絶世の美男子・光源氏は罪な男!? 『源氏物語』に見る、平安恋愛のレアケース
男性ではなく女性からのアプローチなど、当時の恋愛スタイルとは少し違うレアケースを、物語に収録された和歌から読み解いていきましょう」(津田塾大学学芸学部多文化・国際協力学科教授・木村朗子先生)
心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花【夕顔】
寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔【光源氏】
夕露に紐とく花は玉鉾のたよりに見えしえにこそありけれ
露の光やいかに【光源氏】
光ありと見し夕顔のうは露はたそかれ時のそら目なりけり【夕顔】
かなり稀な女性からのアプローチ。それほど源氏が美しかった?
1首目は、夕顔という女性が光源氏を初めて見た時に「あなたは光源氏様では?」と送った歌。通常、最初の和歌は男性から送るため、珍しいケース。その歌に「近寄って見たらどうですか?」と返す源氏。二人は恋愛関係になるが、「実物の私はどうですか?」という源氏に、夕顔は「思ったほどではない」とツンデレな返答でいい女ぶりを発揮!
影をのみみたらし河のつれなきに身の憂きほどぞいとど知らるる【六条御息所】
袖濡るる恋ぢとかつは知りながら下り立つ田子の身づからぞ憂き【六条御息所】
なげきわび空に乱るるわが魂を結びとどめよしたがへのつま【葵の上に取りついた六条御息所】
つれない光源氏を想うあまり、生霊になって取りついてしまう。