くらし情報『ちりばめられた名言が刺さるかも? 青春群像劇を描く『取るに足らない僕らの正義』』

ちりばめられた名言が刺さるかも? 青春群像劇を描く『取るに足らない僕らの正義』

シンガーソングライターの多野小夜子がSNS上から姿を消した。彼女の曲を聴いて、その存在を、神様のように思っていたファンの高校生や、小夜子の才能に触れ、上京を諦めた同級生、〈小夜子のことは、ちゃんと好きだったと思う〉と語る恋人など、小夜子と直接的・間接的に関わった男女6人が、その喪失をきっかけに自らの生き方と向き合っていく。川野倫さんの『取るに足らない僕らの正義』は、本を閉じた後もその余韻に引きずられる。

消えたシンガーソングライターと男女6人が織りなす青春群像劇。

ちりばめられた名言が刺さるかも? 青春群像劇を描く『取るに足らない僕らの正義』


「私も昔、似た経験をしたことがあるんです。半年くらいでしたが、周りの誰とも連絡を取れなくなった友人がいて。その人がとても社交的で、結構どこかに連れ出してくれたり、人との縁をつないでくれたりしていたので、ふと気づくと私の生活や、いるコミュニティがちょっと変わってしまったんですよね。変わった部分がある一方で、周囲のみんなが学校に行ったり仕事に行ったりのルーティンは、淡々と繰り返される。
自分に置き換えたときに、『もし自分がいなくなっても、周りの人の人生って当たり前に続いていくんだな』と、ちょっと寂しい気持ちになって。それを群像の形で描いてみたいと思ったんですよね」

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