2022年4月4日 20:10
中村佳穂「対話が創作の根底、ひいては私の人生の糧になっている」 3rdアルバム発売
明るい曲を作りたかったけど、あなたも参加してね!と過度なパワーを込めた感じにはしたくなくて。来たい人は参加してくれていいし、そうじゃないときは自由に、という考えは歌詞やリズムにも出ていると思います。それはきっと、人と人とは最後は分かり合えない部分があると思っているから。『私』と『あなた』の間に存在する距離をネガティブに捉えられることが多いけれど、私はそのことをポジティブに捉えたいなと。住む地域によっても文化や考え方が異なるものだし、いろんなところに行って対話することが好き。それが創作の根底、ひいては私の人生の糧になっていると思います」
だからなのか。彼女が書く歌詞には、自分とは違った個性を持つ一人一人の他者へ向ける視線が優しく、そこに「対話」が存在するのは。本作にも収録されている先行配信シングル「さよならクレール」は人と人の距離感や揺れ動く心の機微を繊細に捉えた作品。
他者を想うときに胸に去来するどうしようもない“切なさ”に心を寄せている。「本当は分かり合いたいと互いが想っているはずなのだけど、どう頑張ってもこれは厳しい、という状況がありますよね。そんな中で自分はSOSを出しているけれど、相手には気づいてもらえなくて。