2022年3月5日 19:10
養女との異様な関係、人妻との不倫…“禁断の恋”を描く、文学作品4選
言葉を紡ぎ、重ね合わせることで生まれる、文学ならではの焦がれと高まり。作家が描き出すストーリーに没入し、艶めく表現に身をゆだねてみればきっとこれまでになかった文学の楽しみ方に出合えるはず。ここでは“禁断の恋”を描いた作品をご紹介します。
禁断の恋
他人には言えないからこそ燃え上がり、盛り上がる。禁じられた関係を描いた4冊。
森本木林さんselect
『私の男』桜庭一樹
孤児になった10歳の花を、若い淳悟が養女に迎えるが――。「ページを進めるごとに過去へ戻っていく描写は、読者に息を呑むような緊迫感を味わわせてくれます。腐りきっているはずの愛に、どうしてこんなにも激しく心揺さぶられるのか。
淳悟と花の異様な関係は、巻き込まれた人々の人生を狂わせながら、より純度の高い愛に到達していくようです」。文春文庫836円
三宅香帆さんselect
『卍(まんじ)』谷崎潤一郎
2組の男女の関係が卍のように交錯する、倒錯的な愛を描く。「同性愛を描きつつ、不倫の恋愛でもあるという、何重にも張り巡らされた『禁断』の恋に、ページをめくるたびに引き込まれてしまいます。関西弁で語られる恋愛は、深くて、本能的。性別を超えて、体が恋愛にのめり込む様子が子細に表現される谷崎ワールド。