいぐるみ ¥3,850(税込)――ミュージアムショップ「ブラウンズストア」のリニューアルについて、教えていただけますか。吉留さんショップの商品は、現時点で約300点ありますが、そのなかで約160点、半数近くが新しくなります。かなりボリューミーで、新鮮味があります。書籍以外は、すべてこのミュージアムだけのオリジナルグッズです。――どんな商品がおすすめですか?吉留さん一番人気は、ぬいぐるみやマスコット系です。特に、ふわふわでくたっとした手触りの“ゆるくた”シリーズのぬいぐるみは人気があります。今、すでに売っているスヌーピーやチャーリー・ブラウンに加えて、今回はスヌーピーのきょうだいオラフが新たに発売されます。――オラフは、ちょっとふっくらしていて、コミックの中では「みにくい犬コンテスト」で優勝したという経歴もあるキャラクターですね。吉留さん実は、かなり人気のキャラクターなんですよ。今回のゆるくたぬいぐるみでは、オラフのふっくらした雰囲気を表現するため、ずっしり感が出るよう中に入れるおもりの重さにもこだわりました。また、座らせたときにちょっとヘタッとなるように質感も工夫しています。ゆるくた巾着が超かわいい!ゆるくたスヌーピー ロングポーチ ¥2,970(税込)――ゆるくたシリーズは、ポーチや巾着袋もありますね。吉留さんぬいぐるみをそのままポーチにしました。くたっとしたふわふわの手触りで、すごくかわいらしく仕上げています。カラーリングにもこだわり、耳や鼻などふつう黒い部分を少しグレーっぽくして、大人でも持てるようなデザインになるよう心掛けました。ゆるくたスヌーピーフェイス巾着 ¥2,200(税込)――巾着袋もすごくかわいいです。スヌーピーの顔だけがついていて、愛らしくて心を奪われました。吉留さんありがとうございます。この巾着袋にも、ゆるくたのスヌーピーがそのままついています。サイズや質感にもこだわってつくったおすすめ商品です。バッグ類も充実!トートバッグ ¥2,970(税込)――アラサー世代のanan読者におすすめのグッズはありますか?吉留さんトートバッグは種類やカラーも豊富で、使いやすさにもこだわってつくりましたので、ぜひ手に取って見ていただきたいですね。開発チームにはアラサー女性も多いので、みんなに意見を聞きながら生地や色、紐など決めていきました。膨大なコミックのなかから特にかわいいシーンを選び、バッグにデザインしています。ミュージアムを楽しんでいただいた方が、その余韻にも浸れるバッグです。ハニーローストピーナッツ ¥2,970(税込)吉留さんまた、約25センチサイズのスヌーピー立体ケースに入ったお菓子もおすすめです。帽子のフタを取ると、なかにハニーローストピーナッツの小袋が入っています。使い終わったあとは貯金箱になり、おまけのシールもついていてお得感があります。昭和っぽい懐かしい感じもあるおもしろい商品で、見た目にもかわいらしくお部屋に飾るのもおすすめです。限定のグッズも!ラグ ドッグハウス ¥19,800(税込)、スヌーピー 50’s ¥16,500(税込)――ほかにも、注目のグッズはありますか?吉留さんMIYOSHI RUGさんに生産を依頼した手づくりラグは、今回の注目グッズです。約70センチの大き目のラグで、徳島の工場で職人さんが手作業でつくっているので、一点一点味わいが違います。実際に見ていただけるとわかりますが、本当にしっかりしたラグです。数量限定品ですが、ちょっと珍しい商品なのでおすすめです。カチューシャ&チョーカー ¥2,530(税込)吉留さん最後にもうひとつ、ふわふわの生地でつくったスヌーピーの耳つきカチューシャとチョーカーのセットをご紹介します。リニューアル後はこれまで以上に撮影できるスポットも増えますので、入口でこの商品を販売します。来館者の方々もスヌーピーになりきって、館内を見ていただくことができます。――ちょっとしたコスプレのようで、楽しそうですね。いろいろご紹介いただき、ありがとうございました!企画展もスタート!ミュージアムでは、リニューアル後の2月1日から新しい企画展「旅するピーナッツ。」がはじまります。シュルツ美術館が所蔵する貴重な原画約45点を中心に構成され、スヌーピーやピーナッツ・ギャングが旅を楽しむ様子が描かれた原画を楽しめます。ぜひ、新しくなったミュージアムやショップ、カフェでスヌーピーの世界にどっぷり浸ってみてくださいね!※掲載タイミングによって完売している商品がある可能性があります。© 2024 Peanuts Worldwide LLCInformation企画展「旅するピーナッツ。」会期:2024年2月1日(木)~9月1日(日)開館時間:平日10:00~18:00、土日祝10:00~19:00、※2月1日(木)~4日(日) 10:00~20:00(最終入場は各閉館時間の30分前)休館日:2024年1月9日(火)~1月31日(水)、2月20日(火)、他年2回観覧料:前売券 一般・大学生 ¥1,800、中学・高校生 ¥800、4歳〜小学生 ¥400当日券 一般・大学生 ¥2,000、中学・高校生 ¥1,000、4歳〜小学生 ¥600
2024年01月28日東京・六本木にある森アーツセンターギャラリーで、「キース・ヘリング展アートをストリートへ」がはじまりました。東京展のスペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、俳優の磯村勇斗さん。昔からへリングが大好きだったという磯村さんに、展覧会のご感想やアートについて、お聞きしてきました!磯村勇斗さんがスペシャルサポーター!磯村勇斗さん。キース・ヘリング作《ブループリント・ドローイング》の展示室にて【女子的アートナビ】vol. 320本展は、世界的アーティスト、キース・ヘリング(1958-1990)のアートを体感できる大規模な回顧展です。キース・へリングは、アメリカ・ペンシルベニア州生まれ。1978年にニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学し、1980年代初頭にニューヨークの地下鉄駅構内にある広告板にグラフィティ・アートを描きはじめ、注目を集めます。やがて次々と展覧会が開かれて国際的にも評価が高まり、日本でも展覧会やワークショップを開催。精力的に制作を続けますが、1988年にエイズと診断されます。その後はエイズ予防のメッセージをアートで訴えるなど、31歳で亡くなるまで、アートをとおして社会的な活動も行いました。本展では、初期のサブウェイ・ドローイングや、誰もが見たことのある人気のモチーフが登場する《イコンズ》、6メートルもある大型作品など約150点を展示。絵画だけでなくオブジェクトもあり、展示空間もドラマチックに演出されています。そんな楽しい展覧会の東京展スペシャルサポーターと音声ガイドナビゲーターを務めるのは、磯村勇斗さん。内覧会に登壇した磯村さんにインタビューも行い、展覧会やアートのことなど、いろいろお聞きしてきました!ビビッときました!――昔から、キース・へリングが大好きだったとのことですが、どんなきっかけで好きになられたのですか?磯村さん大学で美術を専攻していまして、アメリカのポップカルチャーを勉強していました。アンディ・ウォーホルや草間彌生さんなどのアーティストのなかにキース・へリングもいて、教科書に載っていたキースの絵を見て、ビビッときたんです。この絵好きだ!と思いました。そこから、彼の絵をどんどん見るようになりました。――どんなところにビビッときたのですか?磯村さん学生時代のことで、作品名をしっかり覚えてはいないのですが、人の集合体のような作品で、人がシンプルに描かれているだけで、絵は止まっているはずなのに、なんで人が動いて見えるのだろう?と思いました。線の効果や、人のちょっとした動き具合だと思うのですが、止まっている絵をこんなにも楽しく見せることができるのだな、と衝撃を受けました。――そんな大好きなアーティストの展覧会でスペシャルサポーターに選ばれて、いかがですか。磯村さん率直にうれしかったです。今まで取材などでキース・へリングが好きですという話をしていたのですが、それが今回このような形でオファーをいただけて、すごくうれしく思いました。はじめての展覧会スペシャルサポーターがキース・へリングなんて、光栄でありがたいです。好きな気持ちを乗せて…――今回、音声ガイドナビゲーターも担当されています。収録はいかがでしたか。磯村さん緊張しました。キース・へリング自身、自分の作品についてあまり説明していなくて、彼が当時どのような思いで生きていたのか明かされていないまま今に至ります。音声ガイドでは、そんな彼の言葉や思いをセリフのように自分が語る部分があります。自分の気持ちをどのくらい入れたらいいのだろうと悩みながら収録しました。特に、セリフの部分をキースに寄せるのか、自分自身の言葉でやるかを悩みましたが、そこはキースを好きな気持ちを乗せながら、自分らしくやりました。――音声ガイドで、印象に残っているストーリーなどはありますか?磯村さんキースの言葉で、「鑑賞者もアーティスト」というのがあり、それが僕たちの仕事も同じだと思いました。映画は映像として完成した時点では90パーセントで、劇場で公開して、お客さまに見ていただき、ようやく100パーセントになると思っています。それと一緒だなと思いましたし、キースの感覚と近いものを感じられました。すべて自分たちで解決して満足するのではなく、余白を残して、しっかり鑑賞者であるお客さまにゆだねるという心が大事だなと思いました。――今回の展示で、特にお気に入りの作品はありますか?磯村さん本当に絞るのが難しいのですが、特によかったのは《ブループリント・ドローイング》の作品群です。暗い展示室の中にモノクロ版画の作品が並んでいるのですが、展示空間づくりも含めてお気に入りです。キースが死の宣告を受けたあと、彼が今までやってきたアート人生を振り返りながら制作したもので、悲しい部分を感じつつも、パワフルで、皮肉な部分もあります。それらを暗く描くのではなく、明るく描いているのがすごく僕の中でしびれました。ぜひ注目していただきたいポイントです。友だちになれそう(笑)――本展では、キース・ヘリングの生涯についても詳しく触れられています。この点について、どう思われましたか。磯村さんキースはパートナーを亡くし、自分がエイズであることも知り、死を感じながら創作活動をしていました。死を知りながら、何かものづくりをするというのは、どんな気持ちだったのだろうか、とすごく考えます。当時描いていた絵を見ると、ものすごくエネルギーがありながらも、どこか寂しさもある。でも、それを悲しく描くのではなく、最後まで色を使って明るく描いて、明るく生きていこうとしていたのではないかと僕は感じました。鑑賞者の立場になり、アートはみんなのため、という想いを最後まで心の中に秘めながら描いたのではないかと思いました。――キースのアーティストとしての活動期間は約10年間でした。磯村さんもデビューして約10年ですが、今回彼の作品を観られて、改めてどう感じられましたか。磯村さん10年という短いなかで絵を描き、それが今の世界でみんなに知られている。彼がもし今生きていたら、どんなふうに作品を作って世の中にメッセージを届けていたのか気になります。キースの作品にはセクシャルな部分など社会的なメッセージもあり、現代でも通用するものです。彼の生きてきた時代と今は全然変わっていないし、彼の絵が僕らにも刺さるということは、今もその問題に向き合わなければならないことだと僕たちに教えてくれます。彼は20代で、すでにいろいろな問題が見えていた。それは、考えられないくらいすごいことだと思います。――磯村さんにとって、キースはどんな存在ですか?あこがれの人でしょうか。あるいは、友だちになりたい人ですか?磯村さん友だちになれそうな感じがします(笑)親しみやすい方なのではないかな、と思います。キースは、小さいころから絵を描くことが大好きで、親にやめなさいと言われても描き続け、どんどん手が止まらず描いてきた人だった。自分も、役者をやりたいといって、反対されながらもずっと口にしてやり続けてきたので、その辺のマインドみたいなものはすごく共感できます。もし今の時代にキースが生きていたら、こういう話をして「わかる、わかる!」と言い合いたいですね(笑)。いい友だちになれそうな気がします。――キースなどのアートを見ることは、役作りに何か影響していますか?磯村さん俳優業にどうつながっているかはわかりませんが、やはり絵は自分の世界を広げてくれるものでもあり、想像力を掻き立てられて豊かにしてくれるものです。役者も想像力が豊かでないとできないので、それを養う力がアートにはあると思います。グッズも持っています!――ちなみに、キースのグッズもお持ちですか?磯村さんグッズはいろいろ持っていて、ステッカーやファイル、ポーチ、Tシャツ、ジャケット、「光りを放つ赤ちゃん」と「吠える犬」のオブジェクトもあり、全部で十数点は持っています。――お部屋に飾って楽しんでいるのですか?磯村さん赤ちゃんと犬のオブジェクトは自分のなかのお気に入りで、それは部屋の観葉植物の下に置いています。配置を工夫して、気分によって犬に追われている赤ちゃんにしたり、赤ちゃんが追う犬にしたりしてシーンをつくり、寂しい遊びをしています(笑)。観葉植物はヤシ科の大きな葉があるもので、その下に置いているのですが、意外にかわいくて合います。――アートがお好きなんですね。磯村さん小さいころからアートは好きで、家族で旅行に行ったりするときは、必ず美術館に寄るくらいでしたので、その影響で自分も絵が好きになっていました。美術館で絵を見るのも好きですけど、その空間も好きなんです。部屋にアートを飾ると、その好きな空間を家の中で味わえて、自分のプライベートの時間が充実するし、落ち着きます。――最後に、展覧会を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。磯村さんキース・へリングの作品は、今の若い人たちも見たことがある人がほとんどだと思います。でも、キースがどんな人なのかを知っている人は少ないと思います。今回の展覧会では、彼がどういう人でどんな人生を歩んできたのか、みなさんが見たことがある絵の背景にはどういった思いがあるのか、といったことを知ることができるチャンスだと思います。ここまでキース・へリングの裏側を解説していく展覧会はなかったと思うので、ぜひ、みなさんに来ていただけるとうれしいです。――ありがとうございました!取材を終えて…キース・ヘリングのTシャツがお似合いだった磯村さん。ご自身でも絵を描いているそうで、アートにも大変詳しく、楽しいお話を聴かせてくださいました。取材後、会場で音声ガイドを聴きながら作品を観たのですが、キースの人生や彼の言葉が紹介され、まるでドキュメンタリー映画を見ているような感覚で作品を鑑賞できました。特に、エイズと診断されたあとのキースの想いや、死について語る部分では涙腺が崩壊。彼の作品と磯村さんの声が重なり、すばらしい鑑賞体験ができました。ぜひ音声ガイドを聴きながら、キースの作品をご覧になってみてください。All Keith Haring Artwork ©Keith Haring FoundationInformation会期:~ 2024年2月25日(日)会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)時間:10:00~19:00※金曜日・土曜日は20:00まで※年末年始(12月31日~1月3日)は11:00~18:00※入場は閉館の30分前まで休館日:会期中無休観覧料:一般・大学生・専門学校生¥2,200中高生¥1,700小学生¥700※事前予約制(日時指定券)音声ガイド貸出価格:¥650(税込)※お一人様一台につき撮影:山本倫子
2023年12月23日東京・丸の内にある静嘉堂@丸の内で、2024年1月2日から2月3日まで「ハッピー龍イヤー! ~絵画・工芸の龍を楽しむ~」が開かれます。古代から吉祥をもたらすものとして扱われていた「龍」。辰年の2024年、おめでたい龍の絵画や工芸品が静嘉堂に集まります。おめでた気分MAXの展覧会!【女子的アートナビ】vol. 321「龍」が誕生したのは、古代中国。体はヘビ、頭には角が2本あり、口に長いひげを生やした姿で描かれる想像上の動物です。ふだんは水中にひそんでいますが、天に昇って雨を降らせる力などをもつとされ、古くから雨ごいの神としても信仰されていました。そんな龍をモチーフにした作品が本展に集結。企画を担当された静嘉堂文庫美術館学芸員の長谷川祥子さんは、本展の見どころについて、次のように教えてくれました。長谷川さん2024年に幕開けとなる本展は、来年の干支・辰(龍)を祝うテーマで開催するものです。想像上の動物である龍は、東アジアでは吉祥の霊獣として、また皇帝のシンボルとして数多く名品に表されています。このたび、静嘉堂の所蔵品から龍モチーフの作品を、幅広いジャンルから揃えました。これまで公開の機会のなかった“龍たち”も、ここぞとばかりに初登場です。さまざまな表情、迫力あるポーズも楽しい、そして重要文化財2件を含む、意外に()名品揃いの展覧会です。どうぞお楽しみください!anan読者におすすめの作品は…青花黄彩雲龍文盤「大清乾隆年製」銘清時代・乾隆年間 (1736〜95)景徳鎮官窯今回、長谷川さんにanan読者へのおすすめ作品を3点ピックアップして解説していただきました。ひとつめは、景徳鎮のお皿です。長谷川さんこの大皿は真ん中に正面を向いた五爪龍が描かれ、中央には「宝珠」を持つがごとく、「寿」の字を入れた丸文が描かれています。上質なコバルト顔料で、龍とそれを取り囲む炎や雲を濃いブルーで描いて本焼成したのち、今度は清朝で開発されたばかりの、酸化アンチモンによる美しい「レモンイエロー」の顔料を余白すべてに塗りつめてからもう一度焼いています。なんとも濃密なカラー!清朝官窯ならではの逸品なのです。幕末最大の浮世絵派閥、夢の競演!三代歌川豊国(国貞)・二代歌川広重 画《長崎 円やま》江戸時代・文久元年(1861)ふたつめのおすすめ作品は、江戸時代の浮世絵です。長谷川さん異国情緒ただよう、長崎・円山(まるやま)の妓楼(ぎろう)で、男女二人が窓辺に広がる海を眺めています。長いキセルをステッキのようにたてた遊女の打掛は、大海原から立ち上る昇竜(のぼりりゅう)のデザインです。ちなみにこの浮世絵は、国貞が三代歌川豊国と名乗り、歌川派の重鎮として活躍した時期の作品ですが、画面に繰り広げられる見事な景色は、風景画を専門とした二代歌川広重が描いています。一点で、幕末最大の浮世絵派閥・歌川派の競演、“人物の豊国”と“風景の広重”を楽しめる、お得な作品です。皇族の服をリフォーム!?《紺地龍“寿山福海”模様刺繍帳》(部分)清時代 (19世紀)最後のおすすめ作品は、刺繍で装飾された美しい布です。長谷川さん「帳(とばり)」とは、中国文人風の「煎茶会」を邸宅の広間で催す際、茶室の入り口に掛けられた暖簾(のれん)のような布のことです。この羅地(らじ)の絹は、中国皇帝のシンボル・五爪をもつ龍と、さまざまな吉祥文様を各色に染めた色糸による刺繍によって、ことに龍の鱗は金箔の「撚(よ)り糸」による刺繍で装飾されています。限りなく吉祥文様が詰まった“寿山福海”(じゅざんふくかい)という意匠です。この帳は何と、清朝皇族の袍(服)であったものを、煎茶人がリフォームしたものと推定されます。姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」でうれしい割引も!長谷川さんの解説、いかがでしたか。ほかにも、迫力満点の橋本雅邦「龍虎図屏風」(重要文化財)と、鈴木松年「群仙図屏風」の屏風対決が見られたり、大人気の国宝「曜変天目(稲葉天目)」も出品されたりと、静嘉堂のスター作品も登場。おめでたい気分を味わえること、間違いなしです!なお、本展では「辰年生まれ」の方、姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」がついている方は、同伴者も含めて入館料が200円も割引になります。ぜひ、お友だちやご家族のなかで辰年生まれや姓名にご縁のある方を探し、みなさんでハッピーな展覧会にお出かけください。Information会期:2024年1月2日(火)~2月3日(土)会場:静嘉堂@丸の内開館時間:10:00~17:00※金曜は18:00閉館。※入館は閉館時間の30分前まで休館日:月曜日(ただし1月8日(月・祝)、1月29日(月)は開館)1月9日(火)※1月29日(月)はトークフリーデーとして特別開館いたします。観覧料:一般¥1,500大学・高校生¥1,000中学生以下無料※「辰年生まれ」の方、姓名に「龍・竜・辰・タツ・リュウ」がついている方は、同伴者も含め、本展の入館料を ¥200割引。※他の割引との併用不可。※ご入館の際、証明になるものをご提示ください。
2023年12月22日男「それでさ…」恋愛がうまくいく♡モテる女子がやっている積極的なアプローチ!男性が好きな女性に対する気持ちは、実はその行動に現れます。それは、必ずしも言葉にならないこともあるため、男性の行動をよく観察すれば、あなたへの愛情があるか分かるかもしれません。今回は、男性が心から想っている女性に示す、普通には見られない行動をピックアップして紹介します。プライベートな話を積極的にするもし、あなたの相手が自身の話をいっぱいしてくれるのでしたら、それは愛情表現のひとつと考えていいかもしれません。男性は「自分のことを知って欲しい」と思うと、自身のプライベートな話題を出しがちです。さらに、あなたを楽しませたいために一生懸命話すことも。ですが、その場しのぎの時間つぶしのようなものでは、男性は雑な話題を選ぶこともあるよう。男性がどんだけ自身の話をしてくれるか、その頻度と数であなたへの感情を見極めてください。男性からの愛情表現かも?本気の気持ちを持った女性には、男性も自身から積極的に、コミュニケーションをとります。もし頻繁に話しかけてきたりすることがあるならば、その男性からの愛情表現かもしれませんね。(愛カツ編集部)
2023年12月01日東京・上野にある東京都美術館で、2024年1月27日から「印象派モネからアメリカへウスター美術館所蔵」がはじまります。本展のオフィシャルサポーターは、俳優の鈴鹿央士さん。音声ガイドにも初挑戦された鈴鹿さんに、展覧会への熱い思いを語っていただきました!鈴鹿央士さんがオフィシャルサポーターに!鈴鹿央士さん【女子的アートナビ】vol. 319本展では、アメリカ・ボストン近郊にあるウスター美術館のコレクションを中心に、モネやルノワール、ピサロ、カサットなど印象派を代表する画家たちの油彩画約70点が集結。そのほとんどが初来日作品です。さらに、日本ではなかなか見ることができない「アメリカ印象派」の作品も多数展示されます。この展覧会が開催される2024年は、第1回印象派展から150周年を迎える記念の年。フランスで生まれた印象派が、アメリカ各地でどのように広がっていったのか、その影響を本展でたどることができます。本展のオフィシャルサポーターを務めるのは、鈴鹿央士さん。記者発表会に登壇した鈴鹿さんにインタビューも行い、展覧会への思いについて、お聞きしてきました!ワクワクしています!クロード・モネ《睡蓮》1908年油彩、カンヴァスウスター美術館Museum Purchase, 1910.26/Image courtesy of the Worcester Art Museum――まず、オフィシャルサポーターに選ばれて、いかがでしたか?鈴鹿さんはじめて展覧会のオフィシャルサポーターを務めさせていただくので、非常にワクワクしています。みなさんに気軽に楽しんでいただけるよう、また僕自身も楽しみながらやってみたいと思っています。――印象派については、どんなイメージをお持ちでしたか?鈴鹿さんあまり美術の知識はなかったので、今回のお話をいただいてから、学ばせてもらいました。それまでのイメージは、はっきりした絵というより、淡い色合いの風景を描いた作品が多いのかな、という感じで、モネの睡蓮ぐらいしか知りませんでした。――今回、印象派を勉強されたとのことで、何かイメージが変わりましたか?鈴鹿さん変わりました。印象派の歴史的背景を学んで、おもしろいと思いました。印象派が出てくる前は、風景画であっても戸外では下絵を描き、アトリエに持って帰って油彩画を仕上げる手法でしたが、印象派の画家たちは、その場で見た色やありのままの風景を描くのです。その一瞬を切り取るのがすごくステキだと思いました。すごく印象に残った言葉は…――今回、音声ガイドにも初挑戦されました。スペシャルトラックとして収録されたそうですが、いかがでしたか?鈴鹿さん収録のとき、たくさん噛みました(笑)。自分はこんなにしゃべれなかったかな、と思いながら収録しました。でも、ウスター美術館は地域と距離感が近い美術館だそうで、絵画以外にもいろいろな作品が展示されていて、地域の人たちが気軽に立ち寄る美術館とお聞きしました。その気軽な雰囲気を僕の声で出せたらな、と意識しながら収録していたので、楽しく録ることができました。――収録を終えて、印象に残っているセリフはありますか?鈴鹿さん画家の黒田清輝さんの言葉が印象に残っています。彼は、印象派を日本に持ち込むうえで大きなお仕事をされた方ですが、僕の言葉で要約すると、印象派というものがほかの土地に行ったときに、その土地のものになる、というようなことを仰っていたのです。フランスで生まれた印象派がアメリカに行ったら、それはアメリカの印象派になる、ということですよね。それは今にも通じることだと思いました。僕は、いろいろ無駄なことを考えるのが好きで、例えばお寿司は、日本では生のお魚ですけど、アメリカに行ったらカリフォルニアロールになって、それが寿司になっています。僕らもそれを受け入れる心が大事なんだな、と思いました。黒田さんの言葉がすごく大切な言葉だと感じながら収録しました。この部分のセリフは、ぜひ音声ガイドで聴いてみてください。気になる作品は…デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-16年油彩、カンヴァスウスター美術館Museum Purchase, 1916.57/Image courtesy of the Worcester Art Museum――今回、アメリカ印象派の作品も多く展示されます。作品を資料でご覧になって、気になる作品はありましたか?鈴鹿さんアメリカならではの広大な自然が描かれている作品が印象に残っています。特に気になる作品は、デウィット・パーシャルさんの《ハーミット・クリーク・キャニオン》です。グランド・キャニオンを描いたもので、太陽の光に淡いピンクやオレンジを使い、全体的に明るい印象を受けました。この絵が好きな理由は、エピソードがおもしろいのです。パーシャルさんが、この絵を描いてくださいといわれたとき、グランド・キャニオンまで目隠しをされて連れて行かれ、目隠しをとって見た景色がこの絵になっているそうです。なんでそんなことしたんだろう?と思ったのですが(笑)、そんな話を知ると、おもしろい絵だなと感じました。また、今回は北欧の人が描いた印象派作品も展示されるそうで、土地ごとの違いを見比べるのも楽しそうです。――フランスからはじまった印象派は、アメリカや北欧、日本など世界に影響を与えたのですね。鈴鹿さんでも、当時の絵画はきれいに描くというのが重要視され、印象派の粗いタッチは評価されなかったらしいのです。印象派の画家たちは、一瞬の自然や草の色は緑だと決めつけず、いろいろな色で表現していましたが、そのような絵を当時の社会で発表するのは勇気がいるものだと思いました。それでも、彼らの絵は世界中に広がる力と勢いがあった。やはり、印象派の技法とか、すごい衝撃だったのだろうと思います。僕も、よくカメラで風景を撮るので、一瞬を切り取るというのは通じるような気がします。――写真を撮るのがお好きなんですね。印象派の作品とつながる部分がありそうですね。鈴鹿さん僕はフィルムで風景の一瞬を撮るのですが、現像して振り返ってみると、撮ったその場所の空気感とか匂い、温度を思い出します。きれいにその場所を切り取るのではなく、そのときの自分の感覚を含めてその一枚を大切にするという思いがあります。例えば、モネの睡蓮は連作になっていますが、同じ場所の睡蓮でもいろいろな色や水面があり、写真とも似ているのかなと思いました。その風景の「一瞬」を追っているのだと思います。どんどん印象派にのめりこんだ!――ところで、本展のオリジナルグッズにウスターソースが出るそうですね。鈴鹿さん美術館の名前がウスターだからウスターソースを作ったそうで…ちょっと「そうなんですか」としか僕も返せなかったのですけど(笑)、そういうおもしろさもある展覧会ですね。僕の岡山の実家には、ウスターソースは常備していなかったので、これを機にウスターソースを使って料理してみたいです。――最後に、メッセージをお願いします。鈴鹿さん展覧会には初来日の作品も多く展示されるので、美術が好きな方も来ていただいて価値のあるものだと思います。僕自身、あまり美術の知識がなかった人ですけど、どんどん印象派の絵にのめりこんでいきました。その魅力を、まだあまり美術を知らない人にも、ぜひ楽しんでいただきたいです。たくさんの方に気軽に足を運んでいただきたいと思います。――ありがとうございました!取材を終えて…優しい笑顔がとてもステキだった鈴鹿さん。オフィシャルサポーターに選ばれてから印象派について学んだと仰っていましたが、本当にのめりこんでしまったそうで、その魅力について熱く語ってくれました。鈴鹿さんは、お声もソフトで優しいので、スペシャルトラックとして収録された音声ガイドを聴くのが楽しみです。音声ガイドではクイズの企画もあるそうなので、ぜひガイドを聴きながら展覧会を楽しんでみてください。Information会期:2024年1月27日(土)~4月7日(日)会場:東京都美術館(東京・上野公園)開室時間:9:30〜17:30金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)休室日:月曜日、2/13(火)※ただし2/12(月・休)、3/11(月)、3/25(月)は開室観覧料:一般¥2,200 (¥2,000)、大学生・専門学校生¥1,300(¥1,100) 、65歳以上¥1,500(¥1,300)・()内は前売料金。・高校生以下無料。※土日・祝日及び、4月2日(火)以降は日時指定予約制(当日の空きがあれば入場可)問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)※本展は、東京都美術館で開催したあと、郡山市立美術館、東京富士美術館、あべのハルカス美術館に巡回します。This exhibition was organized by the Worcester Art Museum
2023年11月22日東京・新宿のSOMPO美術館で、「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」が開かれています。本展では、日本でも人気の高い画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)が描いた静物画に焦点をあて、国内外から油彩画が集結。彼が影響を受けた画家たちの作品も見ながら、ゴッホの変遷をたどることができる展覧会です。静物画を見なければ、ゴッホは語れない!「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示室入り口※本記事の写真は、プレス内覧会で許可を得て撮影しています。【女子的アートナビ】vol. 318本展では、ゴッホの画業のなかでも静物画にフォーカスして、彼の初期作から晩年の大作まで25点の油彩画を紹介。さらに、ヨーロッパにおける静物画の歴史のなかで、ゴッホが影響を受けたドラクロワやマネ、モネなど、著名な画家たちの作品もあわせて展示。出展作品全69点を通して、彼が何をどのように学んでいったのか、画業の変遷をたどることができます。展覧会を担当されたSOMPO美術館上席学芸員の小林晶子さんは、次のように述べています。小林さんゴッホは、当初、人物を描く画家になりたかったので、静物画に対してそれほど興味をもっていませんでした。絵を学ぶ鍛錬のためのものが静物画でした。鍛錬しているうちに自分の芸術を確立し、静物画のなかでも「ひまわり」が自分の代表作であると思うようになりました。本展のキャッチコピーは「静物画を見なければ、ゴッホは語れない」です。ゴッホがどんなふうに鍛錬して、代表作を描くまでに至ったのか、静物画の歴史もあわせてご覧いただけます。ハーグ時代の初期作からスタート!フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽のある静物》1881年クレラー=ミュラー美術館蔵、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands最初の章では、まずゴッホが油彩画に取り組み始めたハーグ時代の初期作からスタート。《麦わら帽のある静物》は1881年に描かれたものです。その前年、27歳のときに、ゴッホは画家になることを決意。ブリュッセルの王立美術アカデミーに通い、その後、オランダ南西部のハーグで、画家マウフェから指導を受けました。「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景1章の前半では、17世紀のオランダ絵画もあわせて展示。ヨーロッパ絵画史のなかで、静物画というジャンルが確立したのは17世紀ごろといわれています。当時、市民階級が豊かになったネーデルランド(現在のオランダ)では、身の回りの事物や工芸品などをリアルに描いた小さな静物画が流行。市民たちは、それらを自宅に飾り楽しんでいました。静物画について、はじめは油彩を描くための修業としてとらえていたゴッホは、瓶や壺、鳥の巣など伝統的なモチーフを描いていました。ゴッホ、ドラクロワに学ぶ!「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景1章の後半では、19世紀の静物画を展示。ドラクロワやピサロ、ルノワールなどの華やかな作品が並んでいます。ゴッホは、特にドラクロワ作品の色彩に感銘を受け、弟のテオに手紙で作品や制作姿勢について語っています。ドラクロワは、ゴッホの作品に大きな影響を与えた画家のひとり、といわれています。1886年、パリに移住したゴッホは、印象派の明るい作品からも影響を受け、初期のころと比べると、色彩も描き方も大きく変化しました。会場に展示されているパリ初期時代の花作品は、驚くほど色彩が鮮やか。ゴッホの画風の変化がよくわかります。ゴッホ、モンティセリに学ぶ!アドルフ=ジョゼフ・モンティセリ《花瓶の花》1875年頃 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands2章では、花の静物画に焦点を当てて紹介。ここで注目したいのが、ゴッホと同時代の画家、アドルフ=ジョゼフ・モンティセリ(1824-1886)の作品《花瓶の花》です。彼は、肖像画や静物画などを手がけ、筆跡が残るタッチや絵具を厚塗りする描き方など、当時としては珍しい表現をしていた画家です。ゴッホは、モンティセリの作品を収集し、表現方法や技法も参考にしたといわれています。モンティセリ作品に似たようなゴッホの絵も、近くに展示されています。ゴッホがモンティセリからどう学んだのか、描き方など比べてみるとおもしろいです。ゴッホの代表作が登場!フィンセント・ファン・ゴッホ、左:《アイリス》 1890年 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)Van Gogh Museum, Amsterdam(Vincent van Gogh Foundation)、右:《ひまわり》 1888年 SOMPO美術館本展のハイライト、ゴッホの代表作《ひまわり》と《アイリス》は2章で登場!さまざまな画家の作品から影響を受け、静物画を通して修業していたゴッホが、いよいよ自身のスタイルを確立。《ひまわり》は1888年、《アイリス》は1890年に描かれています。強烈な色彩、荒々しいタッチ、厚塗りの絵具などは、ゴッホの代名詞ともいえる表現法ですが、本展を見ていくと、彼が独自に生み出したのではなく、さまざまな作品から学んでいたことがわかります。画風を確立したゴッホですが、《ひまわり》を制作した1888年に、画家仲間のゴーギャンと口論して、自分の耳を切り、アルルの病院に入院。その後、サン・レミ・ド・プロヴァンスにある病院で精神科の治療を受けました。《アイリス》を制作した後、1890年の7月に37歳で死去。銃で自らを撃ったと伝わっています。ゴッホに影響を受けた画家たちの作品も!「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展示風景最後の章では、ゴッホ、ポール・ゴーギャン、ポール・セザンヌなど「ポスト印象派」と呼ばれた画家たちの作品や、ゴッホから影響を受けたモーリス・ド・ヴラマンクの作品などを紹介。新しい静物画のスタイルを切り拓いていった画家たちの、自由で革新的な作品を楽しめます。静物画を通してゴッホの変遷をたどることができる展覧会は、2024年の1月21日まで開催。人気の展覧会なので、ぜひ日時指定予約をしてお出かけください。Information会期:~24年1月21日(日)会場:SOMPO美術館時間:10時~18時(ただし11月17日(金)と12月8日(金)は20時まで)※最終入場は閉館30分前まで休館日:月曜日(ただし1月8日は開館)、年末年始(12月28日~1月3日)観覧料:一般¥2,000(¥1800)、大学生¥1,300(¥1100)※()内は日時指定料金問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年11月19日東京・上野にある東京都美術館で、「永遠の都ローマ展」が開かれています。本展では、ローマの観光地としても人気のカピトリーノ美術館から多くの作品が来日。古代彫刻の傑作をはじめ、油彩画や版画、貨幣など多彩な作品を楽しめる展覧会です。歴史あるカピトリーノ美術館から来日!カンピドリオ広場のカピトリーノ美術館©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali【女子的アートナビ】vol. 317イタリアの首都、ローマにあるカピトリーノ美術館は、世界でもっとも古い公共美術館のひとつ。1471年に、時の教皇シクストゥス4世が《カピトリーノの牝狼》などの古代彫刻4点をローマ市民に寄贈したことからはじまり、その後、1734年にローマの古代遺物や彫刻、名家が所蔵していた美術品などが一般に公開されるようになりました。カピトリーノ美術館が建つカンピドリオ広場は、あの有名なミケランジェロが構想。美しい敷石のデザインなどが目を引く観光客にも人気のスポットです。そんな由緒ある美術館から、貴重な彫刻や絵画、版画など古代から近代までの作品が数多く来日。ほかにもローマ美術館など国内外の作品をあわせた約70点の展示作品を通して、ローマの芸術を堪能できます。ローマの建国者はオオカミに育てられた…?!《カピトリーノの牝狼(複製)》 20世紀(原作は前5世紀) ローマ市庁舎蔵本展は、5章構成。第1章、「ローマ建国神話の創造」では、ブロンズや大理石像、貨幣などの作品を通して、古代ローマ建国を伝える有名なエピソードを知ることができます。まず展示室に入ると、ローマのシンボルともいえる作品《カピトリーノの牝狼(複製)》が出迎えてくれます。古代ローマ神話によると、ローマの建国者ロムルスと弟レムスは、軍神マルスと巫女レア・シルウィアの間に生まれた双子。しかし、王位をめぐる争いに巻き込まれてローマのテヴェレ川に捨てられ、その後オオカミに乳を与えられて育ったと語られています。この伝説から、ローマ建国のシンボルとして、双子に乳を与える牝狼の姿が描かれた作品が多くつくられるようになりました。会場には、オオカミと双子がデザインされた紀元前の貨幣や鏡なども展示されています。高さ約1.8メートルの巨大な顔!「永遠の都ローマ展」展示風景第2章「古代ローマ帝国の栄光」では、頭部だけで高さが約1.8メートルもある巨大彫刻《コンスタンティヌス帝の巨像》の一部を原寸大で複製した作品が登場!この像は、先述したカピトリーノ美術館が誕生するきっかけとなった古代彫刻のひとつ。ローマ帝国の繁栄がダイレクトに伝わる迫力ある作品です。同じ展示室にある《コンスタンティヌス帝の巨像の左手(複製)》も、大きくて見ごたえ抜群。この左手がもっている球体は、ボールではないようです。本展公式サイト内の「ローマクイズ」によると、「地球・真珠・たまご」のうちのどれかが正解。ヒントは、支配者の象徴です。詳しくは、下記Information欄に載せた公式サイトでご確認ください。美しすぎる…!門外不出のヴィーナス初来日!《カピトリーノのヴィーナス》 2世紀カピトリーノ美術館蔵次の展示室に進むと、本展のハイライト作品《カピトリーノのヴィーナス》が登場!本作品は、ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィッツィ美術館)と並ぶ古代ヴィーナス像の傑作のひとつ。前かがみの姿勢で、手で胸元などを隠す“恥じらい”のしぐさが特徴的で、ドキドキするほどの美しさです。その美しさから、1797年、ナポレオンがローマに遠征した際、フランス軍により接収され、ルーヴル美術館に収蔵されてしまいました。ナポレオン敗北後はローマに返還され、1834年からカピトリーノ美術館に展示されています。その後は同館から出たことがほとんどなく、今回がなんと2回目とのこと。まさに門外不出の作品です。ちなみに、筆者は数年前にローマを訪れた際、カピトリーノ美術館で本作品を見てきました。八角形の「ヴィーナスの間」に展示されていたのは、本作品だけ。でも、その展示室には特に多くの観光客が集まり、みなさん熱心に鑑賞されていました。そんな美術館の顔ともいえる人気作品を、イタリアから遠く離れた日本に貸してくれるなんて、本当に奇跡。おそらく二度とないチャンスだと思います。見ごたえある絵画も!「永遠の都ローマ展」展示風景続く第3章「美術館の誕生からミケランジェロによる広場構想」では、カピトリーノ美術館の起源やミケランジェロの広場設計などについて紹介。カンピドリオ広場の設計を担当したミケランジェロのアイデアが伝わる版画作品などを見ることができます。絵画好きな人が特に楽しめるのは、第4章「絵画館コレクション」の展示室。16世紀から18世紀に活躍した画家たちによる見ごたえある油彩画が並んでいます。なかでも、イタリア・バロックの巨匠、ピエトロ・ダ・コルトーナが描いた《教皇ウルバヌス8世の肖像》は必見作のひとつ。教皇が着ている服やレースの質感などが驚くほど緻密に表現されています。「永遠の都ローマ展」展示風景第5章「芸術の都ローマへの憧れ─空想と現実のあわい」では、ナポレオンなどの為政者や多くの芸術家たちを魅了したローマ美術について、版画や模型などで紹介。イタリアの古代建築や風景などを数多く描いた画家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージによる3メートル近い細密版画《トラヤヌス帝記念柱の正面全景》などが展示されています。最後の「特集展示カピトリーノ美術館と日本」では、カピトリーノ美術館と日本とのつながりを紹介。1873年、明治政府が派遣した岩倉使節団がカピトリーノ美術館を視察し、彼らの経験は日本の博物館政策や美術教育に影響を与えました。意外なつながりを知ることで、よりカピトリーノ美術館が身近に感じられます。レストランとのコラボも!本展の開催を記念して、レストランとのコラボも実施されています。アトレ上野EAST1階にある「ブラッスリー・レカン」では、「永遠の都ローマ展」特別コラボレーションメニューを展開。古代ローマ時代から食されていた食材を使用したり、出品作品からインスピレーションを受けたシェフ特製のオリジナルコースがあったりして、展覧会の余韻にたっぷりひたれそう。「ブラッスリー・レカン」は、上野駅の旧貴賓室を利用した優雅な雰囲気の店内が大人気。おしゃれな空間でおいしい料理を味わいながら、古代ローマの芸術に思いをはせてみるのもよさそうです。「永遠の都ローマ展」の会期は12月10日(日)まで。Information会期:2023年9月16日(土)~12月10日(日)会場:東京都美術館休室日:月曜日開室時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)観覧料:一般¥2,200 、大学生・専門学校生¥1,300 、65歳以上¥1,500※土日・祝日のみ日時指定予約制(当日の空きがあれば入場可)問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年11月05日