アジアの作家たちによる“奇跡のアンソロジー”も! 押さえておきたい小説界の新潮流
そういう面白さが魅力です。
吉田:ある意味、新しい小説と位置づけられそうな作品ですね。気になるな~。
三浦:中原中也賞を獲った期待の詩人・水沢なおさんも最近、初小説『うみみたい』を出しました。彼女の書く詩は、生と性を連想させるSF散文詩というか、もともと小説っぽかった。そこに物語の仕組みを加えた感じですね。きっと編集者は彼女に小説を書かせるだろうと思っていたから、やっぱりそうだよねと。
吉田:この間『この世の喜びよ』で芥川賞を受賞した井戸川射子さんも、出発点は詩でした。
詩や短歌と小説の垣根が、薄くなりつつあるのかもしれません。
三浦:それはあるかも。若い世代は文学を自由に捉えて表現していますね。
トロッコ問題に通じる!?ディストピア小説。
最悪の状況のなかで、死んでもいいのは“誰”?
『方舟』夕木春央
大学時代の6人の友人と従兄と共に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った3人家族と共に一夜を過ごすことになった。ところが、明け方に地震が起き、扉が塞がれ、さらに浸水してきていることがわかる。そんな状況下で殺人が起こり…。
1760円(講談社)
AIのトロッコ問題解決法とは!?
『サーキット・スイッチャー』安野貴博
完全自動運転車が普及した2029年の東京。