2022年7月15日 19:10
著作権侵害か、宣伝か? 「ファスト映画」の是非を考える
実際にどれくらいの損害を出しているのかは、実証も必要になるでしょう。ただ、個人に対して5億円の損害賠償というのは、無断で映像を使用するという違法行為そのものへの抑止の意味合いも大きいと思います。
著作権侵害に関しては、数年前に無料で漫画が読めるサイトが摘発されました。こちらは全編がそっくりそのまま読めたので明らかな侵害になります。ファスト映画の場合、「10分程度に編集している」というのが、表現の自由として認められる引用の範囲と捉えるかどうかという問題も絡んできます。
二次創作という観点では、日本のアニメ文化が世界でコンテンツとして認知された背景に、コミックマーケットやコスプレにおいて、二次創作が一部許容されていることも挙げられます。また、韓国の映画やポップスが世界的に広まったのも、国が著作権侵害を黙認し、拡散を許したということもあるんですね。もちろん、無断で著作物を使用することは明らかに違法です。
ただ、どの範囲まで表現の自由として認めるのかにも関わるテーマなので、慎重な議論が求められます。裁判のゆくえを注意深く見ておきたいと思います。
堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」