くらし情報『時を遡る連作集『あわのまにまに』 少しずつ明かされていく、ある家族の風景とは』

時を遡る連作集『あわのまにまに』 少しずつ明かされていく、ある家族の風景とは

紫式部は、そんなことしたって無駄だぞっていう気持ちであの物語を書いた気がします(笑)。私も今回、そういう気持ちがありました。同性愛者の結婚問題も書きましたが、結婚という制度自体の是非はともかく、同性婚ができないことでこんな思いをしている人たちがいるんだよ、ということも書きたかった」

タイトルに関しては、

「10年ごとに一時期だけ、ふわっと浮かんでくる海のあぶくのようなものをイメージしていました。6つの泡と泡の間にあることは見えないけれど、でもすべて繋がっている。自分でも今回その繋がりが意識できたので、書けてよかったです」

吉川トリコ『あわのまにまに』世間の価値観に左右されず、マイペースに生きる女性、いのり。だが、彼女とその家族はいくつもの秘密を抱えていて…。時を遡る連作集。KADOKAWA1870円。


時を遡る連作集『あわのまにまに』 少しずつ明かされていく、ある家族の風景とは


よしかわ・とりこ2004年「ねむりひめ」で〈女による女のためのR‐18文学賞〉大賞&読者賞受賞。同作収録の『しゃぼん』でデビュー。昨年『余命一年、男をかう』で島清恋愛文学賞を受賞。

※『anan』2023年3月15日号より。インタビュー、文・瀧井朝世

(by anan編集部)

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