巨匠の“スゴ技”に驚嘆! 版画のイメージがガラリと変わるユニーク展覧会
日本の版画が世界で高評価!
杉浦康平《第8回東京国際版画ビエンナーレ展ポスター》
――では、展覧会の見どころについて教えていだたけますか。
中尾さん本展では、「東京国際版画ビエンナーレ展」の受賞作や出品作と、当時の展覧会ポスターを一堂に展示しています。当時の作品をここまでの規模で紹介するのは、今回がはじめての機会です。ポスターは一過性のもので、ふつうは展覧会が終われば捨てられてしまうものですが、当館では資料として保管していました。東京国際版画ビエンナーレ展の作品と、当時の著名なグラフィックデザイナーが担当した歴代のポスターをあわせて見ていただけるという点が大きな見どころです。
展示風景より
――「東京国際版画ビエンナーレ展」とは、どんな展覧会だったのですか?
中尾さんこれは1957年から79年まで、全11回開かれた展覧会です。日本は、戦後復興のなかで欧米に並ぶような経済的発展を目指し、文化的にも優れている点を見せていこうとしていました。そこで、日本人の版画が当時海外で高く評価されていたことから、版画の国際展覧会を開催することにしたのです。展覧会というより国家的な文化事業で、外務省も後援になっていました。