くらし情報『引きこもりの人が撮った月画像や巨人の落とし物も! 「“共感”を求めない展覧会」で作家がこめた想い』

引きこもりの人が撮った月画像や巨人の落とし物も! 「“共感”を求めない展覧会」で作家がこめた想い

美術館に来られる人は特権性がある

引きこもりの人が撮った月画像や巨人の落とし物も! 「“共感”を求めない展覧会」で作家がこめた想い


渡辺篤さん(アイムヒア プロジェクト)の作品《Your moon》2021年

続いての展示室では、かなり暗い空間に作品が展示されています。現代美術家で「アイムヒア プロジェクト」を主宰している渡辺篤さんが、作品について解説してくれました。

渡辺さん私のキャリアは特徴的で、足掛け3年引きこもりして、そこから社会復帰しました。今回の展示室では、実際に引きこもりをしている人たちが自身の部屋を撮影した作品や、コロナ禍のときに開始した、同じ月を見て写真を撮るプロジェクトの作品などを紹介しています。月の写真は、引きこもりに限らず、「孤立を感じている人々」という条件で参加者を募集して、国内外さまざまな方にスマホにつける望遠鏡を送り、写真を撮ってもらいました。約50名のメンバーたちが日々送ってくれた写真をライトボックスにして展示しています。

私がいくつかのプロジェクトをとおして大事にしているのは、美術館に来られる人と作品を共有し、喜びを分かち合い、楽しむということ。そして、ここにいない人のことを常に忘れないこと。
ここに来られる人は、特権性があります。コロナを通じて私たちが知ったのは、ここに来られない人、出られない人がいるということ。

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