大河ドラマ『光る君へ』で藤原道長に! 柄本佑「道長さんを色っぽいと言ってもらえるのは嬉しい」
色気って、僕は“普通であること”と深く関係がある気がしていて。役柄を演じたり、芸人として舞台に立ったりする“自分”と、普通の状態の“自分”の間に距離があればあるほど、その人に奥行きが出ると思うんですよ。普通でいることは、とても大事だと思う。普通の自分がいて、その上でいろんなことに苦悩したりあがくから、色気が出る気がするんですよね…。でもこれ、完全に好みの話ですよね。僕の好きな色気はそういうこと(笑)」
笑いながら「色気って難しい…」とつぶやき、ときにじっと黙りつつ思考を巡らせる柄本さん。話をするうち「そういえば…」と、あるエピソードを聞かせてくれた。
「僕は高校生のときに映画の世界に足を踏み入れたわけですが、現場が楽しくて、学校がつまんなくなっちゃったんですよ。
そのときに母に、“いま楽しいのはいいけれど、そのうちきっと、現場がしんどくなるときがくる。だから学校生活を大事にしなさい”と言われたんです。時は経ち、大人になってひとり暮らしをはじめた頃に学校時代の同級生に会ったら、彼はスーツで会社に行っているのに、自分は撮影がない時期だったこともあり、浮足立ってたんですよね。そのときにふと、日常をきちんと送ることこそが自分と社会を繋ぎ留めてくれ、それがあって初めて役者という仕事ができる、ということが理解できた。