言語能力は2歳時点でかなり差ができている!? 『言語の本質』著者と言葉の謎に迫る
一方、子どもの言語は、AIほど大量のインプットを受けているわけではないのに、聞いたことがないような文まで話すなど、とても創造的。限られた情報以上のことを、アウトプットできるのです。
――受け取った情報から、想像を膨らませているのでしょうか。
秋田:はい。例えば「ワンワン」という言葉も、初めて聞いた時は何を指すのかわからないと思います。でも、次第に目の前の犬を指す言葉だとわかり、さらに「あの動物もワンワンだろう」と仮説を広げていくうち、犬というグルーピングができるようになる。このように正しいとは限らない仮説を立てることを「アブダクション推論」といいます。それにより人間の思考や言葉は豊かになるのです。
――言葉の豊かさといえば、言語能力には個人差があるように思いますが、その差はどこで生まれるのでしょうか。
今井:これは多くの人が抱くクエスチョンで、私も正解を知りたいくらい(笑)。ただ、研究から一つ言えるのは、幼少期にインプットされる言葉の量と質が、その後の言語能力に大きく関わるということです。2歳の時点で、かなり差ができているともいわれています。
――では、大人になってから言語能力を磨きたいと思っても、子どもの頃にベースがないと難しい?
今井:不可逆的に無理かというと、そんなことはないと思います。