2022年6月5日 22:30
奈緒「苦しい気持ちでいっぱいになります。それでも…」 舞台『恭しき娼婦』に挑む
逆らうということがあり得ない関係性にありながら、自分の意思を貫こうとするのはアンチゴーヌにも通じる。運命だなって(笑)」
重苦しくヒリヒリとした展開が続く物語だけれど、「比較的恵まれた環境の中で生きている自分が、役者としてだけでなく人として向き合わないといけない題材」だと語る。
「自分が今ここにいる意味だったり、自由に生きるということはどういうことなのかだったり。そういうことを考えさせてくれる作品です。正直、向き合おうとすると、世の中にこんなに苦しく理不尽なことがあったんだって、苦しい気持ちでいっぱいになったりします。それでも、やっぱり知らなきゃいけないと思うんですよね。世の中にはすごく悔しい気持ちや、やるせない怒りを抱えている方がいて、そういう誰かを、私自身が無知なせいで気づかないうちに傷つけていることって、きっとたくさんあると思います。その無知をすごく恥ずかしく思う一方で、自分がこれまで触れながらも、気づいていなかった人間の奥底に少しずつ近づけていることが嬉しいんですよね。
そしてまた、これを多くの方々に伝えるんだっていう使命感みたいなものもあって。どう受け止めるかは、もちろんご覧になる方の自由でもあるけれど、この作品があるべき姿で正しく伝えたいとは思っています」