「LGBTQを問題にしたくない」北欧で注目の女性監督があえて声を上げる理由
脚本を仕上げていく過程では、若いときに味わった感情をお互いに共有し合ったので、自分たちが共感できる部分だけでなく、監督として描きたいところもしっかりと反映してもらいました。
2人の人間が恋に落ちる当たり前の姿を見せたかった
―劇中ではあえて主人公たちのセクシャリティには触れていませんが、最初からそのような設定にしようと考えていましたか?それとも最近のフィンランドではそれが当たり前のようになっているのでしょうか。
監督同性同士が付き合うことに対して、フィンランドのどこに行っても受け入れられている状況かというと、まだそこまでではないかもしれません。ただ、この物語の舞台となっている都心のエリアで、20歳前後の人たちの間ではかなりオープンにされていると思います。今回、私たちにとって大事だったのは、ミンミとエマのように女性同士で付き合うことを問題にしたり、カミングアウトしたりする姿を描かないことでした。
それよりも、2人の人間がお互いに惹かれ合って、恋に落ちるという当たり前の恋愛として見せたかったのです。というのも、世の中にある映画では、女性キャラクターの描き方も決まりきったものが多いですし、同性愛者も型にハマった描かれ方ばかりですよね?特に、LGBTQの方々については、だいたい何かのトラウマや葛藤を抱えていて、周りから反対されているので、“被害者”のようにされがちです。