小島秀夫「俳優にオファーするのも実際に会ってから決める」“人は直接、移動して出会うべき”と語る理由
ホログラム技術も今後かなり進化するだろうが、あくまでも立体映像であり、お互いが触れ合わなければ、深く理解することは出来ない。Zoomでの会議もあくまでもサブでしかない。俳優にオファーするのも実際に会ってから決める。人は直接、移動して出会うべきだ。人の移動が運ぶのは、身体にまとわりつく匂いや体温、心に宿る気分や感情、その瞬間に人が秘めているデジタル化されない膨大な情報にあると思うからだ。
コロナ禍が明けて、海外へまた自由に飛べるようになった。2022年からはLA現地でのパフォーマンス・キャプチャーの撮影を再開した。一方で長距離移動は、この歳になると辛い。
ジェットラグも堪える。だから今最も欲しいものは、瞬間物質移送機。『スター・トレック』(注6)の転送装置。つまり、“どこでもドア”だ。Sonyの「窓」は見るだけだったが、窓の向こう側へと繋がる“扉”。果たして、ドラえもんが生まれた22世紀には実現しているのだろうか。
先月、NYで新作映画撮影中のエル・ファニングさんと『DS2』(注7)の最後のADR(注8)の際、Zoomを使った。やはり、近くで細かな演出をしたかったし、食事をしながら懇談もしたかった。