だから監督と原作のハロルド作石さんに、俺のラップを録画したビデオレターを送りました。それで2人に認めてもらって、劇中のシーンのリリック(詞)も自分で書いて歌ったり。それらは全力で遊び心を持ってやったからこそ、次につながったんだと思います。
――この先の目標はありますか?
桐谷:目標は作らないようにしています。というのも、目標とか夢って、実は自分の一番上にあるものだと勝手に思い込んでいるんですよね。ほんまはそれ以上行ける実力を持っているかもしれないのに、目標や夢を設定することで制限しちゃうから、自分のジャンプ力を抑えてしまっている気がして。それよりも今あるものを愛して、全力で、遊び心を持ってやっていれば、想像を超える素敵な未来に出合えると思う。全力で投げた球が思っていた的とは違っても、新しい的に当たるかもしれない、そっちの方がおもろいやん。
それに、俺にはそっちのやり方の方が合ってると思うから。だから、遠くを見て目の前のことがおろそかになるよりも、目の前のことと手をつないでしっかり歩いていきたい。(しみじみと)いや~俺もこんなふうに思えるようになったんやねえ(笑)。20代のころなんて、全然思えなか
ったわ。