2022年12月9日 20:00
自殺志願者を救うために民間捜索隊を結成…香港の若者に広がる葛藤と巨大な闇【映画】
―そんなふうに、香港の映画人はかなりいろんな制限を強いられていると思いますが、改善の兆しは見えているのか、それともますます厳しくなっているのか、香港映画界の現状をお聞かせください。
監督映画制作に関してはっきりとした禁止事項は言及されていませんが、逆にどこまでがオッケーなのかわからない状況なので、香港国家安全維持法が施行されて以降、自粛が起きているところはあります。
ただ、そのいっぽうで香港映画のなかにこういった香港自身の物語を描く作品が増えているのは、希望の兆しではないかなと。「香港で上映できなければ海外ですればいい」とか「海外ならサポートしてくれる人が見つかるかもしれない」と考える人も多くなっているので、そういう意味で新たな作品を楽しめる可能性は高くなっていると感じています。
一人一人が、もっと社会に起きていることに注目すべき
―また、劇中で興味深いのは、若者と親世代の考えに大きなギャップがあることでした。こういった世代間の違いというのは、香港ではよく見られることですか?
監督そうですね。その背景には、彼らが育った環境がまったく違っているという理由が挙げられます。年長者たちは、香港の経済がすごくよかった時期で、がんばればいい生活ができる時代に育ちました。