紗倉まな「“友達”といっても、実際は…」 揺らめく感情を描いた恋愛小説集
片方が振り回されているように見えて、本当の意味で相手を振り回していたのはどちらなのか、という話です」
また、「見知らぬ人」は自分も浮気をしている妻が、夫の浮気相手と対峙する。「ごっこ」同様、会話のなかで二人のパワーバランスが変化していく様子がスリリング。
「世の中にはあえて既婚者の男性ばかり狙う女性がいる、という話を聞いて、どんな価値観なんだろうと思って。二人の会話を書いていたら、どちらも持論を展開して止まらなくなりました(笑)」
3編とも友達、恋人、夫婦の間の、友情や愛情では説明できない揺らめく感情が鮮烈に描かれていく。
「“友達”といっても、実際は友達未満だったり友達以上の気持ちがあったりして、自分たちの関係性をどう言葉に落とし込めばいいのか分からない時ってありますよね。3編ともそうした、枠からこぼれた人たちの話になりました」
紗倉まな『ごっこ』10代の頃から自由奔放だった女友達、タクボ。彼女が結婚した今も、戸川にとってタクボは特別な存在で…。「はこのなか」ほか2編を収録。
講談社1650円
さくら・まな2012年、SODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。小説『最低。