独特な文体にも注目! 大田ステファニー歓人「推敲に超時間かかるし、結局めっちゃ疲れます (笑) 」
「金原さんや川上さんから選評で青春小説だと言われて、そうかこれは青春かって納得したけど、自分自身でそう思って書いたわけじゃなかったんですよね。たぶんまだ思春期だから、それを懐かしむとかもないし、客観的に何が青春なのかピンときてない。小説って一人で書くものだから、結構自分の意識しないところでも自分が出ちゃう。それで、主人公たちの刹那的な側面は、もしかしたら無意識に自分が出てる場合もあるのかも。生きててずっと『今が最高』って気持ちなんだけど、それを一瞬一瞬の今しかできない大事な体験、って意識して描いたわけじゃなくて、彼らの日常をただ描写していこうという意識で書いていました。自分的には人生全部がそんな普通の連続で、選択とその総体が人生だと思ってるし、演出的な気持ちはそれほどないかもしれないですね」
自分にフィットする文体を求めて。
注目されたのは、ステファニーさん独特の言語感覚だ。物語の冒頭で、小学生の〈ぼく〉がファウルチップを捕り損なって転ぶ場面では〈たどり着いたのは音も色も、光も闇もない素粒子の世界こんちは。
(略)どっちゃ無。からのインフレイション。そしてビッグバン〉。春たちに距離を置かれそうになって泣きながら引き留める場面では〈うう、ま、またあぞびにいっでいい、んっぐう〉。