終活をする92歳女性から最後のお願い…タクシー運転手を巻き込んだ予想外の結末【映画】
と思わせてくれる人だとおっしゃっていましたが、現場で大事にしていることは?
監督映画を作るときにいつも感じることですが、俳優がしていることは非常に難しいことだと思っています。なぜなら、すべてが偽物の世界のなかで、本物の演技をしなければいけないからです。だからこそ、俳優がリラックスした状態で安心して演技ができるようにする環境を作ることに時間をかけています。それが僕のやり方です。
―本作の現場では、どのようなところに苦労されたのでしょうか。
監督この作品では、特殊な状況で撮影を行いました。というのも、実はタクシー内のシーンは、実際にパリで車を走らせて撮っているわけではありません。実は、撮影所のなかに車を置き、その周りに設置した4Kの大きなスクリーンでパリのなかを走って撮った映像を上映して撮影しているのです。
フランス映画でもこの形式で映画を作ったのは、初めてのことだったので、僕たちはまずこの撮影方法に適応しなければなりませんでした。
―まるで本当にパリを走っているかのような臨場感だったので、大半がスタジオで撮影されているのには驚きましたが、そのような手法を取った理由を教えてください。
監督なぜスタジオでの撮影にしたかというと、当時リーヌはすでに93歳と高齢だったので、彼女を疲れさせる撮影は避けたかったからです。