アイが見たかった世界? 「アイドル」MVラストシーンに込められたアニメーターの想い
まさに、一を膨らませた大事な場面だ。
「キャラに限らず、頑張っている人が好きなんです。アイは悲しい結末を迎えますけど、それまでずっと自分と向き合って頑張ってきた子が、あんな最後を迎えるのは辛すぎる。せめてMVの中だけでも、アイが見たかった世界を表現してあげたかったんです」
光の加減やエフェクトなど細かい編集には、ビジュアルデベロップメント・モーショングラフィックス担当の齊藤雄磨さんや山口駿さんらの協力が大きかったという。
「普段映像作りをしているチームにはない思考を、齊藤さんのチームは持っていて。しかも音楽との親和性が非常に高い。細かい部分の音ハメもそうですし、エフェクトでキラキラを入れる処理の場合、普通の現場だと緻密に音合わせをすることって難しいんです。『何分何秒のここら辺からエフェクトをください』みたいな大まかな伝え方になり、それだと本当にただエフェクトが出るだけになって、シビアな音ハメは難しい。
だけど齊藤さんのチームは、僕が何か言わなくても完璧に仕上げてくださって。うさぎのオブジェクトや、タイトルの文字が破けるのも、齊藤さんや山口さんのアレンジなんです」
「アイドル」のMV制作で得た経験が、今後の指針になったという。