母の死を機に、険悪だった姉妹の奇妙な同居生活が始まり…『けむたい姉とずるい妹』
これまで、女性同士の間に流れる恋慕や友情、共感などさまざまな感情を、繊細かつエロティックに描いてきたばったんさん。『けむたい姉とずるい妹』で選んだ題材は姉妹だ。
「姉妹って、女友だちとも違う。切っても切れない何かがある関係だと思うんです。最初にあったのは、姉妹の本当に濃密な、魂のぶつかり合いを描きたいという気持ちでした」
母の葬儀の日、8年ぶりに顔を合わせた姉のじゅんと妹のらん。
小さいころから、じゅんはらんに対して「自分のものを勝手に奪う人」と感じ、らんはじゅんに対して「自分は姉ほど愛されない」とコンプレックスを募らせていた。さらに、母をめぐる確執もある。そうしたもやもやがはっきりとした断絶になった原因は、らんの夫・律の存在。
律はかつて、じゅんの恋人だったのだ。
らんの結婚により、音信不通になるほど険悪になっていた姉妹。ところが、母の遺した家で、律を交えた奇妙な同居をすることに。姉と妹夫婦で、キッチンやリビングは共有するしかないし、喫煙者のじゅんと律は、縁側で並んでたばこを吸うこともめずらしくない。物理的に近づいてしまったふたりは、うまく心理的な距離感がつかめなくなっていく。
「芸能人とかの不倫がすごく叩かれていた時期がありましたよね。