「期待を裏切ることをいつも考えている」“ノンバイナリー”を公言した女性監督の戦いと支え
―それぐらいの信頼関係がなければ、ヘルメットをしない状態で一緒にバイクに乗るシーンの撮影もできなかったのではないかと感じました。
アントニアさん確かに、お互いへの信頼がなければああいうことは不可能だったかもしれません。それに私は役になりきるために、撮影中は自分である意識をなくすような状態にするのですが、そこで信頼関係がなければ、そもそもそういう状況に自分を置くこともできなかったと思います。
これはほかの俳優と演じるときにも言えることですが、本物の信頼関係を成立させたうえでさまざまなリスクを取るからこそ、リアルなリアクションやさまざまな思いつきが生まれるのです。
決められた枠組みから逃れることをいつも考えている
―劇中では男性社会のなかに飛び込んでいくジュリアの姿が描かれていますが、いまだに映画界も男性社会とされています。監督はノンバイナリーであることを公言されてはいますが、女性監督として難しさを感じることも多いのではないでしょうか。
ローラ監督映画界はもちろん、世界中がまだ男性中心なので、そのなかで女性が居場所を求めようとすれば、必然的に戦わなければいけません。そういう意味では、私はジュリアと似ているところがあるかもしれないですね。