小島秀夫「俳優にオファーするのも実際に会ってから決める」“人は直接、移動して出会うべき”と語る理由
ところが、半世紀以上を経た2024年現在、それらのほとんどが実現していない。次の大阪・関西万博で実現させるはずだった空飛ぶクルマも中止。生成AIこそ、日常生活を蝕み始めてはいるが、アトムのようなヒューマノイドは、未だに実験室を出られないし、月面開発は20世紀に凍結され、ようやく再び月へ戻るという“アルテミス計画”が再開されたくらいだ。
しかし、たった一つだけ、想像以上に進化しているものがテレビ電話である。SFの世界ではテレビ電話ではなく、“ビデオフォン”と呼ばれていた。僕らの世代では『ウルトラセブン』の腕時計型「ビデオシーバー」(注3)や映画『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーション5に設置された縦型「公衆TV電話」(注4)がまず頭に浮かぶ。
ビデオ通話の日常化は、スマートフォンの普及のおかげでもあるだろう。インターネットを介することで、リアルタイムでのワールドワイドなビデオ通話が可能になった。
これですべて事足りるのではないか。会社も学校も病院もリモート。来たるメタバースの時代には、もう人は人と直接会う必要はなくなるのではないか?都会に住む必要もないのでは?コロナ禍ではそんな威圧に近い風潮があった。