役所広司「若い才能を育てることが、将来的に日本映画が世界へ羽ばたくことの近道」
品格と色気、にじむユーモアで役を体現。日本映画の文化を担い、継承する立役者、役所広司さんが日本映画への深い愛情を惜しみなく語ってくれた。
日本映画の継続のために、若い才能の育成を。
長崎県で生まれ、上京後は区役所勤めの後に俳優養成所に入り、’80年に俳優デビュー。以来43年間、テレビ、舞台、映画とさまざまなフィールドで活躍してきた。その中で、最も思い入れがあるのは映画だと語る。
「テレビドラマは、作品がお茶の間に入り込んでいくものなので、やはりいろいろな制約がある。一方映画は、お客さんがお金を払って映画館に足を運んで観に来てくれるものなので、冒険やチャレンジができる。
そういう意味で僕は、映画を中心にずっとやってきた。映画界には本当に良くしてもらったと思っていますし、だからこそ、少しでも役に立てるのであれば、日本映画の力になりたいんです」
と言うのも、役所さんの目に映る今の日本映画界の現場は、とても恵まれた環境とはいえないからだ。
「働く時間、ギャランティ、制作費…、物理的な意味では決して豊かな場所ではありません。それに加え、なにより僕が心配をしているのは、映画を作る人材が育っていないということです。